昨日の「好立地の格安土地を見に行くと有名なゴミ屋敷だった!新築計画はどうなる?【前編】」の続きです。
は~、どうしようかな~。
好立地に売りに出されたゴミ屋敷。坪20万が相場のエリアで、坪10万円という破格値です。しかし、なんといってもあのゴミの量。片付けるのに相当な手間と時間と費用がかかることが予想されました。
それでも、立地は間違いありません。そもそも新築アパート投資が得意なのに、なかなか数字の合う土地が出てこない中、ようやく出会えた物件です。
悩みに悩んでいると、タイミング良く、「いい土地が出ましたよ。ここで新築やりましょうよ?」と最初に僕に電話をしてきた仲介業者のチャ〇ウピーが、重量鉄骨の面白いプランを持ってきました。
ウッドショックの影響で木造の建築費が高騰し、以前と比べ2割くらい高くなっていました。しかし、鉄骨はその影響が遅れていたようです。意外にも、高騰した木造の建築費と同じくらいでした。
しばらく新築をやれていなかった私は、心を掴まれました。直感的に、「これができるのは今しかないのでは?」と思いました。木材だけでなく、鉄やその他の資材も必ず高騰していくだろうから、今のうちに建てないと、と感じたのです。
一応説明すると、木造と重量鉄骨造は法定耐用年数が違います。木造は22年、重量鉄骨は34年なので、重量鉄骨の方が10年以上プラスです。そのため、鉄骨の方が木造よりも融資期間が長くなる傾向があります。
木造でも新築なら30年近く組めるケースもあります。しかし、中古になると耐用年数から築年数を引いた年数プラスアルファの融資期限になることが多く、例えば築12年の物件を融資で買う場合、木造で10年から15年が妥当という感じになります。
一方、重量鉄骨であれば築10年でも20年から25年の期間で融資を引ける可能性が十分あります。ということは、木造よりも鉄骨の方が、融資の面を考えたら、買いやすく、売りやすいということです。
不動産投資の利益はインカムゲインとキャピタルゲインを合わせたもの。これまでは市況が良かったので両方を得る機会がありましたが、基本的にインカムゲインはキャピタルゲインの先食いなので、売却時にはキャピタルロスを想定して不動産を購入しなければいけません。
その点、次の人の融資がつきやすい重量鉄骨で、しかも木造とそれほど建築費が変わらないこのプランは、魅力的に感じました。8戸の重量鉄骨アパート。今はゴミ屋敷ですが、立派な物件を建ててやる!そう思いました。
■解体業者に見積もりの段階で断られる
早速、解体業者を数社ピックアップして見積もりを依頼しました。ところが、どこもなかなか見積もりを出してくれません。どうしたものかとこちらから連絡してみると、「あれは我々の手に負えない」「諦めてくれ」と言うではありませんか。
地元では結構大きくて有名な会社も同じような反応だったので、プロでも解体できない事とかあるのかな?と、不思議に思いながら、以前付き合いのあった業者さんに相談してみることにしました。
業者さんと現地で待ち合わせをすると、「えええぇ!!これですか・・・・・」と唖然としています。プロから見ても、相当レベルの高いゴミ屋敷のようでした。それでも、今までの付き合いがあるからと対応はしてくれそうです。
業者さんは何枚か写真を撮ったあと、「建物の解体費は出せますけど、ゴミの処分費はざっくり面積から出すしかありませんね」と言います。それでもいいのでと見積もりをお願いしました。
■ごみの処分費は最低200万円
もらった見積もりを見ると、「物解体費用が約250万、ゴミが4tトラック一台(約8立米)につき20万円、10台分以上はあるとして最低200万円くらいはかかる」という内容でした。
ファミリータイプのマンションが80㎡くらいだと考えると、そこに腰の高さまでみっちりゴミがあるイメージでしょうか。しかし、最終的には「25,000円/立米で計算させて欲しい」と言われました。
少し高くなったのは、ごみの処理に危険が伴うという理由もありました。よくテレビなどで見るゴミ屋敷は住人がいて、物を次々と集めてきて周辺の人が困っているというものです。その住人が生活しているので建物がすぐに崩れることはないでしょうし、中も人が最低限通れる隙間があるはずです。
ところがこの家はどこにも足の踏み場がないうえに、空き家だった期間が長く、建物は今にも崩れ落ちそうです。正直、建物の中に残置物があるのか、建物が残置物で支えられているのか分からないくらいの状態でした。
今回は、中に入ってゴミを片付けるやり方では危険すぎるので、重機で建物を壊しながらゴミをかき出して搬出していくという合わせ技で処理することになる、ということでした。
とはいえ、トラック10台が15台になったとしても、100万円のプラスで、300万円。そのくらいなら大丈夫と判断し、ごみの処分と解体を発注することにしました。
■自己資金2,000万円を投入し、手元資金がほぼなくなる
解体費の目途が付いたのでアパートの新築計画を進めることにしました。融資条件付きで土地に買い付けを入れて、金融機関に融資を申し込みました。
全国展開しているお堅い金融機関さんということもあり、ある程度の自己資金を要求されました。具体的には、「解体費を含む土地分を自己資金から出すならば、建築費用とその他諸経費は出しましょう」という内容で融資の承諾を得ました。
その結果、必要な自己資金額は約2,000万円になりました。ほぼほぼ手元資金を吐き出してしまう計画です。今思うと何が自分をそんなに突き動かしたかわからないですが、この時はそれでも「イケる」と思ったようです(笑)
初めての重量鉄骨造ということで、変なアドレナリンが出ていたのかもしれません。とにかく8世帯の計画に2,000万円も自己資金を入れて、さらに数千万円の借金をしてアパートを建てることになりました。もう後戻りはできません。
次は、土地の契約です。この時に「告知」されたのが、はるか昔にボヤ騒ぎがあったということ。ゴミと草木でまともに中が見えませんでしたが、建物が崩れそうな理由はそれもあったのかもしれません。
また、複数人の兄弟で所有しており、各々県外にいるため、契約に向けての本人確認を行うのに時間がかかったという話でした。仲介業者と司法書士はかなり大変な仕事だったようです。
それを聞いて、私は「もしも死体が出てくるなど、事件性があるような何かが見つかった場合は、速やかに返金してもらうという旨の特約」を追加してもらいました。
なにせ中が見えない状態です。もし、何か物騒なものが出てきたとしても不思議ではありません(汗)。そんなかんなでなんとか決済まで漕ぎつけ、自己資金にて清算し、無事?にこの好立地のゴミ屋敷は自分のものになったのです。
まさかその時は、ゴミの処分費用が、あんなに巨額になるとは予想もしていませんでした。。。。
明日の最終回につづく