■ お値段300万円超。経済的ダメージも強烈
入居者さんの孤独死発見から数週間が経過したある日、特殊清掃をお願いした業者さんから見積が届いたとの連絡を受けました。まず、特殊清掃のお見積は328,000円でした。原状回復工事はこれに含みません。
原状回復に関してもコメントがあり、階段のところでお亡くなりになっていたことから、階段の分解・再設置が必要になるということでした。嫌な予感は的中。お金がかかるパターンです。
発見までにかなりの時間を要したことから、恐らく周辺の壁や床にも雑菌が染みこんでいることが想定されるようです。結果、壁も床も工事が必要になる見込みです。巨額の工事になる覚悟を決めなくては・・・。
ちなみに、管理会社さんから届いた見積書は、紹介した原状回復の業者さんのお見積そのままでした。全くフィーを乗せていないようです。心労も含め、大変な手間をかけたのに…。このお礼は何かの工事でお返ししようと決めました。
保険金に関しては、入居者さん側の保険は相続人が確定しないと申請することができません。こちらはDNA鑑定待ちとなります。オーナーである私が契約している火災保険については、保険代理店さんと管理会社さんで直接進めてもらえるようお願いしました。
原状回復のお見積が出てくるまでは、写真の提供などできることをとりあえず進めることになります。
それからしばらくして、原状回復のお見積がとうとう届きました。その金額は・・・
280万円!
覚悟はしていたものの、出てきてみるとゾワゾワする金額です・・・。1Kですよ。孤独死保険に入っていれば、保険金で修繕できたのですが、入っていないのですから仕方ありません。ケチって加入しなかったことを心底後悔しました。まったくもって、大失敗です。
ここから、保険の話はDNA鑑定が終わらないと具体的に進まないので、3ヶ月のタイムラグ。長期戦になりそうです。その間ずっとこのことが頭をよぎり続けるのか・・・。憂鬱です。

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■ 保険金申請と決着
それから3ヶ月が経過。DNA鑑定が終わり、甥っ子さんが相続人と確定したという連絡がありました。甥っ子さん、死亡届の手続中とのことです。手続が終わったら相続するか否かの判断が入るということでした。
そしてその後、甥っ子さんは銀行や区役所などに照会をかけて資産状況を確認した結果、相続は放棄するということで決断されたとのことでした。甥っ子さんも突然のことで大変だったろうと思います。本当にお疲れさまでした。
そして、これで入居者さんの「 借家人賠償責任保険 」は私が保険金の支払手続きができる状態になりました。管理会社さんに申請を依頼しました。
特殊清掃の業者さん曰く、「 この保険で満額が出ることはあまりなく、なんだかんだ理由をつけて減額されることが多い 」そうです。出たらラッキーくらいに捉えておかないといけないのか・・・。こっちはそんなに懐事情に余裕はないのですが・・・( 汗 )
更に、オーナーが契約している火災保険についても、このタイミングで進め始めました。本当はもっと早く動けたはずのですが、なぜか入居者様の火災保険と同じタイミングで動くべきだと考えてしまったのです。
冷静になれば、オーナー契約の火災保険は相続とは全く関係ないのだから、見積が出た時点で進めるべきでした。空室期間が延びただけでなく、精神的なプレッシャーをそれだけの期間感じ続けることになってしまいました。
やはり冷静さを欠いていたのでしょう。こちらも保険代理店さん、管理会社さん、特殊清掃の業者さんの3社に手続きを進めてもらえるよう依頼しました。

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■ 借家人賠償責任保険と建物火災保険の結果
最初に結果が出たのは入居者様の契約していた「 借家人賠償責任保険 」でした。その結果は・・・特約にある80万の保険金が満額支払われるというありがたい回答!
良かったです。原状回復の一部にすぎませんが、それでもだいぶほっとしました。あとは本丸の建物火災保険の汚損による保険金がどうなるかです。
汚損事故として申請しましたが、果たして満額認めてもらえるのか。経験した友人の話だと、半分くらいに減額されてしまったとのことでした。普通に考えたらそうですよね。だからこそ、孤独死専門の保険があるのでしょう。
しかし、凄腕の保険代理店さんは、こちらの味方に立って、「 何とか満額で 」と保険会社さんと交渉をしてくださっています。ここは祈るしかありません。頼む!なんとか!( 祈 )
そして数日後、保険代理店さんからメールが届きました。結果は・・・
満 額 回 答 !
まさかの満額です。信じられません。いつもギリギリのところで九死に一生を得るパターンで、「 運 」と周りの方からのご支援でここまで来た私。今回も運と縁に救われることになりました。
保険代理店さんも、この状況での満額回答は初めてとのことでしたので、何かのミラクルが働いたのだと思われます。孤独死保険に入っていないという大失敗を犯してしまいましたが、奇跡的に帳尻を合わせることが出来ました。
ココだけの話、この時は台風15号や台風19号の被害に対する保険金申請が集中しており、保険会社さんも手が回っていない状態だったため、いつもと審査基準が異なったのではないかという話を聞きました。そういうこともあるんですね。

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■ 孤独死保険のススメ
保険会社からの返事が届いた時、すでに孤独死を発見してから約4ヶ月が経過していました。いつもキャッシュがカツカツの私。これでようやく一息つくことができました。
今は原状回復工事の真っ最中。この後も、いくら家賃を下げて募集するとか、新型コロナウィルスの影響でなかなか埋まらないだろうとか、いろいろな困難は待ち受けているものと思います。でも、一度に大きな額の金銭が手元から失われる危機は脱することができました。
読者の皆様におかれましては、このような胃が痛い事態にならないよう、単身物件に関しては孤独死保険に入っておくことを強くお勧めします。実は、40代〜50代の一人暮らしの男性は、孤独死の確率が高いそうですよ。
孤独死は不動産オーナーにとって他人事ではありません。備えあれば患いなし。皆様もくれぐれもご注意ください。同時に、孤独死を防ぐ仕組みを作り、悲しい亡くなり方をする入居者さんを減らしていければと思います。

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