こんにちは!波乗りニーノです。2023年もあと少しとなりました。
今年1年間自分や家族や大切な仲間が健康に暮らすことができ、不動産賃貸業も増収増益で終わることができて最高の1年でした。
一年の締めくくりとして健美家さんにもスポンサードしていただいた大家祭りも500名を超える大イベントとして大成功でした。ご参加いただきました皆様やスポンサードしていただいた皆様、クラファンに申し込んでくれた皆様、本当にありがとうございました。
不動産賃貸業の環境は年々厳しくなる一方。特に新築木造アパートは材料費・人件費の高騰により、従来の利回りでは造れなくなりました。土地の情報が来るたびに見積もりを取ってシミュレーションするのですが、見送ることが多い一年となりました。
その代わりに、小さな挑戦を積み上げた一年となりました。今回のコラムでは今年一年の総括として、一番大きな挑戦となったアパートの隣地取得の話を紹介します。
■隣地取得話は突然に
今年の一番大きな挑戦は、自社アパートが建っている県道の隣地260坪の購入でした。自社アパートの50坪と合わせると300坪を超える力強い土地になります。
4月下旬に全国CMを流している大手不動産会社の営業の名刺が自社に投函されたところから物語は始まりました。名刺には、「西野さんのアパートの謄本を上げて連絡しました。お会いしてお話ししたいです」とのメモがあったので、すぐに電話してみました。
すると、アパートの隣地の土地を相続した人から「売りたい」という話があった。金額はまだ決まっていないので良かったら査定してほしいという内容でした。実際に会って詳細を詰めたいということだったので、5月下旬に現地で会うことになりました。
約束の日、名刺交換をした担当者から、「実はアパートの謄本をあげてから西野さんの名前をGoogle検索したんです。コラムやYouTubeを拝見しましたよ」とのことで、自己紹介をほとんどすることなく仲良くなれました。(健美家コラムニストで良かった)
その後、物件の確認と相続人(隣地の売主さん)のスタンスについて手短にヒアリングさせていただきました。担当者さんの「必ず両手売買でまとめたい」という強い意思を感じました。「必ず話をまとめましょう」と意気投合して別れました。
■交渉は暗礁に乗り上げる
260坪の土地は、県道に面している土地1筆と県道に面していない土地4筆に分かれていました。残置物がパンパンに詰まった家屋・蔵が4棟、未登記の建物が1棟建っている状況で、手入れされないまま育った松の木や楠が生い茂っている庭があります。
これまで見てきたどの土地より、酷い状況です。前回お願いしたことがある地域最安値の解体業者に更地にするための見積もりをお願いしたところ、残置物の撤去代80万円、解体費700万円というデラックスな金額が出てきました(*_*;)
これでは土地値を下げてもらわないと収支が合いません。また、県道に面していない道路は2mくらいの細い道なので1mのセットバックが必要となり、アパート建てるとしたら使えない土地の面積が10坪程度出てきそうです。
結論として、県道に面している駐車場として運営中の60坪は「900万円」、残りの200坪は坪10万円から解体費800万円を引いて「1,200万円」で試算しました。それをあわせた合計2,100万円で買い付けを出しました。
ところが東京に住む売主さんから、「県道に面している260坪で2,100万円なんてありえない。3,000万円以下で売る気はない。そもそも解体費が高すぎるから、こちらで解体業者を探してみる」という返事が返ってきて、交渉は暗礁に乗り上げました。
■新たなライバル現る?
8月上旬、久しぶりに仲介の担当者から慌てた様子で連絡がありました。
「売主さんから連絡がありました。解体工事の見積もりを取ったら1,000万円以上したそうで、解体費の妥当性は理解してくれました。ただ、3,000万円以上で買う業者が見つかったので、そちらで進めることにしたと言っています」
ところがその後、担当者さんが東京に住む売主さんに話を聞きにいったところ、正式に他の業者と媒介契約を結んだわけではなく、買い付け証明をもらったわけでもなく、電話で近隣の不動産業者が「3,000万円くらいで買う」と言っただけということが判明しました。
結局、その話は流れたようでした。売主さんが自分勝手な行動をしたのをきっかけに、大手不動産会社の担当者さんは完全にこちらの味方になってくれました。その結果、最終的に僕が「2,400万円」という金額で買うことができました。
解体業者も、そのあと数社から見積もりを取って500万円以下で解体してくれるところが見つかりました。
■解体させないオジサン登場
ところが、解体を始めると同時に事件は起きました。
解体工事の前に、残置物の撤去を行っていると、地域のオジサンが乗り込んできました。
「この町で解体工事をするなら、町のルールを守ってもらわないと困る」
「すぐに緊急住民説明会をするから施主さんは必ず来るように」
指定された日曜日の10時に自治会館に出向くと、乗り込んできたオジサン他5名がいきなり、「コロナを理由に、紙を投函しただけで地域住民に説明のないまま解体を進めるとはどういうことだ??」とすごい剣幕で怒鳴り始め、以下の要求を突き付けてきました。
・道路を使いたい場合は、必ず道路誘導員を付けてほしい
・県道に面している駐車場を借りている人を一旦、他の駐車場に移動させて、そちらの駐車場から出入りしてほしい
・地域住民からクレームがきたら工事をストップさせること
理解できる部分もあります。しかし、現場は「地域をより良くして行こう」という善良な市民を装う高齢者たちが、「俺たちのルールを守れ」と寄ってたかって勝手な正義でよそものを叩きまくっている感じでした。
もちろん、良い気分ではありません。ただ少しだけ、僕が働いていたころの労働組合時代の団体交渉みたいで懐かしかったのは内緒です。
結局、僕は要望を飲むことにしました。そして3日後、「合意した」という内容の議事録が作られ、押印して双方が保管することに。その後も数度の話し合いを挟みながら無事に解体工事は終わり、260坪は更地となりました。
この地域は全体的に道路が狭く、駐車場が足りずに困っている人が多い地域なので、利回りは良くないですがしばらくは駐車場として運用する予定です。
「隣地は倍だしても買え」と言うので、積極的に動いたのですが、思ったよりもハードな取引になりました。こうして書くとアッという間ですが、とても長く感じました。無事にここまで来れて本当によかったです。