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富裕層や成功した投資家が日本を捨ててタイに移住する理由。供給過剰のタイ不動産【後編】

不動産投資-大家列伝/バンコク大家さん_画像


昨日の前編に続き、42才で会社員を卒業し、43才でタイに移住したバンコク大家さんにお話をうかがいます。数年前に流行したプレビルド案件について、現在のタイ不動産を「 日本人には買う意味がない 」という理由、日本を捨ててタイにやってくる富裕層の話、これからの生き方のついてなど、幅広い内容をお聞きしました。


■ 現在のタイの不動産は日本人にとって、「 買う意味がない 」状況

華子
43才のとき、一人でタイに移住されて、大家業をしながら、のんびり暮らしていたバンコク大家さんですが、2012年に本を出されたんですね。何かきっかけがあったのですか?



バンコク大家さん
その前から、タイ不動産やタイでの生活について問い合わせを受けることが増えてはいたんです。当時は円高で、タイでプレビルドの不動産が多く売り出された絡みもあったんでしょうね。もともと日本で雑誌制作や広告関連の業務をしていましたから、書籍の出版という形になりました。

その後、本を読んだ方がタイにいらっしゃった時、ディベロッパー訪問や実際のお部屋見学の際に同行を依頼されることが多くなり、業界やタイ人大家の知り合いも多く居たので引き受けました。あと、言葉の問題もありますしね。どうしても英語かタイ語でのやり取りが必須ですから。

とはいえ、私は不動産会社の社員ではないですし、あっせん業で食べているわけでもないんです。通訳でもありません。「 自分なら買うかどうか 」を目線にして、ご一緒していました。


華子
確かに、その時期は東南アジアのプレビルド案件がはやりましたね。


バンコク大家さん
そうなんです。タイでは中古物件は融資がつかないのである程度のお金が必要ですが、プレビルドなら少しのお金で予約権利を買ってそれを売ることができます。

当時は予約権利を買って売っただけで100万円とか200万円くらい儲かることもよくありました。私も利益を得ましたよ。まあ、あれは投資というより投機ですが。


華子
今のタイの不動産はどうですか?


バンコク大家さん
今は円がバーツに対して弱くなっています。タイ国内の不動産価格も高騰していて、立地のいいところは表面利回りで5%、実質利回りで2.5〜3%程度なので、買う意味がありません。

業者の中には、「 こっそり民泊をやればいい 」という人もいるようですが、タイは日本と同じく制度が決められているので、それはルール違反です。

そんな中、日本やその他の国の大手企業がタイの企業とジョイントベンチャーを立ち上げ、次々に新たな物件を作るため、ますます供給過剰になっています。

日本の進んだ工法やサービスが入ってくるかと期待したんですが、タイ側の企業にまかせきりのケースが多いようで、ちょっとがっかりでした。


バンコクの賃貸アパート

■ 次にやるなら低家賃アパートの新築か更地投資

華子
では、バンコク大家さんは、もう不動産は買わないのでしょうか?


バンコク大家さん
マンション( コンドミニアム )の区分所有については少なくとも今は様子見ですね。以前と比較した場合、余りにも旨味が減っていますので。

あと最近、外国人をテナントにした際の大家の責任が非常に重くなったんです。いちいち役所に入居履歴を届けなければいけない。怠ると罰金です。また来年から固定資産税導入が決まっていますので、購入を検討している方は慎重にされたほうがいいですよ。

個人的には更地関連が良いと思いますね。5年保有でまず1.5倍以上になります。たまに草を刈る程度で管理も実に楽チンです。タイでは日本でいう屋台のようなトラックを使った小さな移動店舗が多いんです。そういう人相手に土地を貸すのもありですね。大家サイドで上物を提供する必要もありません。

タイは今、出生率が1.5を切り、人手不足です。労働力を補うために、ラオスやカンボジア、ミャンマーから500万人くらい受け入れていますが、そういう人たちが住む低家賃アパート経営という方向もあると思います。

華子
アパートの建築費や利回りはどれくらいなんでしょう?


バンコク大家さん
一部屋20平米として、2階建ての8部屋のアパートを建てた場合、建築費は1室当たり35万円〜40万円くらいです。タイの労働者は自炊しないのでキッチンはいりませんし、気温が高いのでシャワーも水で大丈夫です。

ただ、家賃も安いので爆発的な高利回りというのは期待しないほうがいいです。中古のアパートも流通しているんですが、安くならないんですよね。いい場所の土地も出てきません。

今までのように日本人投資家が日本人( 主に駐在員およびその家族 )に部屋を貸す、その結果高い収益が自動的に期待できる、手間暇&諸経費もかからない〜という時代はほぼ終焉したと思います。新たな方向性を模索する時代になってきていますね。

ただそうなると、現地の人とのしっかりとした関係作りが何より大事で、それは一朝一夕で出来ることではありません。日本人からすれば「 騙されるのでは? 」ということですが、彼らからしても「 信用に値する、心から腹を割って話せる外国人か? 」ということになりますので。ですからハードルがかえって高いかもしれませんね。



■ 日本を見限ってタイに来る富裕層たち

華子
現地の方の目線で考えているのですね。日本人から見た時、タイ不動産のうまみは減っているとのことですが、移住やロングステイ目的で訪れる方は今もいますか?


バンコク大家さん
そうですね。富裕層の方がアーリーリタイアメントをして、移住してくるケースは多いです。日本でビジネスで成功して、タイに来る若い人もいますよ。20代、30代で5億とか10億もっている人もいます。中には不動産投資で財を成した方も少なくありません。

彼らは日本を見限ってきた、といいます。国民の政治への無関心、バラエティー番組しか流さないテレビ、そんな日本の未来に期待を持てないというんです。いわゆる日本見切り組ですね。

ただ、私が言うのもおかしいのですが、日本にはいいところがたくさんあると思います。日本人が考える以上に、日本をリスペクトしている人が世界には多くいます。海外へ日本のよさをPRする方法も、もっといいやり方があると思います。

華子
移住やロングステイではなく、遊びに来る方をご案内することもありますか?


バンコク大家さん
ええ、案内というか便利屋というかワンナイト秘書というか・・・。タイは日本に比べると色々なことがゆるいので、羽を伸ばしに来られるんですね。ご存知かと思いますが、ナイトレジャーは一大産業になっています。

前編で話に出た同性愛にも寛容な国で、性的マイノリティーな方への差別もまったくありません。タイではゲイのカップルも堂々としていますし、親子ほど年の離れた夫婦もよく見かけます。

日本人の50代くらいの男性がタイに若い愛人を作り、こちらに日本とは別の家庭を持つという話もよくあります。タイの女性からすれば、生活の為なんですが、日本人は運命の相手だと思っている。そんな情景もタイの一コマです。



華子
治安はどうでしょうか?


バンコク大家さん
女性が夜一人で歩いていても大丈夫ですよ。ただ、世界で2番目に交通事故が多いといわれているので、路上では注意が必要です。それと残念ながら、ドラッグがかなり蔓延していますので、巻き込まれないように。それでも、普通に暮らすには快適だと思います。欧米系やロシア人の移住者も多いですよ。

■ 今、ステージ4のガンだといわれても、ただ受け入れるだけ

華子
バンコク大家さんのおすすめの本、映画、音楽を教えてください。


バンコク大家さん
本は宮内勝典( みやうちかつすけ )の「 グリニッジの光りを離れて 」です。今は河出文庫に入ってますが、若い頃、非常に影響を受けたというか憧れましたね。



音楽はサイモンとガーファンクルのアートガーファンクルがソロで出した「 BREAKAWAY 」というアルバムです。ジャケットも私の好きな写真家の作品なんです。中1のときに知ったんですが、未だにこれを超えるアルバムに出会っていません。



映画はイラクの「 運動靴と赤い金魚 」という作品が小津安二郎のような空気が流れていてよかったですね。鎌倉にある小津さんのお墓が自分の家の墓と同じ区画にあるので、親近感があるんです。日本の作品では「 茶の味 」という映画も好きです。





華子
これからの目標を教えてください。


バンコク大家さん
やりたいことは大体やりきりました。行きたい場所はほぼすべて行ったし、自由時間も普通の人の何十倍、何百倍とありました。昭和30年代の平和な日本に生まれ、DVを受けることもなく、災害に遭うこともなく、会社もブラック企業というわけでもなく、タイに来るときも特には反対されず、ここまでこれました。

自分の才覚などはただ一つもなく、全て周囲の人々と環境に恵まれただけの結果です。ただただ今まで出逢った日本、タイ、それ以外の国の方に感謝しかないですね。

根無し草でポリシーがあるわけでもなかったので、身内に申し訳ないという気持ちが正直あります。今、ステージ4のガンだといわれても、自分自身はただ受け入れるだけです。親には迷惑をかけますが。

■ ローカルなタイを楽しみたい方はご連絡ください

華子
日本には戻らないんですか?


バンコク大家さん
11月から4月は寒くていられません。一年に一週間程度帰国しますが、早くタイ料理を食べたくなってしまいます。東京に来るとコンビニのレジに並ぶのにも緊張するんです。みんな、急いでいるから、モタモタして迷惑をかけたらいけないと思ってしまって。

でも親は90歳、80歳を越えようとしています。今まであまりに不義理にしていますし、身体の問題も出てくるでしょう。自分に出来ること、しなければいけないことがあれば、日本に戻るということもあるかもしれません。

その時には漢字どころか、ひらがなカタカナ練習帳からやり直さないとダメですね。この前帰国した時、牛丼のチェーン店に入ったら店の人に「 テイクアウェイ? オア イートヒア? 」と聞かれました。もう日本人には見えないんでしょうね・・・

華子
このコラムを読んでいる方へメッセージをお願いします。


バンコク大家さん
「 タイ不動産生活ガイド 」というサイトでタイの不動産や現地情報を発信しています。ご質問、ご相談があればお気軽にどうぞ。わかる範囲でお答えします。また来タイの予定がある方も気軽にお声がけください。

師団長加藤ひろゆきさん&ご家族の皆さんとも、2度ほどバンコクやアユタヤなどご一緒して、濃い時間を過ごしました( 笑 )。

一人では行きにくい、不安がある、ガイドブックに出ていないローカルな場所へ行きたい、モデルルームなどでなく実際のタイのコンドミニアムやアパートをじっくり見てみたい等、なんでもお尋ねください。


チャオプラヤ川


華子の編集後記
自由に生きていい。生き方は人の数だけある。日本にいると忘れがちなことを教えてもらった気がします。バンコク大家さんおすすめの本、音楽、映画はぜひ読んで、聴いて、観てみたいと思いました。バンコク大家さん、ありがとうございました。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ バンコク大家さん



タイ・バンコク在住
「タイ不動産生活ガイド」運営者

サイト:「タイ不動産生活ガイド」
※サイト内での名前は「カルナ―音山」
ブログ:バンコクマインド

■ 主な経歴

□1962年

神奈川県で生まれる

高校在学中に初の海外旅行でケニアとインドへ。
以後、海外への関心が高まる。

大学卒業後、東京の企業に就職。
出版・広報・広告等の事業を担当。
仕事やプライベートで多くの国々を訪れる。


□2005年(42才)

会社を辞める

□2006年(43才)

外国人でもタイに永住できるタイランドエリートカードを取得し、タイへ移住

タイ不動産に将来性を感じ、コンドミニアムの購入や売却、賃貸などを試行錯誤しながら実際に経験、その過程でタイのディベロッパーやタイ人オーナーなどに多くの知己を得る

プライベートの趣味は音楽鑑賞でジャンルはジャズ、ソウル、ロック、ブロードウェイのミュージカルナンバー、タイポップスなど幅広い。

バンコクの自室にはBrian Wilson, Burt Bacharach, Wayne Shorter, Doopees, Niece などお気に入りのディスクが並んでいる

■ 著書


はじめてのタイ不動産投資


MOOKワイワイタイランド『タイ不動産特集』を全面監修


■ タイで暮らして良かったことベスト3

□第1位、人の優しさ

タイの人は基本、自分は自分、人は人。ですので外国人にも寛容です。それが居心地の良さに繋がっているのでしょう。電車や街なかで笑顔に出くわす確率がとても高い。

言葉の壁は多少ありますが、タイの人との会話って楽しいですよ。ユーモア好きでジョーク連発です。「なかなか日本語が上手いね、君は。どこで習ったの?」なんていつもからかわれています。

□第2位、食の豊富さ

日本でもタイ料理、人気がかなりあると思いますが何といっても本場で食べるのが一番です。スパイシーな味付けが好きな自分には最高としか言いようがありません。

日本食のチョイスも豊富でイタリアンや中華の名店も多いので、まさに食天国です。最近はお洒落なカフェやバーもいっぱいありますので女性にもお勧めです。

□第3位、住居の快適さ

購入でも賃貸でも、外国人だから手続きが難しいということがありません。共用施設も充実しているし、個性のある建物が多いので物件比較だけでも楽しい。過去何百件と実地に足を運んだかと思います。

自分が今住んでいるのは10年前に購入した築古コンドミニアムですが、居心地が良くて大変気に入ってます。外出していても、早く部屋に帰りたくなったりしますから。

誰かが待っているというわけでもないのですが、「音楽」と「本」と「映画」という付き合いの長い3人の素敵な彼女が居ますので。

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