■民泊新法出来たての頃は、みんな手探り状態だった
鳩子さん
民泊で稼いだ種銭で物件を買うことにしたんですが、不動産投資の方は、まだ全然初心者なんです(笑)。おかげで不動産投資家さんと利回りの話をするとき、民泊の頭からうまく切り替えられなくて。
トモコさん
そうか、民泊は普通に一桁違う世界ですからね。不動産では都心で利回り10%と言ったらすごい!と思うけど、民泊で10%って言ったら、そんなので大丈夫?と思いますよね。それ100%の間違いでしょって。
鳩子さん
そうなんですよ。民泊だと100%から300%ぐらいまで回せるので、そういうところも勉強しつつやっていきたいと思っています。
トモコさん
そうなんですね。ちなみに民泊はどうやって勉強したんですか?
鳩子さん
実は、何かの本を読んだとかサイトを見たとか、動画を見たとか、そういう勉強はしてないんです(笑)。
2018年の6月15日に民泊新法と言われる、住宅宿泊事業法っていう法律ができたんです。当時は、もっと宿泊施設を増やして東京オリンピックに向けてインバウンドを取ろうっていう頃。
でも法律が出来たてなので、保健所も消防署も関係各所が全然分かっていない状態だったんです。みんな手探りでやっていた感じでした。
私も1件目の相談で保健所に行った時は、全く分からない状態で行ったんです。保健所の人もあまり分かっていないので、お互い調べながら、いろんな人に教えていただきながら始めました。
トモコさん
その頃すでにお知り合いで始めていた方とかはいらっしゃったんですか?
鳩子さん
いや、周りに誰もいなくて。私はとにかく自分が借りた1軒でどうにかして家主居住型で許認可を取ろうと必死でした。
家主居住型は、消防設備にほとんど追加工事がいらずに済んだので、設備投資とかリフォームがほとんどいらなかったんです。とにかく保健所に行って言われた書類を集めるという作業でした。
書類に言われた文言を書く、チラシを配れと言われたら配って、そういう感じで保健所の方に1から10まで教えていただきました。
■2018年6月15日、その日闇民泊が一斉に消えた!
トモコさん
そうだったんですね。私が最初に始めようと思った時期も、同じ頃だと思います。新法ができるらしいと話が広まっていた時期ですね。その頃はたくさん調べて、いろんなセミナーにも行きました。
元々横浜でやりたかったんです。横浜の簡易宿所は比較的許可が取りやすくて。民泊用に戸建てを買おうと思って見に行って、買付まで入れて、買う直前まで行ったんですが、結局買えなかったんです。そこでテンションが下がってしまいました。
そうして今またテンションが盛り上がってきたところなんです。その頃始めて、すごい勢いでやっていた人も当時私の周りにはたくさんいました。
鳩子さん
おそらく不動産投資家さんの間で流行った時期って、2015~16年あたりじゃないかと思います。
海沿いのボロ戸建を買って、安く直して消防設備を安く入れて、300万円くらいで仕上げて、利回り300%で回すやり方で、ボロ戸建投資家さんの間で民泊投資が流行ったんですよね。当時のエアビーはとにかく物件さえあれば載せられた時代でした。
2018年6月15日に民泊新法ができて、きちん法整備されて、今までグレーゾーンだった闇民泊が淘汰されました。エアビーの渋谷のページの物件が99%消えたんですよ。
トモコさん
そうそう、真っ白だったよね!
鳩子さん
私あれ見た時に、あんな大きな顔して載っていたのに、みんな闇民泊だったの!?と思ってちょっと笑いました。すごく衝撃的な出来事でした。
トモコさん
都心のワンルームでやっていた物件は、あの時ほとんど消えた印象がありますよね。
鳩子さん
大家さんの許可を取らなかったり、設備も全く入れないでやっていたり、上乗せ規制があるような区でこっそりやっていたりとか、たくさんありました。それを考えるとちょっとずつ法整備がされてきて、今はかなりクリーンになった感じがします。
トモコさん
確かにその頃は私の知り合いの大家さんでも、ワンルームをいくつも借りて渋谷でやっている人もいましたけど、部屋のクオリティの低さにビックリしました。
室内も簡単なパイプの二段ベッドにぎゅうぎゅう詰めで、安い折りたたみテーブルが申し訳程度にあるぐらい。でも当時はそれでも入っていたんですね。
鳩子さん
それでも宿が足りなくて、もう出せば入るような時代だったんです。で、その2018年に法整備が入って99%の闇民宿が消えたおかげで、残った1%のちゃんと許認可を取った民泊の単価が、ものすごく上がったんですよ。
おかげですごくクリーンになり始めました。そういう意味では、法律ができるタイミングって、ビジネスの分岐点になるんだなって目の当たりにして思いましたね。
■旅館業をとらなくてもやっていけると確信
トモコさん
許認可系を保健所の人に教えてもらったら、あとは家具を揃えて、写真を撮ってサイトに載せる作業ですね。やっぱりそれも手探り?
鳩子さん
家具、家電は買うお金がなくて、ジモティで引き取っていました。ヘタヘタのソファーとか、冬になると全部凍っちゃう冷蔵庫とか(笑)。これ大丈夫かなって物たちを、レンタカーを借りて取りに行って、それを部屋に置きました。
そして脚立に乗って上から写真を撮る。そういう感じの寄せ集めインテリアと寄せ集めの写真みたいな感じでやっていたんです。でも、それでもめちゃくちゃお客さんが来たので、なんか民泊ってすごいなって思った記憶がありますね。
トモコさん
最初に借りた池袋の物件、大きかったんですよね。何部屋でしたっけ?
鳩子さん
5DKのお家だったので、1部屋は自分で住んで、上階の4部屋を1組ずつに貸していました。
貸していくうちに長期の人が泊まってくれるようになって、部屋がどんどん埋まっていったんです。最終的に民泊として稼働していたのは1~2部屋ぐらいでした。
トモコさん
それって下宿みたいですね。
鳩子さん
そうですね。そこは新法の物件だったので、年間180日しか貸せなかったんですけど、マンスリーで泊まってくれる人が結構多かったので、それと組み合わせれば年間の利益が結構出るなと、やっていく中で感じました。
旅館業をとらなくても結構いけると思ったので、そこからはずっと新法ですね。だから自分で旅館業をとろうと思った物件は1件もありません。得意なのはマンションタイプを新法でやるっていう手法です。
トモコさん
都心だと長期の人が多いから、そういうスタイルがやりやすいですよね。それも都心の良いところだと思います。
■物件は家に近い方が便利
鳩子さん
ただ利益が最大化されるかどうかと言われると、やっぱり旅館業の方がいいし、365日貸せる方がいいし、大きい物件の方がいいと思います。そもそも自分はあくまでも副業で、労力があまりかけられないという事情があったので、いろんな場所でやるっていうよりは、ドミナントでやろうと思いました。
さらに言うと、同じマンションに何部屋も借りていこう、という感じです。そうやって物件を増殖させていきました。
トモコさん
その手法はすごくいいですね。そうしたら、比較的他の部屋は近いってことですか?
鳩子さん
近いです。今までずっと池袋を拠点にして、北区、豊島区、板橋区などでやっていたんですが、3年前に自宅を引っ越してエリアも変わりました。
会社が移転したので通勤経路を変えようと思って、会社の近くに引っ越したんです。今日お越し頂いた物件は港区ですが、自分の居住地に合わせて選んだ立地です。
トモコさん
実際家に近い方が便利だと思いますよ。今私が立ち上げ中の物件も、家からちょうどドアツードアで1時間くらい。私は会社員でもないから時間は比較的取れるので、往復はそんなにしんどくはないですけど。
でも何かトラブルがあった時にすぐ通えるかって言うと、それくらいの距離でも面倒くさいなと思うので、本当に近くでやるのがベストだとは思います。
鳩子さん
そうですよね。うちのサロンの方とかも、1軒目はどこでやるのがいいかよく聞かれるんです。そういう時は、とにかく夜会社終わりに駆けつけられるところでやった方がいいですよとアドバイスするようにしています。
トモコさん
やっぱり会社員だと特にそうなりますよね。
民泊新法前後で業界ががらりと変わったのですね。次回は明日配信です。鳩子さんはすぐに2軒目にとりかかり、一気に拡大期に入ります。お楽しみに!(担当:T)