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虫を殺さないベトナム人にブラックキャップを贈呈!外国人入居者に日本の文化を教える重要性【第3回】

大家対談/ソーリムウーハー×谷浩さん_画像 大家対談/ソーリムウーハー×谷浩さん 著者のプロフィールを見る

2023/10/19 掲載

健美家コラムニストの谷浩さんと埼玉県でサラリーマン大家をしているソーリムウーハーさんによる、外国人入居者について考える対談の第3回です。家賃滞納対策としてもSNSを駆使するのは有効な時代になったというお話を伺いました。今回は汚部屋を語るとき避けては通れない「G」のお話から始まります。

■まっくろくろすけに見る、ベトナム人の虫を殺さないという文化

ソーリムさん
実は僕の奥さんは管理会社で働いているので、外国人入居者の話もいろいろ聞くんです。ベトナム人入居者が退去して部屋に行ったら、部屋中が黒かったとか。よく見たら、リアル「まっくろくろすけ」。部屋に入ったらそれがザーッと引いたらしいんですよ。

谷浩さん
まっくろくろすけって、要はゴキブリですか(笑)?

ソーリムさん
そうです(笑)。ベトナム人って、ゴキブリと戦う文化がないって聞きました。日本人ってたいがいゴキブリを見つけたら、追い払ったりやっつけたり、戦ったりするじゃないですか。

でも、ベトナム人は戦わないんですって。見つけたら基本無視で、邪魔なところにいたらデコピンで追い払う。そういう違いがあるらしくて。彼らが掃除しないっていう文化の違いはどうすればいいんでしょう?

谷浩さん
これはね、いろいろ面白いんですよ。僕この前、殺虫剤メーカーの人と話す機会があったんです。そうしたら、日本製そのままの殺虫剤の需要があまりないんですって。ベトナムに縁のある私の知り合いの不動産屋に聞くと、ベトナム人に一番喜ばれるプレゼントは、蚊取り線香なんですって。なぜかというと、蚊取り線香は殺生をしないからいいっていうことらしくて。なので、彼はベトナムに渡航する際には、スーツケースになるべく多くの蚊取り線香を詰めて持っていくそうです。

生き物としての仲間を殺しちゃうっていうのは、あまり良い話じゃなくて、だから蚊取り線香が一番殺さず、つかず離れずでいいということらしいんです。

ソーリムさん
何か宗教的なのもあるんですかね?

谷浩さん
多分あるんだと思います。僕のところにもスリランカ人がらみで2件あって。1つは、ゴキブリが出たんだけど、どうすればいいのか分からないという相談があったんですよ。そこで日本にはバルサンっていうものがあるぞと教えてあげたら、喜んで買いに行っていました。

あともう1つは、最近3日で退去したスリランカ人がいたんです。お子さんが病気で、それで日本にやってきた人なんです。内見もしたんですけど、その後にゴキブリとかが出ました。そうしたらこんな不衛生なところじゃ住めないって言って。

僕は初期費用2万円でやってあげていたんですけど、管理会社さんが賃貸借契約とか全部やった後だったから、仕方がないなと思ってその負担は僕が被りました。だから虫とかに対する文化っていうのも、いろいろ国によって考え方が違うんですよね。

ソーリムさん
あと、やっぱり国にバルサンがないっていうことも、そういう考えからきていることなんでしょうね。僕結構そういう外国人入居者さんに、ブラックキャップを入居の時に渡すんですよね。

入居時にプレゼントする品々。数千円かかってもこれでトラブル回避ができるなら高くないとソーリムさん。

入居時にプレゼントする品々。数千円かかってもこれでトラブル回避ができるなら高くないとソーリムさん。

谷浩さん
その配慮、すごくいいですよ!

ソーリムさん
ありがとうございます。配管を詰まらせないように油固め剤とかを渡してもそうだったんですけど、彼らはこういう物があるって知らないんです。

夜逃げしたヨニゲルを紹介したラヒールもそれを見て結構喜んでいたんですけど、そういう対策がわからないっていうのも、原因としてあると思うので、それを提供してあげるっていうことで解決できるんじゃないでしょうか。

谷浩さん
ソーリムさんはすごいなと思います。僕は全然やらないけど。あなたは日本に来たんだから、ちゃんと日本に合わせろっていう風に言っちゃいます(笑)。

ソーリムさん
生き物を殺しちゃいけないっていう文化が彼らにはあるのかな。

谷浩さん
そうですよね。いろいろな国でいろいろな事情がある。だからこれから管理会社も我々大家も、外国人っていうひとくくりよりは、どこの国から来た人で、どんな社会階層で育ったかによって、対策を細かく分けていくのが必要なんですね。

■外国人が来たいと思える国になるかどうかのラストチャンス

谷浩さん
どこの国から来たとかに加えて、留学生とブルーカラーっていうのは全然違うということもありますし。それこそ高度人材で入った人と、派遣会社に入って工場労働をする人って、全然違うんです。

結構見ててかわいそうなところもあって。例えば僕が長い間面倒を見ているスリランカ人がいるんですけど、彼はスリランカではトップの大学を卒業しているんです。

でも、今彼は足利にある大手自動車メーカーのサプライチェーンの工場で働いていて、シートの部品を作っているらしいんですけど、正規雇用じゃないらしくて。週3回労働の時もあれば、週6回の時もあって、自由に使われている面も見えるんです。

だからそういう雇用の部分を見ても、現地での学歴が必ずしも反映されていないというところもあります。彼は良い奴なんですよ。リテラシーも高いし。ただ、今家族を養うために、たまたまそういう職場で働いているわけです。

ソーリムさん
企業側の仕方ない部分はあると思うんですけど、あまりそういうのもよろしくないですね。

谷浩さん
結局、外国人にとって日本が来たい国なのかどうかっていう話なんです。

ソーリムさん
日本の年収は今、世界で21番目とかですもんね。

2022年の平均年収は38カ国中21位。

2022年の平均年収は38カ国中21位。1位はスイス、米国は4位だ。

谷浩さん
経済産業省が昨年5月に発表した「未来人材ビジョン」というレポートでは、すでに部長クラスの給料は、タイに抜かれているそうです。一方で、日本のIT企業だとすごい給料を出して外国人を獲得するようになったりしていて。

ソーリムさん
そういえば最近、私の会社でも中国の方が増えてきましたね。

谷浩さん
そうでしょう。結構そういう人たちが平気で1,000万円超えで稼いでいる世界があるじゃないですか。そういう高度人材が日本にやって来てくれるのかという問題があります。

高度人材魅力度ランキングも日本は25位と下位に沈む。

高度人材魅力度ランキングも日本は25位と下位に沈む。

谷浩さん
そして技能実習生。これは奴隷的制度だから廃止という方向に最近答申も出て、特定技能という方向に切り替わって行くんですが、そこで割とブルーワーカーを受け入れていくという話になるんです。

そうすると、欧米・中東はもちろん、同じアジア太平洋地区ですと、台湾や韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、そして現在人手不足のタイとすら、競合になるんですよ。

だから果たして日本が選ばれる国になるかというのは、割と僕らの業界で現場の人と話していると、今がラストチャンスなんじゃないかなと言っています。

ソーリムさん
業界的にそういう見方なんですね。

谷浩さん
今やっぱり決定的に人材不足なんです。インバウンドにしても、観光資源はいっぱいあるんだけど、そもそもスタッフが足らないという問題があるんです。

例えば、秋葉原にある進化系カプセルホテルに最近宿泊したのですが、約180室の部屋を3名のスタッフで回して、スタッフが多ければ全室稼働ができるのに、それができない状態でした。

午前5時にチェックアウトしたのですが、私のような宿泊客に愚痴が溢れてくるということは、それだけ現場が切迫している、ということの証左だと思います。

ソーリムさん
それはもったいないですね。

谷浩さん
でもそれが現実なんです。そこに外国人を引っ張ってくることができるかどうかというのは、これが結構難しい問題ですね。

■札幌なのに自分以外全員中国人だった

ソーリムさん
日本は今、出口が見えないですもんね。円安で、観光の国になっちゃうんじゃないかな。

谷浩さん
そういえばこの前札幌に行ったんですが、すごく象徴的な出来事がありました。札幌は主に台湾人の方々が観光に来ることが多いのですが、狸小路という有名な観光商店街があって、ある大手チェーンのドラッグストアに行ったんですよ。

そうしたら店員が中国人で深?出身の女の子。薬剤の販売資格を持っている人も中国人です。店員さん全員中華系。お客さんも中華系。日本人なんて自分以外一人もいないんですよ。

ソーリムさん
普通のドラッグストアだけど、完全にターゲットは外国人の観光の方なんですね。

谷浩さん
そういうことです。ドラッグストアに行く需要自体はコロナ前から日本のお土産としてあったんですが。

ソーリムさん
僕がアパートを持っている湖西市は工場地帯なんですよね。だから結構そういう工場労働をしに来る外国の方が減って、観光の方が増えるという傾向になると、厳しくなってくるな。

■友達と親類が遊びに来るVFRという需要

谷浩さん
インバウンドといえば、実は今ちょっと民泊を始めようとしているんですよ。でもどちらかというと、これは必要に迫られて始めた事業なんです。

欧米に行くと、VFR(Visiting Friends and Relatives)という概念があって、これが観光需要のうち、イギリスなどでは4割くらいを占めているそうです。

例えばエアビーとかブッキング.comといったOTAは、一回こっきりでリピーターが10%もない世界。ところが、僕たちは外国人の入居者さんとか外国人の労働者をサポートする仕事をしている人たちをたくさん知っていますよね。

そういう人たちのところに友達(Friends)とか親類(Relatives)が来るんです。何とかならないかと、うちらのところに相談に来るんですよ。

ソーリムさん
彼らが観光で来るときに、宿泊先として来るわけですか。

谷浩さん
そうです。ちょっと面白いのが、VFRは友達や親類の家に泊まるからあまり宿泊需要はないと、いろんな分析資料に書かれているんです。

でも、実際僕らが感じているところは全然違っていて、私の仲間や私が何とかしてくださいと言われるんですよ。

ソーリムさん
そういう外国人相手だと、場所はどのあたりがいいんですか?

谷浩さん
全国どこでも需要があります。今や外国人って、どこにでもいるじゃないですか。観光、それからビジティング、要は親類とか友達を訪ねる人たち。親類を訪ねることってよくあるんですよ。

僕も海外旅行に行くと、別に観光なんてしないですよ。観光地を訪れるなんて全然好きじゃなくて。海外行くときって、親類とか友達を訪ねたりとか、そればっかりなんです。

ソーリムさん
その人の家に泊まるんじゃなくて、近いところに泊まるんですか?

谷浩さん
その人の家に泊まることもあるんですけど、例えば僕に家族がいたりしたら、その人の家に泊まれないじゃないですか。そんなにいっぱい部屋がある家ってなかなかないから。

特に東京だと狭いから、そんな家族で来てもらっても泊まれる場所がない。だから需要がちゃんとあるんです。そういう世界ですね。

ソーリムさん
そうか。そういう需要があると、大家としては希望が持てますね。

(編集後記)
外国人入居者の話から、出口の見えない現代日本の問題点が図らずも浮き彫りになってしまいました。外国人が選んでくれる日本になって欲しいと切に思います。明日はいよいよ最終回の配信です。どうぞお楽しみに!(担当:T)

 

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プロフィール

ソーリムウーハーさん

ソーリムウーハーさんそーりむうーはー

DIY系サラリーマン大家
埼玉県在住
宅地建物取引士
不動産管理会社勤務の妻と、「世界一の金持ち」を目指す息子(11歳)、の3人家族

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1975年
    東京都練馬区に生まれる。

    □2009年
    2社の超ブラック企業(時給300円台)を経て、まともな大手IT企業に転職

    □2011年
    肉を食べるのをやめる

    □2014年
    目標だった『営業全国トップ』を達成!次の目標を『トニースタークの家みたいな豪邸を建てる!』に設定する

    お金の本を読み漁り『不動産投資』にたどり着く

    □2015年
    宅地建物取引士を取得

    □2016年
    静岡『1棟目アパート(8戸)』を購入

    □2017年
    退去修繕の見積もり額を見て絶句。やむを得ずDIYリフォームを開始

    電動工具の魅力に取り憑かれる。クリスマスイブにアパートの1部屋が火災で全焼

    □2018年
    静岡『2棟目アパート(4戸)』を購入

    □2020年
    茨城『9万円ボロ戸建』と『隣の空き地』を購入
    埼玉『崖の上の傾き戸建』『元寿司屋』を購入

    息子がガチャガチャビジネスを開始

    □2022年
    埼玉『元喫茶店』を購入

    □2024年
    6棟16室 家賃年収 960万円(満室時)

    「危険な工具を使わなくても、大工作業はできる!」ことを証明するために、『安全DIY宣言』を発信しながら、あらゆるDIYリフォームを実践中!

    『安全DIY宣言』
    ・危険な工具は使いません
    ・高所での作業はしません
    ・安全具なしで作業しません

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プロフィール

谷浩さん

谷浩さんたにひろし

神奈川県・栃木県在住
外国人賃貸大家の会代表
約25世帯の外国人を受入

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経歴
  • □197X年

    東京都生まれ、3人兄弟の末っ子として、ぬくぬくと育つ

    □199X年

    1年浪人した後、北関東のとある大学に入学。寮のぼろさとバスの運賃が距離に応じて変わること、方言が全く理解できないことにカルチャーショックを受ける

    □200X年(20代前半)

    外資系コンピュータメーカーにSEとして就職。外資なので外国人と働くのかとおもいきや、先輩上司の80%が関西人。突っ込まれキャラとなる。世間知らずのため苦労するが、何故か偉い人とお姉さまに可愛がられる

    □200X年(20代後半)

    体調を崩し同社を退社。留学でもしようかと思っていたが、知り合いのプロジェクトを手伝うように依頼を受け、イスラエル製ソフトウェアの日本総代理店立ち上げ業務をフリーランスで受ける

    □200X年(30代前半)

    会社の本業が傾いたため、クビを切られる。フリーで仕事をする難しさを知り、同時に海外関連の仕事をしたかったため、サラリーマンに戻る

    海外関連の仕事をする予定が、なぜか当時立ち上がったiPhoneアプリを作ってくれという依頼を受ける。新規事業で人が足りなく、企画、マーケティング、営業、開発プロジェクトマネージャ等々面倒くさいことすべてを引き受けてしまう

    □200X年

    担当したアプリがApp Storeの年間売上ランキング1位に輝くが、本人も会社もその価値に全く気が付かず…(今で言うと、パズドラなどと同じポジション)

    同時に、アジア圏のスマホサービスの立ち上げ、構築に携わる。会社で亜流の仕事を引き受けてばかりいたため、いつしか“イロモノ担当”の評価を受ける

    □2013年(30代後半)

    とある金融セミナーにて、33才ですでにセミリタイアしている人に出会い衝撃を受ける。その人が不動産投資を行っていたことから、大家業に興味をもつ

    □2014年

    宇都宮市にマンション一棟を購入、大家業開始、いきなり毎月40万円の持ち出しとなり、貯金が激減して落ち込む

    不動産賃貸業界が「マーケティング」をほとんどやっていないことに衝撃を覚える。IT業界で学んだマーケティングを賃貸経営に生かし、無事に満室へ。

    足利市にマンション一棟を購入、同市は空室率30%以上にも関わらず、外国人が住居を見つけるのにとても難儀している状況を知り、衝撃を受ける。

    □2015年

    体調を崩したことを期に、会社勤めが向いていないことをサラリーマン15年目でようやく気が付く。外国人によりよい住まいを提供するため、サラリーマンを卒業し、起業を決意する

    □2021年

    外国人だけでなく、独居老人・障害者・シングルマザーの方々など、住まいを見つけるのに苦労している方々が入居者に多かったため、その生活課題や環境を理解するため、YMCA社会福祉専門学校に通い卒業する。

    □2021年

    大家さんの立場で外国人入居を積極的に取り組んでいる人がレアだということを認識し、外国人賃貸大家の会を設立する

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