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相場家賃の1.5倍で満室!全戸異なるコンセプトで人気の学生アパート【建築家と建てる賃貸住宅】

収益物件購入・売却/建築家の賃貸住宅 ニュース

2024/03/08 配信

少子化が進み、学生向けアパートは競争がより激しくなっている。学生向けのアパートが多い神奈川県平塚市で、ユニークな設計で人気を集めている物件がある。木造2階建てだが、中庭を囲むような設計で、全8戸それぞれ間取りや内装が異なっている。

それも「カフェ風」「屋根裏風」「和テイストの部屋」など同じアパートだと思えないほど部屋によってがらりと雰囲気が異なっている。

手掛けているのは、株式会社ムービング・アーキ一級建築士事務所 李 孝哲(イ ヒョチョル)氏だ。

李氏のもとには大手ディベロッパーから大型マンションの設計の依頼や海外投資家からの依頼も多く寄せられている。健美家読者にとって、今後の投資のヒントになるような魅力ある賃貸住宅を建てるコツを聞いた。

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シンボルツリーを配置した中庭が入居者の憩いの場所に

競争が激しい場所だからこそ、長く飽きさせないデザインに注力

賃貸住宅を建てるうえで忘れてはならないのは「利回り」よりも、他の物件とは大きく異なる特長を持たせ、競争力を高めることだと李氏は考えている。

「部屋数を増やせば利回りは上がりますが、賃貸住宅にとって重要なことは競争力。そして、その場所に適した建物であり、地域のニーズを見極めること。そのためエリアをよく知っている人の関わりが欠かせません」

今回取材した平塚の学生向けアパートでは、この地域の学生アパートを管理している管理会社に依頼し、市場調査を綿密に行っている。そもそもこの物件のオーナーさんは教育機関で長年働いた経験があり、学生への愛情がベースになっている。

建設予定地は大規模な大学キャンパスに近い立地であることから、学生向けのアパートの計画がまとまった。しかし学生向けアパートは古くなればなるほど空室が増え競争が激化している。そのため周辺物件と大きく差別化する必要があった。

「市場調査に基づいて、周辺の物件よりも広さを確保し、デザインで差別化することにしました。全8戸あり、住戸の位置や光の入り具合なども考慮して、それぞれの住戸に入居する 8名の入居者の人物像を絞る『ペルソナ設定』をしました。

1階の道路に面した部屋は男性の入居者を想定し、採光性の良い部屋は女性の入居者が料理を楽しめるような部屋にとイメージを膨らませました」

下の写真を見るといかにバラエティーに富んだ部屋であるかがよくわかる。

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《料理が楽しめる「カフェ風」部屋》道路から奥まった1階で、明るい光が入ることから、女性の入居者を想定。自炊がしやすいよう、キッチンとリビングを分け、キッチンにはお気に入りの食器などを飾りたくなるような棚を設置
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《琉球畳を用いた和テイストの部屋》1階の中庭に隣接する住戸であることから、玄関と和室の間に『土間』を設けた
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《天井が高い、ロフトのある部屋》2階の住戸には天井が高く確保できた利点からロフトを採用。シーリングファンやブルーのクロスでクールな印象に
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《木のぬくもりを感じる屋根裏風の部屋》構造材の梁を見せ、濃いブラウンの引き戸やL字型のカウンターキッチンで友人を招いて食事を楽しみたい空間に

全戸異なるコンセプトにした結果、半分以上は想定通りの入居者で決まったそうだ。春の入学シーズンに間に合うように計画をして、工事が終わる前にインテリアを反映させた模型を作って募集した。

「どの部屋もほぼ 1人目に案内した人で決まったと聞いています。この場所は新築の学生アパートでは相場家賃が 4万円ですが、その1.5倍の家賃6.5万で満室になりました」

学生アパートでは、学生の『親』が決定権を握っていることも忘れてはならない。学生はもちろん、その親も説得できるような住環境を整えることが重要だ。たとえば親世代は防犯面を重視する傾向が高いことから、「オートロック」で、内廊下を通って2階の住戸に行く点など防犯面にも配慮した。

設備はコストをかけるところ、かけないところのメリハリを

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1階の道路側に面した部屋は、男性入居者を想定。あまり料理をしないと想定し、キッチンはシンクだけの簡易的なものに。ポータブルのIHを置くなど想定した

室内を見ると、部屋によってキッチンが簡易的な部屋もある。たとえば上の写真は、木のカウンターキッチンにシンクがあるだけだ。

「ペルソナを絞ったことで設備面でも必要なものと必要ではないものがイメージしやすく、メリハリをつけました」

設備にメリハリをつけることで、コストを抑えることにもつながっている。建築家の視点から、これから賃貸住宅に投資をするなら、どんなことを意識するといいだろう?

「最近ではRCの賃貸住宅が流行し、RC造の依頼が増えていています。個人投資家さんの場合、高い家賃が取りやすい人気エリアであれば、小規模のRC造の賃貸住宅に取り組むのもいいでしょう。長期で高く貸せて、手放す際も、高く売れる可能性が高いですから」

李氏が率いる株式会社ムービング・アーキ一級建築士事務所では2020年に鉄骨造のマンション「クリオ片瀬江ノ島」の設計で、GOOD DESIGN賞を受賞している。2022年には木造の建築物で「三重県建築賞」、「みえの木建築コンクール優秀賞」を受賞している。

「デザイン性で選んでもらえたら嬉しいですね。意匠的なデザインや奇抜なデザインではなく、その場所とそこに住む人と、時代性、地域が求めるデザインを提案するように心掛けています。当たり前のことかもしれませんが、その当たり前のことを、手を抜かずに続けることが大切だと考えています」

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株式会社ムービング・アーキ一級建築士事務所 代表取締役 管理建築士・一級建築士李 孝哲(イ ヒョチョル)氏

1968年 韓国ソウル生まれ。韓国壇国大学校 建築学科卒業。千葉工業大学大学院 建築学科修士課程卒業。三井住友建設株式会社 設計本部勤務などを経て、2013年に株式会社ムービング・アーキ一級建築士事務所を設立。 現在は注文住宅から、大手ディベロッパーのマンション、商業施設など幅広く携わっている。

●取材協力:建築家ポータルサイト『KLASIC』
相談できる「建築家」が見つかる。建てたい「家のイメージ」がみつかる建築家ポータルサイト

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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