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区分マンションの重要事項調査報告書が高騰?~売らせないための攻防戦!?~

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2024/01/06 配信

区分マンション投資の購入段階において重要な判断材料の一つとされるのが共用部分の管理状態だ。新築時から現在までの管理・修繕の履歴、あるいは今後の運営予定に関する情報は、専有部分と同じかそれ以上に収益性・資産性を判断する材料となり得る。

上記の情報を得るために重要事項調査報告書や長期修繕計画、管理規約などに目を通すことはセオリーとされるが、これらの書類を物件の管理会社から入手する際には、不動産投資家サイドからは見えにくい閉鎖的な力学が存在することは意外に知られていない。

今回、不動産活用のコンサルタントとして区分マンション取引にも造詣の深いK氏から、重要事項調査報告書にまつわる最近の傾向について話を伺った。

区分マンション購入を検討した方なら一度は目にしているであろう「重要事項調査報告書」の”裏側”を取り上げる。(写真はイメージ)
区分マンション購入を検討した方なら一度は目にしているであろう「重要事項調査報告書」の”裏側”を取り上げる。(写真はイメージ)

表にはなかなか出てこない重要事項調査報告書の価格?

区分マンションを購入する際、買主が個人の場合に本人が管理会社に直接コンタクトして重要事項調査報告書を取り寄せることは少ないだろう。売主たる不動産会社あるいは仲介会社が入手してくれるケースが多いとされるが、その状況下で起きているトレンドについてK氏は述べる。

「ここ最近、重要事項調査報告書を取り寄せたときに数万円かかった、という事例を聞きます。建物管理会社に資料を出してもらう際の費用が全体的に上がっているようです。

不動産会社間の取引という、表からは見えにくい閉鎖的な世界で行われている”攻防戦”と言えるかも知れません。」

なぜ重要事項調査報告書の価格が”高騰”している?

直近の区分マンション購入に関するコラムでも、重要事項調査報告書の入手局面に関する描写がある。K氏においても、元々は数千円程度で入手できるという認識だったと言う。

「もちろん管理会社が収入源の一つとして考えている面もあるでしょうが、最近ブツ上げ業者の動きが活発であることも関係しているかも知れません。こと投資用物件においては『売らせないための策』として、重要事項調査報告書の値段釣り上げが行われているのではないでしょうか。

新築から管理を続けているディベロッパー系列の管理会社においては、共用部分だけでなく専有部分の賃貸管理も一定戸数を担っている場合が多いでしょう。その場合、オーナーが変わることは自分達の賃貸管理戸数が減る可能性を意味するため、買主とその仲介業者はいわば『競合』とも言うべき存在となります。」

重要事項調査報告書の価格を上げることで流通の抑止力にしているとすれば、売却したい現オーナーにとってもこれから購入したい未来のオーナーにとっても間接的だが不利益になりかねないとも言えそうだ。

K氏によると、重要事項調査報告書、長期修繕計画、管理規約などが「パッケージ」になっていることも少なくないそうだ。(写真はイメージ)
K氏によると、重要事項調査報告書、長期修繕計画、管理規約などが「パッケージ」になっていることも少なくないそうだ。(写真はイメージ)

管理組合の観点からできることは?

たとえ管理会社に業務委託しているとはいえ、共用部分そのものやその履歴情報は管理組合に帰属する資産のはずだ。管理組合としては、自分達の財産の一部とも言える情報が思わぬ形で管理会社に利用されているとも言える。

加えて間接的とはいえ各区分所有者にも不利益になりかねないとしたら、区分所有者の集合体でもある管理組合として何かできることはないのか。K氏は解説する。

「管理組合として管理会社をコントロールできる関係性にあれば、例えば管理委託の業務内容として明記したうえで発生した収入の取り分について定めるなど、規制上や立場上の観点からは可能と思われます。

ただ、そもそも投資用物件の管理組合は機能していないことが多いため、アクションを起こせる管理組合はあまりないのが実態でしょう。また、重要事項調査報告書を取り寄せする買主がいたとしてもその時点ではあくまで『購入希望』に過ぎないため、管理組合との直接的な利害関係として認識されにくい事情もあります。」

投資用物件に特有の事象として、今後も高騰傾向が続く?

同じ区分マンションと言えど、区分所有者が自ら居住する「実需」主体のマンションにおいては同様の現象は起きにくいのではないか、とK氏は推測する。

「実需物件の場合には、建物管理会社が専有部分まで賃貸管理するという構図がありません。投資用物件と比較しても相対的に、何かあったときに区分所有者の声が管理組合に届きやすい面もあります。

一方で投資用物件は逆に、ディベロッパー系列に代表されるように管理会社の思惑が働きやすい閉鎖的な背景も手伝って、どこか1社が始めると周りも後追いするという連鎖も発生しやすい環境なのでしょう。」

K氏いわく「流通が高まるプロセスにおいても、”投資物件市場と実需物件市場で相対的な違いがある印象」とのこと。(写真はイメージ)
K氏いわく「流通が高まるプロセスにおいても、”投資物件市場と実需物件市場で相対的な違いがある印象」とのこと。(写真はイメージ)

今後について、K氏は以下のような予測とともにコメントを寄せる。

「今後は更に値上がりするという流れもあり得ます。物件売買を成約させたい仲介業者にとっては、多少高かろうが値切れなかろうが重要事項調査報告書を取り寄せる動機と需要があるからです。

しかし、仮に重要事項調査報告書の取り寄せを諦めるほどの価格設定になることがあれば、共用部分の評価は区分所有者が保管する管理組合の総会資料で代用する、などという考え方もあるかも知れません。」

オーナーにおいては、現物資産そのものだけではなく関連情報も資産の一部という認識を持つと共に、共用部分も含めた資産全体に関心を持って管理組合にも積極的に関与することが何より大切だろう。

執筆:三刀流大家(さんとうりゅうおおや)

三刀流大家

■ 主な経歴

健康関連業界で都内に勤務する現役サラリーマン。ヨーロッパ駐在を経て帰国したのち、副業テニスインストラクターとしても活動。兼業大家でもある”三刀流”ライター。
趣味・ライフワークは、読書、映画、献血、テニス、日記、ワイン、高カカオチョコ、コーヒー、モーツァルト、CHAGE&ASKA、キン肉マン。

北海道大学卒業。薬剤師免許、バイヤー向け資格CPP-A級(Certified Procurement Professional)保有。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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