不動産投資におけるメンターの存在は、投資という枠を超えて、人生そのものを良い方向に導いてくれる存在となる。
専門家としての能力の高さはもちろん、自分と人生観が合っているか、信頼できる人となりであるかどうかなど、様々な面から「自分のメンターとしてふさわしいか」を判断していきたい。
不動産投資は、「投機的」な成功に惹かれがちだが、いきなり高額のキャッシュフローは積み上がらない。原則として「投資」である以上、中長期的な視野で焦らずに何層も積み上げていくことで、徐々に大きくしていくことを意識しなければならない。
そのために、メンター選びも長い時間をかけて資産を増やしてきた人の方が適性があっているはずだ。急成長系の大家さんをメンターにすることがダメということはないが、不動産価格の上昇や、現状の融資の厳しさを考えるとじっくりと腰を据えて、時間を超えた人が参考になりやすいのではないだろうか。
いずれにしても、これから不動産投資を始める方は、次の得意分野を持った3人のメンターを味方につけたい。
■物件選びの上手なメンター
不動産投資の厄介なところは、「利回り」や「投資分析」などの数字だけですべて判断がつくわけではないという点だ。長期的な需要に耐えうる間取りやデザイン、市場の環境、入居者のニーズなど、不動産には明確な数値に落とし込めない、定性的な要素が多数存在する。
将来の数値化できないモノがある以上、結局のところ「感覚」に頼らざるを得ないが、物件選びの上手な人は、その「感覚」を「経験」によって磨き上げている。
自身の分析結果を持参して「良い物件だと思うのですが、どう思いますか?意見を聞かせてください!」と聞ける存在がいたら、不動産投資の入口はずいぶんと楽になるはずだ。
物件選びは、信頼できる不動産仲介の担当者が居ることが、一番の理想だ。常に情報に触れている担当者は、感覚も研ぎ澄まされている。良し悪しを含めて、提案をしてくれるエージェントを味方につけることが、まずは最も重要だ。
ただ、最初の頃は、必ずセカンドオピニオンを意識してほしい。不動産投資の初心者は、情報弱者となるため、本当に信頼できる人なのかどうかも検討がつきにくい。完全にお任せできる信頼ができるまでは、やはり感覚をもったメンターの存在が重要なのである。
セミナーで講師をしている人も良いが、信頼できる人からの紹介でメンターを見つけるのが一番安心だ。
■税金に詳しいメンター
不動産投資は税金とどう付き合うかが重要である。タックスプランニングが得意な人と関係を築いておけると、投資の入口からスムーズに戦えるようになるはずだ。
まず思いつくのは税理士の存在だが、必ずしも税理士が自身のバックグラウンドを理解してくれて、最適な提案をしてくれるとは限らない。仮に別の税理士に変えたから良くなるかといえば、そういうことでもない。
結局は、親身になってくれる提案型の人であるかどうかが、カギとなる。ただ、親身になってくれる存在を得るためには、それなりのフィーが必要となることを頭に入れておかなければならない。さもなくば、自らがしっかりと学びの時間を得るほかない。
もし、税理士探しに困っていたら、不動産投資の知識が豊富で自らの経験がある人を探すことをおすすめする。また、個人の資産形成や相続に特化している税理士なども、よく理解してもらいやすい。
■管理会社選びに長けたメンター
不動産投資は、物件購入後、どのように「安定軌道に乗せるか」経営するかが重要になる。賃貸経営は、仕事のほとんどの「管理料」を支払って、ほぼ外注できるところが一番の良いところだ。
世の中には、様々な事業が存在するが、「人件費を管理料5%に抑えることができる」不動産投資(賃貸事業)は、特異と言って良い。よって、管理会社の存在は、不動産投資の明暗を分けるのだ。
管理会社の存在は、入居者募集や退去精算を行なうだけでなく、時に経営の改善提案を行なってくれるパートナーとなる。
優れた管理会社の情報を持ったメンターは、不動産投資の成否にも影響を与える存在となるだろう。長年、管理会社と良いお付き合いをしながら、全国で資産形成をしている先輩投資家などが居れば、まさにうってつけのメンターと言えるだろう。
また不動産管理と投資理論を学んでいて、倫理観を重んじるCPM®︎(米国不動産経営管理士)保有者に相談するのも、良い判断が得られるはずだ。
大きなお金を必要とする不動産投資は、はじめの一歩が最も重要だ。しっかりと自らの知識をつけて、良いメンターの存在があれば、失敗することはあまり考えられない。すぐに買えなくとも、知識とメンター選びは早めにしておくことが重要ではないだろうか。
執筆:
(いまいもとつぐ)