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空き家のリフォームに最大250万の補助金情報も! 東京都が初開催「空き家活用シンポジウム」取材レポート

政策(不動産投資関連)/空き家 ニュース

2023/12/01 配信

11月17日に東京都住宅政策本部が主催する「東京都空き家活用シンポジウム2023」が開催された。東京都が空き家をテーマにシンポジウムを開催するのは今回が初となる。

対象は空き家所有者、空き家対策に関心のある不動産事業者やリフォームに携る事業者などで、会場となった新宿区の都議会議事堂都民ホールには、約110名の参加者が集まり、オンラインでも同時配信された。

健美家読者にとって、空き家は安く購入でき、リフォーム次第では、高く貸せる可能性もあり、投資対象として関心が高い。

シンポジウムでは、空き家のリフォームに最大250万円の補助金を利用できる支援事業などにも話が及んだ。読者に関心が高いであろう話題を中心に、シンポジウムの概要をレポートする。

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空き家活用に関心の高い不動産事業者やリフォーム関連の事業者、空き家所有者などが集まった

12月に改正「空家特措法」施行。空き家活用に向けた動き

まずはシンポジウムを主催する都の担当者の挨拶で幕を開けた。担当者からは「空き家問題は行政だけでは解決できず、リフォーム会社や不動産会社を含め様々な人との連携が必要となり、地域特性に合わせた対策が重要」と語られた。12月には「改正空家特措法」が施行され、これまで以上に空き家対策が急がれる。

基調講演では東京大学教授 大月 敏雄 氏が「空き家の活用について」をテーマに、「空家特措法」が全面施行された2015年から現在に至るまでの国や東京都の空き家対策の流れが語られた。特に注目したいのは東京都の取り組みで2019~21年度に新規募集した「エリアリノベーション推進支援事業」で荒川区、墨田区、台東区などの特定のエリアで最大5年の長期的な支援をしていくことに。2020年度には「民間空き家対策東京モデル支援事業」(2022年度終了)がスタートし、この後、登壇する民間企業を支援していく流れができた。

2023年3月には「東京における空き家施策実施方針」が策定され、2023年5月から「政策課題解決型空き家活用支援事業」及び「地域課題解決型空き家活用支援事業」がスタートした。

大月氏は残された課題として、相続の前の段階での相談窓口の重要性に触れた。さらにアメリカのようにリフォームした分だけ家の価値が上がるインスペクションの仕組みが日本でも広がれば、古い家に手をかけて、大事に使う文化が育つのではないかと指摘した。

取組紹介①として「普及啓発・相談事業から空き家活用へ」をテーマに、株式会社ジェクトワンの白崎 達也 氏が登壇した。ジェクトワンでは空き家の所有者が費用負担なしで空き家を利活用できる「アキサポ」を展開。

ジェクトワンがニーズにあった改修を行い、賃料を得るなど収益化し、空き家の所有者に還元する仕組みだ。2020年度には、ジェクトワンの取り組みが「民間空き家対策東京モデル支援事業」に選定されている。

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株式会社ジェクトワンの発表の様子

過去に健美家でもアキサポを利用して空き家を再生してシェアキッチンにした事例や、パーソルトレーナーが常駐する「筋トレシェアハウス」に再生した事例をご紹介した。

白崎氏の話で印象的だったことは積極的にセミナーを開催しても、商談に結び付けるには、収益性を踏まえた合理的な提案を行い、空き家所有者の感情を動かすことが不可欠であるとの話であった。

つづいて「地域課題解決型空き家活用支援事業」の選定を受けた株式会社スピーク 千葉 敬介 氏から、取組紹介②「地域コミュニティと連携した空き家活用事業」をテーマにした講演があった。

同社ではリノベーションの言葉が浸透する前の2003年頃から「東京R不動産」をはじめ、リノベーション済みの物件の仲介など不動産仲介事業を行っている。建築好きな読者のなかには、東京R不動産のファンも多いだろう。

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株式会社スピーク、発表の様子

同社では空き部屋の多い団地の再生事業や、都の補助金を活用し、シャッター通りを魅力的にする動きも行ってきた。

「日々、空き家の所有者に『貸しませんか』とアプローチしているが交渉は難しい。地域のなかでも人脈の広い人とのご縁をきっかけに、仲介の道が開けることが多くあります」

取組紹介③として「空き家対策としての既存住宅流通促進の取組」をテーマに、岡庭建設株式会社 池田 浩和 氏による発表があった。同社は創業52年の地域工務店で、40名ほどの社員がいる。岡庭グループとして、住宅建築だけではなくリフォームや売買や賃貸も手掛けている。同社を中心とした「ウエスト東京空き家ラボ」の西東京市での取り組みについて講演された。

地域の市民連携体、宅建業者や建設業者の専門家が立ち上がり結成された団体で、空き家の流通促進や地域の課題の解決に向けて取り組んでいる。

池田氏は既存住宅の流通で、リフォームの質の高さがインスペクションで反映されることが望ましく、インスペクションされたものをいかにアピールできるか宅建業者のコンサル力が重要であると語った。

空き家を再生する際の課題はコスト。補助金を有効活用して

第2部では、登壇者と東京都の担当者を交えたパネルディスカッションが行われた。ジェクトワンの白崎氏は、東京都のモデル事業に認定され、補助金を活用できたことで、「長年にわたり支援していただき、ようやく日の目をみた。自分達の資金だけでやるのは大変」だと振り返った。

スピークの千葉氏は「単年度だけでなく複数年度にわたり支援を受けられる制度はありがたい。やろうとしていることを公に認めてもらえることで動きやすくなることもある」と語った。

都の担当者からは、東京都の「空き家活用支援事業」について改めて説明があった。

「一事業者あたり、空き家の改修費250万を上限として補助率3分の2まで補助する制度で、耐震改修が必要であればさらに200万円まで加算され、空き家の利活用に役立てていただきたい」

大月教授は空き家を再生するときに課題になっているのが「コスト」として「ぜひ都の制度を活用していただきたい」と締めくくった。空き家への投資を考えている健美家読者も、上記の企業の取り組みはぜひ参考にしていただきたい。

ちなみに上記制度の今年度分の申請は11月末が〆切だ。申請を検討する場合は来年度以降、「東京都空き家情報サイト」に注目していただきたい。

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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