住宅・業務・商業の複合再開発登場で
神田の街に新たな息吹を吹き込む
古本屋や、スポーツ用品店、楽器店などが立ち並ぶ神田の街。現在この神田で、地上22階建ての再開発ビル建設計画が推し進められている。
計画地となる神田小川町3丁目は、東京メトロ半蔵門線・都営三田線と都営新宿線「神保町」駅、JR「御茶ノ水」駅からほど近い、駿河台下交差点に面する場所。
「神田小川町三丁目西部南地区 第一種市街地再開発事業」と称される同計画が始まったのは、2009年度のこと。この年に再開発勉強会が発足し、その後 2011年度に再開発準備組合が設立。
日鉄興和不動産株式会社、三菱地所株式会社、三菱地所レジデンス株式会社の3社が事業協力者に選定され、2021年度に都市計画決定告示(第一種市街地再開発事業の決定)。そして2023年5月に市街地再開発組合が設立された。
神田小川町三丁目西部南地区市街地再開発組合と事業協力社3者共同のリリースによると、開発地は建物の耐震化や不燃化といった地域全体の共通課題を抱えているとのこと。
これを解決するべく、住宅・業務・商業の複合再開発により土地の高度利用を図り、憩いの場となる安全で快適なオープンスペースや歩行者空間を確保するとしている。
開発地の所在地は、東京都千代田区神田小川町三丁目 10 番 1 他(地番)で、施行区域面積は約 0.6ha、建築面積約 1,540 ㎡、延べ床面積約 31,120 ㎡。用途は住宅、事務所、店舗 総戸数約 104 戸 ※地権者住戸含む。
建物規模は地下 2 階、地上 22 階(約 110 メートル)で、低層階が商業施設、中層階に事務所、高層階に住宅が入る予定となっている。靖国通りや明大通りに接する視認性の高さを活かし、地域全体のランドマークとなる施設を目指すとのことだ。
リリースによると、本プロジェクトの特徴は以下の4つとなる。
- 地域特徴を活かした賑わいの場の創出
周辺地域の特性を活かし、各種広場・歩行者空間を人々が憩い、交流できる場として整備するとともに、広場を活用したイベント開催などによってまちに更なる活力を与える。
また、靖国通り沿いなど周辺の街並みと連続した商業施設の整備に加え、住宅、事務所との複合用途とすることで、住まい、働き、訪れる多様な人々が集い、回遊する拠点となる施設を目指す。
●街区全体の不燃化・耐震化
計画地は旧耐震基準で建設された建築物や木造家屋が大半を占めているにもかかわらず、複雑な権利関係、宅地の細分化、幅員の狭い私道の存在等の理由により建物の更新が進んでいない状況。
面する靖国通り及び明大通りは緊急輸送道路に指定されており、沿道建物の耐震化が急務となっている。
本プロジェクトでは、これらの老朽化した建築物等を集約整備し、地区全体の耐震化・不燃化を図ると共に、広場や防災備蓄倉庫等を帰宅困難者の受け入れに活用するなどし、都市防災性の向上に寄与する。
●安全・快適な歩行者ネットワークの形成
計画地は高低差があり、電柱が歩道空間を障害し、さらに景観を阻害している状況。そこで、敷地内に歩道状空地を設け、歴史ある富士見坂をシンボルロードとして整備するとともに明大通りを含めて無電柱化を図り、地区内のバリアフリー化を推進する。
●地域コミュニティーの強化、子育て・教育環境の充実
中高層部に住宅を整備し、都心居住機能の強化を図るほか、地元住民などが利用できる地域活動スペースを整備するとともに、子育て・教育関連施設と連携施策の実施、エリアマネジメント活動の実施により、地域コミュニティーの活性化に寄与する。
今後は、2024年度に権利変換計画認可、2024年度に工事着手(解体工事含む) し、2029 年度の完成を目指すとのこと。
古き良き街並みを残す神田の街に新たなランドマークが登場するのは約6年後。その時を楽しみに待ちたい。
健美家編集部(協力:
(さいとうかずみ))