数年前にお付合いのあった不動産会社から電話がきました。要件は「 張田さんの所有する○○○地区のアパートの隣に建っているもう一棟の方も買いませんか? 」と言う内容でした。
その物件は、私の所有アパートに隣接する、同じ施工会社が双子のように2棟並んで建てたアパートでした。
売却価格は2,500万円。2LDK×4室、築15年、満室時利回り12%、日当り良好、ガレージ付きで各世帯P2台可能、とういうスペックです。今どきのネット検索では札幌でも出会えないレベルの物件でした。
しかし、私はこんな好条件にもかかわらず、その場でお断りしました。今振り返ると、投資家のはしくれとして恥ずかしい…。大、大、大失敗な判断をしてしまったな〜と思っています(^_^;)
では、一体なぜ、すぐに断ったのか???
その原因は、私の思考が「 過去に囚われていた 」からでした。7年前、私が所有する( 今回持ち込まれた物件のすぐ隣にある )アパートを購入した時、その価格は1,900万円でした。任意売却で空室率が高く、中も汚れていたため、指値がきいたのです。
今回はその物件と同スペックのアパートが、2,500万円という価格で出てきました。7年前に1,900万円で買った時より600万円も高額。さらに、当然ですが7年分経年劣化した状態です。私は、「 この案件はお買い得ではない! 」と決めつけてしまいました。
仮に購入したら、と仮定してのシミュレーションさえしませんでした。「 7年前より古いのに、価格は高いなんてありえない 」と過去と比べて判断した結果です。しかし、過去は過去。投資家ならば過去は振り返らずに、現在と未来に基づいて判断するべきでした。
もしも今回の案件が、全く別エリアの物件であれば、客観的に良し悪しを判断できたと思うのですが、今回は隣にあることが、判断を鈍らせました。「 今現在、購入する価値があるのか? 」と客観的な見方をすることができませんでした。
今思えば、そもそも所有しているアパートの隣ですから、購入してからの客付けもスムーズにできたでしょう。築年数や間取りを見ても、何年か運営した後に売却しても、十分に利益が得られたと思われます。
過去に囚われていた思考、そして瞬間的に適切な判断を下せなかった準備不足を、大いに反省しています。この一件での金銭損失はありませんでしたが、「 一番の川上情報を逃した 」という事実と教訓を忘れてはいけないと思っています。
■ 経験とは価値であり、他人に伝えた時に真価を発揮する
こんな初歩的なミス、本来ならば、はずかしくてコラムには書けないレベルだと思います。それにも関わらず今回、恥をしのんで書いたのには理由がありました。
それは、私が「 経験 」とは「 価値 」であり、その経験は「 他人へ伝えた時 」に「 真価 」を発揮すると感じているためです。
他人の経験→自分にとって価値が高い
自分の経験→他人にとって価値が高い
自分の経験→他人にとって価値が高い
これは先月、セミナーで講師をしてみて気づいたことでした。自分の経験だけで全てを学ぶには、人生は短すぎる。効率よく成長するには、他人の経験や失敗からも学ぶことが大切。そのためにも、自分の経験は失敗談も含めてどんどん伝えていこう、と思いました。
向こうからやってきたチャンスと、それに気づけなかった自分。皆さんはぜひ、私を反面教師にしてください。
ウォーミングアップを怠らない! すぐに動ける準備! いつでも冷静な判断をくだせる状態をキープ! そうすることで、やってきたチャンスを逃さずに自分のものにできます。
準備しておこう、チャンスはいつか訪れるものだ
( エイブラハム・リンカーン )
( エイブラハム・リンカーン )

■ 人生の選択において後悔はゼロと断言できる
好条件でのアパート購入のチャンスを逃してしまい、少し後悔している私ですが、人生の選択においての後悔はゼロと断言できます。それは、私がこれまで人生の帰路に立った時に、「 後悔しない 」ことを決断の再優先ワードにしてきたからです。
転勤、結婚、転職、不動産投資、独立、海外移住など、これまで、何度も人生の岐路と感じた場面がありました。そのたびに、大いに悩み苦しんできました。
迷う度に、年老いて人生を振り返った時、過去の自身の決断を「 後悔 」するのは絶対にイヤだ、と思いました。その思いを軸に人生を進めてきた結果が、今です。
もっと厳密にいうと、チャレンジした結果の後悔はOK、行動しなかった後悔は絶対NGと思っていました。しかし、実際にはチャレンジがうまくいかなくても、挑戦したという納得感、そして失敗から得られる教訓があるため、後悔することはありませんでした。
ジョセフ・マーフィー氏の言葉に、次のようなものがあります。
親の生き方こそ、子供にとって最高の教材になります。
子どもは「 親のいう通りにはしないが、親のする通りにはする 」からです。
子どもは「 親のいう通りにはしないが、親のする通りにはする 」からです。
私は3人の娘の父親として、娘たちに「 後悔しない決断をする! 」という私の姿勢を感じてほしい、と思っています。そのためにも、ブレるわけにはいきません。
…なんて、偉そうに書きましたが、実際に決断して実行するのはカンタンではありません。今現在の私の場合だと、「 所有不動産を全て手放したい 」という心の声と、時間をかけて積み上げた「 所有物件への執着心 」とが、日々、心の中でせめぎあっていたりします( 笑 )。
■ 家族で札幌に一時帰国して感じること
さて、8月はマレーシアの小学校に通う三人娘の夏休みということで、今は札幌の実家で家族5人で居候暮らしです。6才の末娘は2才から海外暮らしですので、日本の全てに興味津々。「 ぜんぶ日本語だぁ! 」「 木が小さいよぉ! 」「 卵かけご飯おいしー! 」とはしゃいでいます( 笑 )。
ドライブでは交通ルールの厳格さに驚き、ショッピングでスーパーに行くと、商品ディスプレイの美しさに感動し、レジでの迅速スピーディーな作業にビックリ! まさに日本にやってきた外国人観光客と同じ反応です( 笑 )。
娘たちのこういう着眼点は、子どもらしい「 くだらない 」ものですが、こういう経験を積み重ねていった先に、個性的な面白い発想が生まれるのかなと感じています。
思い切って、サラリーマンを卒業してよかった! そして、マレーシアへ移住して良かった! と家族で一時帰国するたびに感じます。
ちなみに、そんな娘たちの人気ダントツのメニューは、手巻き寿し。「 食卓で自由に作れて楽しい! 」と喜んでいます。やっぱり、日本らしい文化や風習などに反応するんだな〜なんて、父は思っています。
