今年、国交省のガイドラインで入居者の孤独死の中でも病死や老衰による自然死や不慮の事故死は、次の入居者の募集等に際して告知すべき事案から除いても良い、つまり、「 事故物件 」の対象としなくてよいということが示されました。
■ 管理会社の担当者からの突然の連絡
本題に入りますが、私の物件で2019年に、入居者の自殺がありました。私にとっては、二度目の経験です。その経緯を説明します。
2019年11月初旬に、管理会社の担当者から突然、電話で連絡を受けました。
担当者
「 koziさん、落ち着いて聞いてください。〇〇物件の入居者さんが9月下旬に自殺し、お部屋の中で亡くなりました 」
私
「 えっ、本当ですか。でもどうして9月に亡くなったのに、今頃になって分かったのですか? 」
担当者
「 このお部屋は親御さんが賃借人で、実際に住んでいたのはお子さんでした。入居申込時からそのことは契約で取り決めていて、家賃もきちんと毎月支払われていたので、親御さんから昨日連絡があるまで、こちらも気付かなかったのです 」
私
「 親御さんは1カ月以上経過してから連絡してきたんですね。第一発見者は親御さんですか? 」
担当者
「 はい。自殺した日の翌日に勤務先から『 本人と連絡が取れない 』と親御さん宛てに電話があったそうです。その日の夜に親御さんが合鍵で部屋の中を見に行くと既に亡くなられており、救急車を呼んで病院まで搬送してもらったようです 」
私
「 自殺された場所はお部屋のどこですか? 」
担当者
「 クローゼットです。クローゼットの備え付けのバーにタオルを吊るして、そのタオルに首を掛けて亡くなったようです 」
私
「 亡くなった翌日に親御さんが発見したということは、部屋の損傷や腐敗臭はほとんどない状態ですか? 」
担当者
「 はい、その通りです。私もお部屋を見に行きましたが、親御さんから言われなければ、本当にここで自殺があったとは思えないほどキレイな状態でした 」
私
「 悪い見方をすれば、親御さんは何事もなかったようにそのまま賃貸借契約を終了することもできたかもしれないということですね 」
担当者
「 そうですね。ただ親御さんは、理由はどうであれ、自分の息子が迷惑をお掛けしたので、黙っておくことはできないと、仰っていました。オーナーさんにも、謝罪とそれなりの迷惑料をお支払いしたいとのことです 」
私
「 事態と親御さんのお気持ちは分かりました。今後の対応について弁護士も交えて、一度会って協議しましょう 」
担当者
「 承知しました 」
■ 原因は仕事のストレス?
・亡くなられた方はどんな人だったか
都内にあるK大学卒、東証1部上場のT社に勤務の22歳男性。
この方は、大学時代から親御さんの契約でお部屋に住んでいました。
・自殺の原因
親御さん曰く、仕事のストレスに伴う鬱病が原因とのこと。( 現在も会社と係争中 )
・事故物件となった対象物件
RC5階建てマンションの4階角部屋( 1Kタイプ )。
家賃9万1千円( 共益費込 )。
■ 連絡を受けてからしたこと
私は管理会社から連絡を受けてから、次のように行動しました。
・遺族の方とお部屋の明け渡し交渉を行う
↓
・敷金の精算
↓
・供養(お祓い)
↓
・リフォームおよび清掃
↓
・遺族の方への損害賠償請求等について管理会社および弁護士と協議
↓
・保険会社への保険金請求
↓
・敷金の精算
↓
・供養(お祓い)
↓
・リフォームおよび清掃
↓
・遺族の方への損害賠償請求等について管理会社および弁護士と協議
↓
・保険会社への保険金請求
急いで行ったのは、自殺した場所の特定と供養( お祓い )です。これは、孤独死の場合でも同様で、亡くなられた方のご冥福と安らかに成仏して頂くために行っています。供養はきちんとするべきだと私は考えています。
次に、自殺された場所であるクローゼットとクローゼットの床部分、その近辺のフローリングのリフォームと清掃を行いました。
そして、遺族の方への損害賠償請求等について、管理会社および弁護士と協議をしました。遺族への損害賠償請求は、以下の民法による規定と賃貸借契約書に記載されている連帯保証人の責務を根拠として行いました。
@賃貸借契約書に記載されている「 善管注意義務 」違反に基づく請求
善管注意義務とは、賃借人( 借主 )は、賃貸借室や建物共用部などを使用する際に、一定の注意を持って使用することを規定している。
一定の注意とは、通常に使用するにあたり、要求される注意義務で原則的な注意義務のことである( 民法400条 )。
A賃貸借契約書に記載されている連帯保証人の責務に基づく請求
連帯保証人は、賃借人と連帯して、本契約から生じる賃借人の債務を負担するものとすると規定している。
善管注意義務とは、賃借人( 借主 )は、賃貸借室や建物共用部などを使用する際に、一定の注意を持って使用することを規定している。
一定の注意とは、通常に使用するにあたり、要求される注意義務で原則的な注意義務のことである( 民法400条 )。
A賃貸借契約書に記載されている連帯保証人の責務に基づく請求
連帯保証人は、賃借人と連帯して、本契約から生じる賃借人の債務を負担するものとすると規定している。
長くなったので、遺族である親御さんへの具体的な請求内容については、次回で紹介します。