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命を絶ったオーナー。「引き返す勇気」を持つことが、投資家としての最低限の資質である。

極東船長さん_画像 第54話

前回のコラムで、人は自分が過去に作った価値観に縛られ、そこから離れる事は難しいと書きました。

「 お金には死ぬほどの価値はない 」

これは事実で真実です。しかし、残念な事に、この真実を自らの価値観が邪魔をして受け入れられず、命を絶ってしまったオーナーさんのお話を、先月のコラムを書いた直後に聞くことになりました。

昨年夏ころに、その本人からではなく、その空室に苦しむ方から相談を受けたある管理会社の社長さんから、「 こういうオーナーがいるが、どうしたらいいものか 」と相談を受けました。

話を聞くと、そのオーナーは、聞けば誰でも知っているようなIT企業の部長さんで、不動産セミナーやメルマガで集客をしていたA社から、売主物件を購入されていました。

ご存知のように、誰でも儲けることができた4〜5年前に、たまたまA社から購入した物件が上手く回ったことが、悲劇の始まりでした。物件を購入して儲けたと感じた成功体験は、彼がA社を深く信用するのに十分でした。

うまく行くと、より多く欲しくなるのは人の性( さが )です。彼はその後にもう1棟、追加購入をしました。どちらも1億程度の物件で、2億の借入です。( 両方とも団信付きだったようです )。

うまくいっていたといっても、借入先はS銀行で金利は4%台だったため、手残りは多くはなかったと思われます。ここで追加購入を止めていれば、悲劇は起こらなかったでしょう。

しかし、市況が変化をしだした昨年春頃、この彼は更に一棟を追加で購入したのです。買ったのは、地元の人間なら絶対に購入しないであろうエリアにある札幌の古い鉄骨物件です。

紹介したのは、A社でした。購入した際は30室中10室程度の入居でしたが、A社の満室保証が半年ついていたようです。そのA社からの満室保証を担保に、S銀行はフルローンをつけたのではと推察されます。

オイラの想像ですが、A社のセールストークは以下のような感じだったのでしょう。

「 札幌市の地下鉄駅からほど近い良い立地の物件です。築年数が古く、手が入っていない為に、現在は30室中10室ほどしか入居していませんが、弊社の過去の実績から、空室リフォームをして募集を行えば、半年以内には満室になると思われます。それに、弊社からの満室家賃保証も半年ついています。先の2棟も順調に回っていますのでご心配は無用です 」

あるいは本人から、次のような申し出があったのかもしれません。

「 御社から購入した物件はおかげ様で良い稼働状況ですし、御社を信頼しています。今後もまだまだ物件を購入したいので、早く次の案件を紹介してください。御社が良いと思える物件ならば信頼していますし、融資がつく限りは購入したいと思います 」

どちらもオイラの想像のシナリオです。このようなケースでは、どちらが良いとか悪いとかではなく、お互いの思惑がお互いを引き寄せたのではと思います。

しかし、購入後、入居付けは思うように進まなかったようです。半年の満室保証が外れた頃に不安を感じたオーナーが、空室を埋めようとオイラの知り合いの管理会社に相談をしてきました。

オイラがその管理会社の社長からこのオーナーの物件について相談を受けたとき、空室はほとんど埋まっていませんでした。

管理会社の社長は空室を埋めるために、あらゆることを想定していました。しかし、オイラにはそのどれも決定的な効果はないように思われました。対策の全てを行うか、諦めて売却するか…。選択肢は多くありません。

「 今、売れるとしたら、どのくらいの金額だろうか 」と管理会社の社長に質問されたとき、オイラは大規模リフォームをしてまで使う物件ではないと思い、更地の価格から解体費を差し引いた価格である「 6千万円 」と伝えました。

そして、その価格は、半年前にオーナーが買った買値の半分でした。買った価格は1億2千万ですが、価値は6千万ということです。

話をよく聞くと、オーナーは年収が2千万くらいあり、不動産に頼らなくても十分生活できるようでした。そこでオイラは、現実的な対応策として、以下のようなアドバイスをしました。

「 市況は弱含みで下向きだとしても、まだ物件は売れるだろう。売却で利益が出そうな先の2棟を速やかに売却し、3棟目の札幌の物件の損を相殺して、新たにやり直すのがベストだと思う 」

社長は自分の考えも含めアドバイスしたようでしたが、結局オーナーは管理会社を変える事も最初の2棟を売却することもせず、判断を先送りしたようです。それから半年余り経った今月、この社長の元に、オーナーの奥様から泣きながら電話が入ったそうです。

彼は「 お金には死ぬ価値はない 」という事実を知らずに、先の2棟の団信で借金を返済する道を選びました。自分を縛るのは自分自身です。他にリセットする方法があったにも関わらず、彼は自分の価値観で自分のやったことの終点を結んでしまったのでした。

人は自分の聞きたい話ししか聞き入れないものです。しかし、やるべきではない投資をした場合は、自分の間違いを認める勇気、引き返す勇気が必要です。苦しくても、その決断をできる勇気を持つことが、投資家としての最低限の資質であるとオイラは考えます。

記憶違いかもしれませんが、株の格言の一つに「 最初の損切が最良の損失である 」というものがあったと思います。これは、不動産投資にも通じる考え方だと思います。

直接相談は受けられませんでしたが、このオーナーのご冥福を、心からお祈りいたします。

■ 思うこと

人は権威に弱く、少しの成功体験から抜け出す事も難しいものです。相手側のホーム環境で、もっともらしいことを言われると、半信半疑ながら信じてしまうのが人の弱さなのでしょうか…。

ねずみ講、旅行クラブ、無料プレゼント付催眠商法、和牛オーナー、アービトラージ、FXシステム売買、「 貴方だけ特別に 」や「 本日参加者のみの特典 」、どこかの馬車でも使われた「 全く新しいビジネスモデル 」というセールストーク…。

もちろんその中には本物もあるのかもしれませんが、そうでないものがほとんどです。昔から、上手い話を織り交ぜた詐欺や、それに準ずる行為が後を絶ちません。そして、これからもその手の話題は永遠に続くことでしょう。

一番質が悪いのは「 悪いことをやっていると自覚している 」本物の悪人ではなく、「 人の為になると信じ 」( 分け前をもらっている時点で本当は分かっているはずですが )、あたかも善意の第三者のように振る舞いながら、人々にそれらをまき散らす人間だと思います。

こういう人は未だに過去に何をしたのかを語らずにセミナー講師をしていたりしますので、皆さんもうまい話しが出てきた際には十分に気を付けてください。繰り返しますが、お金には死ぬ価値はありません。



※6月2日開催の「 DX母ちゃんと関西ゴンさん 」のコラボセミナーはおかげさまで満席となりました。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 極東船長さん(きょくとうせんちょう)

極東船長さん

船長のブログ
極東船長の子供たちに伝えたいこと徒然

北海道の東の町在住
10棟300室の大家

■ 経歴

□1958年、北海道生まれ

高校卒業後、家業である漁業を継ぎ乗船、24歳から船長になる

□1993年(35才)
船の転覆を機に陸の仕事に就く。
収入が激減し、投資の勉強を開始。

□1995年(37才)
1棟目、札幌市内の中古APを購入(1DK×8戸、築5年)⇒売却

□1998年(40才)
2棟目、札幌市内の中古APを購入(1K×14戸、築10年)⇒売却

□2004年(46才)
3棟目、新築APを札幌市内に建てる(1DK×15戸、土地から取得して新築)⇒売却

□2005年(47才)
4棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1DK×10戸、築7年)⇒売却

□2005年(47才)
5棟目、苫小牧市内の中古APを購入(1K2戸×2DK×4戸、築10年)⇒売却

□2006年(48才)
6棟目、札幌市内に新築APを建てる(1LDK×8室、新築)

□2007年(49才)
7棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×12室、築3年)

□2007年(49才)
8棟目、道東某市内に中古APを購入(1DK×20室、築4年)

他にも都内区分、中国区分、苫小牧の中古AP等、様々な物件の売買を続けながら、徐々に規模を拡大。

□2009〜2017年(51〜59才)
札幌市中央区にRCマンション11棟を新築(うち3棟売却済)

□2018年(60才)
所有物件は個人と法人合わせて20棟450室

家賃年収は4億強、諸経費控除後の税引き前CFは1億強、税引き後CFで8千万円

※物件は常に売買しているため、タイミングによって変わります。

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