購入を検討したい物件があれば金融機関に相談させてもらいますが、先日、新規で訪問した金融機関で気になる融資条件がありました。
その金融機関の融資年数の基準は、「 築10年を超えると一律、木造で15年、RC造では20年 」というものでした。つまり、築15年でも築30年でも同じ年数で融資してもらえる可能性があるという事です。
私の一棟目は築29年の木造アパートでした。少しでも高い利回りや、検討出来る価格帯( 3,000万円以下 )を求めた結果、そこに辿りつきました。これから始めるとしてもそうなると思います。
そして、買い進めるためには、キャッシュフローの積上げが重要です。そこで大事になってくるのが、「 融資を引き続ける為の自己資金の確保 」と「 キャッシュフローを出す事 」でしょう。
私の一棟目のアパートの融資年数は10年でした。当時は今より利回りが高かったので、それでも返済比率は50%以下に抑えられましたが、今の相場では簡単ではありません。
そんな中、今回の金融機関のように、築古木造に融資年数15年で対応いただけるのは貴重です。やはり、金融機関の開拓を続けることは、非常に大切であると感じます。
自己資金の効率とキャッシュフローのバランスは、とても重要です。そこで今回は、過去に私が現金で購入した戸建を、仮に今回の金融機関で融資を受け手買った場合の収支について、検討してみたいと思います。
■ 現金で購入する場合と融資を使って購入した場合の自己資金利回り
対象となるのは、札幌市にある築47年の戸建です。物件価格にリフォーム費用と諸経費を加えて、440万円で仕上げる事が出来ました。全額、現金です。
家賃は6.5万円で決まりました。家賃売上から経費を引くと手残りは月5.8万円、年間70万円ほどになりました。実質利回りを数字で表すと以下のようになります。
自己資金:440万円
70万円÷440万円×100=15.9%
うまくいけば6年半ほどで、投じた資金を回収できそうです。
次に、全額現金購入ではなく、先程の金融機関で仮に融資が通って購入できた場合を考えてみます。
自己資金:88万円( 2割入れたとして )
融資額:352万円
金利:2.2%
期間:15年
月の返済は2.3万円ほど。年間で27.6万円、返済比率は35%になります。
ここで、投じた自己資金に対する効率を考えてみたいと思います。
自己資金:88万円
42.4万円÷88万円×100=48.1%
自己資金利回りは48.1%に上がりました。こちらは、うまくいけば2年ちょっとで投じた資金を回収できそうです。こうして融資を使う事と、融資条件をうまく調整する事で、貴重な自己資金の効率を上げる事が出来ます。
この通りにうまくいくとは限りませんが、こうやって色々な可能性を検討しておくことは大事ではないかと思います。
特に初期の頃は、まとまった自己資金を作るためには地道に貯蓄をする場合が多くなります。ようやく貯まった自己資金の使い方を間違えると、二棟目になかなか進めません。実際、そういう方も多く見てきました。
■ 金融機関さんとの付き合い方の変化
もちろん、築47年の物件に融資期間15年を引くべきなのかという問題はあります。( 最近では築古でも30年融資が引ける所もあるようなので、メリット、デメリットを考えて取り入れたいですね )
また、融資を使って拡大するなら、金融機関を意識した決算書を作る必要が生じますし、人によっては借金の精神的な負担もあるかもしれません。人間には数字では割り切れない部分もありますので、資金効率以前に、心の声を大切にするべきだと思います。
それでも目標達成には融資が必要と思えれば、挑戦するのは良いことです。ちなみに私自身は融資を使わなければ、専業大家になる目標は未だに叶わなかったと思いますので、やはりこれから始める場合も融資を活用すると思います。
最初の頃は緊張した融資面談も、今では伝えたいこと、聞きたいことも増え、金融機関の担当者との面談が不動産業務の中で一番好きと思えるほどになりました。ちょっと変わっていますかね(笑)
大家は人から評価される事の少ない仕事です。金融機関からの客観的な評価や、決算書という名の成績表を見て頂いた上でプラスの言葉をいただけた時などに、もの凄い喜びを感じるのです。
先日、一つ無事にアパートの売却が終わり、久し振りに物件取得に走り回っている毎日ですが、アドレナリンが出まくりで、「 あ、自分はこれをやっている時が一番楽しいんだな 」と改めて感じています。
今の私の自己資金利回りの目安は20%以上に設定しています。なかなか購入に結びつかない事も多いですが、それでも新規の金融機関さんや不動産会社さんと知り合う事が出来て、そこでの学びがまた次のモチベーションに繋がっています。
皆さんも一緒に頑張りましょう。それではまた!