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相次ぐアパート階段崩落事故からの教訓。安全を確保できなければ資産運用は失敗する

賃貸経営/トラブル ニュース

2023/08/01 配信

アパートイメージ写真 009
写真はイメージ

賃貸オーナーは空室対策に苦労しているが、快適な居住空間を提供することは言うに及ばず、それらを安全に提供することが前提となる。

2021年4月に東京・八王子でアパートの野外階段が崩落して居住者の1人が転落死した事故は記憶に新しいが、今年7月にも東京都板橋区内の2階建てアパートでも似たような事故が起きたことが報道された。

2階の外階段の床が抜けて引っ越し事業者2人が転落で負傷したものだ。このアパートは築50年ほどが経過する築古物件とされている。

国土交通省では、八王子の事故を受けて策定した「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」(令和4年1月)の中で、屋外階段崩落事故に関する課題と再発防止策をまとめおり、

①設計時における防腐措置等の内容の明確化
②工事監理及び完了検査時における屋外階段の適切な照合・照合確認の確保
③適切な維持管理の確保
④その他(建築・建設部局間の連携と通報窓口の周知)

――を挙げている。

ガイドラインの適用範囲は2階建てから5階建て程度の建築物に設置される屋外階段についてで、「木造の屋外階段の段板、側板、蹴込み板、踊り場等の階段を構成する部材及び部材同士の接合部」「建築物の木造部分との接合部を有する鉄骨造の屋外階段の階段部材」「木造の屋外階段と鉄骨造の屋外階段を組み合わせた屋外階段の階段部材」などである。

ただ、そもそもこうした類の事故は、防腐云々を言う以前に主に2つの要因によってもたらされることが多い。

一つは、工事会社の手抜き工事といった施工不良であり、もう一つは不具合があることを家主が分かっていたのに修理等をせずに放置したままのケースだ。

手を抜けば家主に追及の手が及ぶ

不良施工の場合は、工事を行った事業者が責任を追及され、一般報道等でもそこに焦点を当てているが、不具合を知っていて家主が放置しているようなケースでは家主に責任が及ぶ。

築古になれば特に木造アパートの傷みは進むものだが、修理・修繕に相応のコストが生じるため、それを惜しんで対応していなかったとすれば家主は責めを負う。

それにとどまらず、けがをした人、死亡した人への保証など修理・修繕費以上の出費となり、「あそこの大家は、修理費ケチって人を死なせた」など一種の事故物件的な風評もつきまといかねない。

木造アパートに限らず鉄筋コンクリート造の賃貸マンションでも同じだ。建物の劣化が進んで外壁タイルの剥落により歩いている人にケガをさせてしまえば家主の責任が問われる。

新築・築浅マンションで壁タイルが剥がれ落ちれば施工不良として施工会社に責任が及び損害賠償を請求できるかもしれないが、築古マンションで大規模修繕等の工事をしていなくて剥がれ落ちれば賃貸オーナーに責任が及ぶことが想定できる。

外壁タイル剥落など賃貸マンションも要注意を

施工不良かどうかを判定する目安として「浮き率」というものがある。大規模修繕工事の事前調査等で壁を打診してタイルが浮いていないかどうかを調べるが、その浮いている面積を壁全体の面積で割り出すものだ。

2018年2月14日に大阪地方裁判所で、タイルに大量の浮きが発覚した築浅物件で責任の所在を争っていた判決で、施工業者に損害賠償金の支払いを命じた。マンション管理業界や修繕施工業者などの間では、この判決を言い渡した高嶋卓裁判官の論文に注目している。

剥落する原因となる浮き率について、築5年超10年以内で3%以上、築10年超15年以内で5%以上、築15年超20年以内で10%以上となれば施工不良とみられるとしている。

いずれにせよ、賃貸オーナーとしては、単に住まいを提供してキャッシュを貯め込むだけでなく、階段崩落事故等を踏まえて居住者と周辺環境に配慮しての安全・安心に注意を払い必要に応じてコストをかけることが安定した資産形成につながると言えそうだ。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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