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費用をかけずに物件の競争力をUPさせるあの手この手Vol2~SOHO、登記可という貸し方

賃貸経営/空室対策 ニュース

2024/01/31 配信

毎年1~3月は一年でもっとも人が動く時期。この時期に空いている物件をなんとか貸したいと考える人も多いだろう。とはいうものの、先立つものがないという人に向けてそれほど費用をかけずに競争力を上げる方法をご紹介するシリーズ2回目ではニーズはあるものの、多くの人が気づいていない貸し方を取り上げる。

気づいていない分野にもブルーオーシャンあり

1回目では嫌われている、敬遠されているものにニーズがあることを書いた。今回取り上げるSOHOなどのワークニーズは決して嫌われているわけではないだろう。だが、気づいていないというのが実際ではないだろうか。

何年か前、アトリエ賃貸、菓子工房賃貸などでニッチながら確実にあるニーズを掴み、空き待ち登録者を数多く抱える有限会社PM工房社の久保田大介さんが手掛けた東急田園都市線沿線の物件見学に伺った。その時、「SOHO可と物件チラシなどに書くだけで反応が違ってきます」と聞いたことがあった。

「室内に手を入れるなど特別なことをするのではなく、チラシその他物件情報に一言付け加えるだけ。入居者にここで仕事をしてもいいよとするだけのことですから、本当に費用が掛からない差別化です。

特に最近ではリモートワークが一般的になってきており、また、副業をしている人、起業したいと思っている人なども増えていますから、ニーズはあるはずです」。

住居兼用の使い方なら税金問題はクリアできる

ただし、いくつか注意点がある。ひとつはあくまでも住居と兼用の使い方でなくてはいけないという点。

住居として貸す場合、オフィスとして貸す場合で大きく異なるのは税金である。住居として契約する場合には家賃には消費税はかからないが、オフィスとして貸す場合には賃料には消費税がかかってくる。

だとしたら住宅内をオフィスとして使う場合にはどうなるかという疑問が湧く。それを解決するのは兼用、併用という考え方である。

似たような言葉だが、内容は異なる。兼用はひとつの区画の中を住居、オフィスという二つの用途に使っているものの、オフィス部分は独立したものにはなっていない。分かりやすい例でいえばダイニングの一画にパソコンデスクが置かれているような状況である。

一方、併用は住居部分とオフィス部分が分離されている。分かりやすい例としてはかつてURが作っていた2LDK+ワンルームの、入口が別々になっているような住戸だろうか。あるいは明確に一部屋が独立してオフィスになっているような作り、使い方だろう。そうした場合、独立したオフィス部分はオフィスとして消費税がかかることになる。

つまり、住居として消費税が課せられないようにするためには主に住居として使われているものの、オフィスも兼ねているという状況であることが大事なのである。

建物が建っている土地の固定資産税、都市計画税も同様に居住用の建物なのか、事業用なのかで税負担が変わってくる。建物内に住居、オフィスとして使われている区画が入り交じっている場合、オフィスユースがある一定以上の割合になってしまうと住宅用地の特例措置による税の軽減が受けられなくなることがある。

オフィス兼用ならオフィスが建てられない地域でも立地可

税金以外にも住居かオフィスかで変わるものがいくつかある。たとえば用途地域との関係がそのひとつ。

都市計画区域など都市化を図るとされる地域では計画的に市街地形成を行うことを目的に用途地域が指定されており、そのうち、住宅を主とする第一種、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域ではオフィスの建設はできない。住居として建てられた建物をオフィスとして賃貸することも不可である。

だが、主に住居として使用されており、オフィスも兼ねているという場合には面積の要件などはあるものの可能になる。

消防法による消防設備、火災保険の種類もオフィスか、住居かで異なるが、これも主に住宅であり、オフィスも兼ねているという使い方であれば住居として変更しなくても良いと解されている。

事業、作業内容の確認と特約で条件を遵守してもらう

ただし、当然ながら、こうした特例的な措置を良しとしてもらうためにはそうした実態が必要である。具体的にどうすれば良いか。

ひとつには入居者の利用状況がそうした住居兼オフィスとしてふさわしいものかどうかという点だろう。他の入居者に迷惑をかけないことも併せて考えると入居申込の時点で事業内容、オフィスでの作業内容を確認すると同時に契約書に特約を付加、確実に住宅メインのオフィス兼用という使い方をしてもらう必要がある。

具体的には不特定多数の来客がある、夜間遅くまで人が出入りするなどでうるさい、複数の社員と思われる人が通ってくる、大量の荷物が廊下に置かれる、荷物の頻繁な受け渡しや発送がある、家庭ごみとは思えないような種類、量のごみの廃棄される、外から見てオフィスと思われるような掲示があるなどのことは禁止としておくべきだろう。

もちろん、契約書は住居用の賃貸借契約書を利用、主たる用途は居住であるとし、その上でオフィス兼用であることを明記しておきたい。

表札、保証会社にも注意が必要

意外に忘れがちなのが表札。

税務署としては住居なのか、オフィスなのかはおおいに気になる点
税務署としては住居なのか、オフィスなのかはおおいに気になる点

「以前、税務署との間で住宅か、オフィスかという話になり、表札に入居者の名まえがなく、オフィス名だけが書かれていたことをもってオフィスと押し切られたことがあると聞いたことがあります。個人名を書いた上で(●●株司会社)であれば良いでしょうが、社名だけを掲示するのは避けたほうが良いでしょうね。

また、保証会社の中にはSOHOはオフィス扱いとしているところがあります。その場合には保証料はオフィス並みということで高くなりますが、これは会社によります」と久保田さん。これについてはオーナーサイドとしてはいかんともしがたいので、入居者に納得してもらうしかないだろう。

登記可としてもデメリットはなし

SOHO以外では商業登記の問題がある。最近では多少SOHO可という物件は増えてきているが、まだまだ登記可は見ない。だが、実際のビジネスでは登記してある場所と事業所が別というケースは多々あり、登記住所がビジネスの現場で問題になることはほぼない。

登記ができる住所を貸すことでビジネスになっているのがバーチャルオフィス
登記ができる住所を貸すことでビジネスになっているのがバーチャルオフィス

たとえば金融機関との取引で口座開設の際に登記場所が記載された謄本を提出することはあるが、実在している場所かどうかは確認するだろうが、そこになんらかの調査が入ることはなく、郵便物などは送り先を指定すれば登記された住所でなくても送付してもらえる。

そのため、最近ではバーチャルオフィスが増加している。副業、起業している人達、通販ビジネスをしている人たちが自宅を知られたくない、自宅で登記できないなどの理由から利用しているもので、安いものでは月額660円から利用可能。

こうした場所を利用して登記、会社を設立するものの、実際に仕事をする場所は自宅という場合で、自宅で登記をさせてもらいたいと思う人は少なからずいるはず。いくら月額費用は安いといっても登記をしたり、郵便物の転送その他のサービスを利用すると事業者にもよるが、月額2000円から2万円までとある程度の負担が生じるからだ。

「登記はしても良いけれど、退去時には必ず登記を変更してもらうなどという特約を付けておき、実際に退去後に確認をするようにすれば問題はないはず。

また、なんだったら不動産オーナーが建物の一室をバーチャルオフィスとして提供、入居者及び登記希望者から多少の費用を徴収するというやり方も考えられます。そうすれば入居者のお金を外に流出させずに済みます」。

もちろん、その部屋だけは住居ではなく、オフィス扱いになって税金等は多少増えるかもしれないが、登記まで可ということで入居者が集まり、ある程度の登記が行われれば元は取れるのではなかろうか。

コロナ禍で在宅勤務が一般的になり、普通の住宅でビジネスマンが仕事をすることも当たり前になった時代である。副業、起業、通販ビジネスの増加を考えるとSOHO、登記ニーズは今後増えることはあっても減ることはないと思われる。注意すべきことはあるが、費用をかける必要はない手でもあり、検討してみる価値はあるはずだ。

ちなみにそうしたニーズがある場所かどうかという議論もあるが、一言、物件情報に付け加えるだけのことである。もちろん、確実にニーズがあると踏んでやるのも良いが、やってみて反応があるかを見てみるだけでも別に誰も損はしない。試してみてはどうだろう。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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