不動産投資を成功させるには、物件の魅力や市場性は言うまでもなく重要である。誰もがより高い利回りを求め、より安定したリターンを得ることが投資の目的であり、大きなお金を借りて事業を行う上では、できるだけリスクは排除したいところだ。
しかし実際には、物件を選ぶのには力は注がれる一方、購入後の運営管理会社の選定となると物件選びをするときほどの労力を使わない人が大半なのではないだろうか。
不動産投資は、結局のところ物件を購入した後、シミュレーション通り運営ができて初めて成功と言える。
そのためには、やはり運営管理の部分にもっと意識した上で、物件の選定と購入を検討したいものだ。
不動産投資の場合、運営管理に関しては自らが行うケース(自主管理)もあるが、管理会社に有償で委託をすることが一般的だろう。
そこで、オーナーがストレスを抱えず頼れる管理会社を見つけるために、管理会社選びの注意すべき5つのポイントを掲げてみる。
①管理物件の入居率が
地域平均よりも低い
管理委託時に任せる予定の管理会社の入居率は、確認しているだろうか。物件購入時点で、誰もがある程度の収支シミュレーションを行なっているはずだが、そこで「想定入居率」をどれくらいに設定しているかが問題だ。
自分の物件となると、意外とストレスを甘く設定してしまいがちだが、管理会社の平均入居率が、シミュレーション時の想定入居率を下回るような管理会社では、確実に先々苦労することになる。絵に描いた餅にならないよう、徹底的に市場の入居率と管理会社の入居率は調べておきたい。
できれば購入物件の周辺、半径100m程度はすべての物件の空室を、目視で歩きながら調べることもオススメだ。
②物件担当者が
物件現地を知らない
空室になっているのに、室内清掃されないまま募集されていることや、エントランス・共用部周りの汚れが放置されていては、決まるものも決まらない。
さらに、空室なのにポータルサイトや管理会社のホームページに物件情報が掲載されていないことも、あってはならないがよく耳にする話だ。これらの状況を「物件担当者が知らない」とか、「私の担当ではありませんので、わかりません」という管理会社は要注意である。
全てが他人事みたいな対応をする管理会社は、会社全体の思考のクセが付いているため、誰もがそのような対応をしてもおかしくない。
③空室改善提案に
明確な根拠がない
空室対策には、「お金がかかる提案」と「お金がかからない提案」とがある。たとえば、リフォームなどのお金がかかる提案を、ターゲットや根拠もなく提案されることがある。
何の戦略もないまま、高額なリフォームなどできるはずもないのに、ただ何となく提案をされれば当然オーナーは不安になる。さらに言えば、前向きなオーナー目線の提案があればまだ良いが、「家賃を下げる提案しかしない」管理会社は要注意だ。
手立ては他にもあるはずなのに、手抜きの「省エネタイプ」の提案をする会社に、大切な物件を任せるのは不安が大きすぎる。
④部門が分かれすぎていて、
言ったことが情報共有されない
大きな管理会社になると、担当部門が分かれているのが一般的だ。部門が物理的に離れていて、規模が大きくなると不足するのは部署間の情報連携だ。
伝えたはずのことが、別の部門に伝わらず、事態がたらい回しされるという事態が起こる。オーナーからしてみれば、どの部署の人だろうと任せた管理会社で責任を持ってこなして欲しいのに、「それはこちらの部署の仕事ではない」ような、知らぬ存ぜぬという顔をする。
オーナーからしてみれば、戸数が多いとか部署が分かれていることは、全く関係ない。ただ責任を持って、仕事してくれて、入居者様に迷惑がかからなければよい。そう考えると、管理会社は、戸数が多ければ良いというものではないことがわかる。社員教育の徹底がされているか、人の質をも良くみなければならない。
⑤先手の連絡が来ることはない
オーナーから言わなければ、何も動いてくれない管理会社にも注意が必要だ。これも担当者の意識次第でもあるが、忙しさのあまり、とにかく後手後手にまわることがある。
空室が続いても、連絡がなければ提案もない、レポートもない。挙げ句の果てに連絡をしても折り返しもない。社会常識的に耳を疑うような話だが、現場が回っていない会社はこのようなことも頻繁に起こる。
担当者の意識によっても対応は変わるが、先手先手の提案は、結果として問題を大きくせず、コストも低く抑えることにつながるのだ。
執筆:
(いまいもとつぐ)