• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

マンションの水害被害は甚大。修理費1億2000万も。機械式駐車場の冠水など投資物件も要注意

不動産投資全般/災害・防災 ニュース

2023/09/01 配信

関東大震災から今日で100年。防災の日に、災害対策を見直している人も多いだろう。特にこの時期、気がかりなのが所有物件の水害被害である。

「マンションの所有者は災害時の自助・共助の意識が低く、特に投資目的で購入している場合は、水害対策に対する意識が希薄」。こう指摘するのは、総合不動産コンサルティング会社 さくら事務所のマンション管理コンサルタントの土屋輝之氏だ。

マンションの場合、水害被害を受けた際の被害額が大きく、水害リスクが高いという。詳しく話を聞いた。

27169926_m
水害による被害イメージ。AI作成(写真:フリーAC)

実際にあったケースでは車18台に、エレベーターや
機機械式駐車場などが冠水で1億2000万の被害

「マンションのなかでも水害による被害が大きいのが機械式駐車場です。水に浸かることで大打撃を受けます。マンションでは防災倉庫が1階にある場合が少なくないのですが、1階では水に浸かる可能性があり注意が必要です。またエレベーターが水災被害を受けたら復旧までに時間を要すなどマンションの水害リスクは大きく、多岐に及びます」

機械式駐車場が水没すると、修理代はいくらぐらいかかるのだろうか?

「水没した場合、基本的に全損となり修理ができず、交換となるのですが、概算の目安として単純昇降式の場合、約100~120万円/台、昇降横行式の場合、約120~140万円/台。台数が多ければ多いほどコストがかさむことになります」

車30台入る駐車場のマンションでは交換費用に3000万~、車が100台ほど入る駐車場のマンションであれば、1億円以上の費用がかかる計算となる。

実際にあったマンションの水害被害で総額1億2000万円の被害が発生したケースがある。2019年10月12日、台風19号が東京23区内にある約80戸のマンションを襲った。

内水氾濫により建物1階部分は水没し(床上約1m70cm浸水)、エレベーターや機械式駐車場をはじめ、電気関連盤等の大半の建物設備が冠水、水没車両18台発生と甚大な被害を受けた。

被害の復旧に要した合計金額は約1億2000万円。そのうち約1億1850万円を水災保険でカバーすることができている(参考資料:「マンション・バリューアップアワード2020年 防災部門 部門賞」『100年に1度の台風にどのように立ち向かったか(1m70㎝の冠水)』」、一般マンション管理業協会 )。

上記のケースでは管理会社が事前に河川に近い建物の立地やハザードマップの浸水予想マップから、被災前にマンションの共用部分保険契約に「特約」を中途付帯させたことによって保険金が利用できた。とはいえ被災翌日から復旧までの約7ケ月に及ぶ復旧対応が必要に。復旧にはコストだけではく、長期間の時間を要することも覚えておきたい。

つづいて注意したいのが電気系統の故障である。保険で対応できず、修理代の実費が必要になったケースがある。

「水害で最も深刻な被害は電気室の受変電設備の水没です。2019年の台風で多摩川近くの世田谷区の30世帯程度の規模のマンションで、電気室の水没によって受けた損害の復旧に1500万円程度の費用を要し、契約していた損害保険の対象にはならなかったという相談を受けたことがあります」

水害被害に対して保険でカバーできるのか、よく確認しておきたい。昨今の豪雨災害の被害の多さからマンションに関する保険で水災による被害をカバーする特約が新設されているケースがある。

たとえば東京海上日動では、「マンション管理組合のための住まいの保険」において、2021年1月1日以降始期の契約から「機械式駐車場水災補償特約(浸水条件なし)」を新設。

この特約を付帯することで、「水災(台風、暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石等)による損害の程度」にかかわらず、機械式駐車装置について、水災によって生じた損害を補償することが可能となっている(参考資料:保険の王様)。

マンションの水害被害で多いのは「漏水」と
機械式駐車場の被害

国道交通省の資料「平成28年度マンション管理適正化・再生推進事業」第1節:台風等災害時の居住者ニーズ、駐車場冠水事故の事例報告によると、マンションにおける台風被害で多かったのは専有部分、共用部分を問わず「漏水」に関する被害で、機械式駐車場のピット内満水警報や異常信号が多いようだ。

capture-20230810-105501
機械式駐車場が冠水した様子(出典:国道交通省 「平成28年度マンション管理適正化・再生推進事業」 機械式駐車場の水害被害の様子 2016年8月22日 埼玉県入間市)

上記の国土交通省の資料では、機械式駐車場の冠水は、異常気象による集中豪雨、台風の上陸などが頻発しだした10年ほど前から管理業ではよく知られている事故であり、それに応じた対策などもなされているものの、「居住者に事故発生の危険性が浸透しているとは言い難い」と指摘している。

土屋氏も、実際にマンションの所有者の場合、防災意識が欠けているケースが多いと指摘する。

「防災時には、まず自分で自分の身を守る『自助』、管理組合として力を合わせて助け合う『共助』、国や自治体の支援『公助』の三助が重要ですが、なかでも大事なことは自助、共助です。

マンションの場合、防災マニュアルの作成や防災組織や委員会の役割にこだわらず、日頃から住民同士のコミュニケーションを大事にすること。防災備蓄品は定期的に見直し、防災訓練は想定する発災状況にこだわって行うことがポイントです」

不動産投資をするうえで、こうしたマンションの水害リスクやマンションならではの防災のポイントも覚えておきたい。

※取材協力:総合不動産コンサルティング会社 さくら事務所。マンションや戸建の状況をプロが診断するホームインスペクションのほかに、マンションの資産性を調査し報告する「FACTORS4-新築マンション資産性レポート」のサービスも新たに始めている<参考:サービス一覧

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ