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税務調査が厳しくなる?免税事業者狩りが始まる?アフターインボイスで予想される影響

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第109話 著者のプロフィールを見る

2023/10/2 掲載

いよいよ10月1日からインボイス制度が始まりました。
こんなところにも影響が・・・ということもあるでしょう。
制度が開始されて初めてわかることもあるのです。

今回はインボイス制度が始まった後に予想される影響を解説していきます。

1.税務調査が厳しくなる?

9月になってから、「インボイスにどのような記載をすればよいか?」という質問を毎日受けています。インボイスによって記載が厳格になるという意識があるからか、書式に敏感になっているようです。

もともとインボイスには次の6つの記載事項が決まっているのですが、決まった書式はありません。

1.請求書発行者の氏名又は名称及び登録番号
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率がある場合にはその旨)
4.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
5.税率ごとに区分した消費税等
6.交付を受ける事業者の氏名又は名称(宛名)

記載がどこかにあればよいのです。

この記載の確認はいつ、どこでされるのかというと、おそらく税務調査です。税務調査時に、記載が抜けていて、インボイスではないと判断されたときに、仕入税額控除ができないことになり、消費税を追徴されることが考えられます。

税務調査が厳しくなるの?と思うかもしれません。

この点について、国税庁長官が日経新聞のインタビューに答えた記事が9月12日に報道されました。

そこでのコメントは次の通りです。

  • 軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない
  • 記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない
  • 記載の漏れがあったときに、(別の方法で)きちんと確認できれば申告漏れだと指摘することはない

記載ミスがあっても、インボイス登録事業者からの請求であることが確認できれば問題ないと思われます。

そもそも今までも税務調査で1枚1枚、領収書をチェックすることはしていません。
というか、1日~2日間で3年分の帳簿や領収書などをチェックするので、現実的に無理なのです。

ですから税務調査では、間違えていそうなポイントに絞って調査されるのです。インボイスが始まってもこの調査のやり方は変わらないでしょう。

大きな経費の支払い先がインボイス登録しているか、免税事業者にもかかわらず仕入税額控除をしてしまっているかのチェックくらいかと思われます。

書式については、制度が定着するまでは大目に見られるということなので、あまり形式にとらわれる必要はないでしょう。

2.税務調査より恐ろしい免税事業者狩り

インボイス制度で最も恐ろしいことが、免税事業者があぶり出されてしまうことだと考えています。

今までは取引先が免税事業者か課税事業者かは気にしなくてよかったのですが、制度が始まることで免税事業者が浮き彫りにされるのです。

8月25日、国土交通省が発表した「インボイス制度に関する取組事例」に個人タクシーの取り組み事例が掲載されていました。

個人タクシーの場合、年間の売上(課税売上高)で1,000万円以下の免税事業者も少なくないようです。

タクシーは、料金を後で精算するため、精算時にインボイスが発行できないことが分かるとお客さんとのトラブルになりかねません。

「インボイス発行できないなんて聞いてない」
「会社が経費精算してくれなかったらどうしてくれるんだ(※)
と、お客さんから言われる可能性があるのです。
※旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、出張旅費特例によってインボイスがなくても仕入税額控除が可能な場合があります。

このようなトラブルを防ぐために、タクシーに乗る前にインボイス登録しているかしていないかを見極められるようにする必要があるのです。

そこで全国個人タクシー事業連合会及び日個連事業協同組合は、インボイス対応の可否が利用者に一目でわかるよう、ステッカーの貼付や、表示灯の変更を実施すると発表しています。

ステッカーの貼付や、表示灯の変更を実施

これは賃貸経営者も他人事ではないと思っています。

テナント物件や駐車場を借りた後に、オーナーがインボイス登録していないことが発覚すると、トラブルになる可能性があるのです。

そこで募集チラシやマイソクには、必ず「インボイス対応済み」という文言を入れなければならないというルールができるかもしれないのです。

すると、その表示がない物件のオーナーは免税事業者ということが分かってしまうのです。

以前のコラムでも書きましたが、もし不動産オーナーがインボイス登録していないことが借主にわかった場合に、借主が免税事業者であった場合でも、消費税を納めていないのであれば、消費税分を徴収する必要がないと思われて消費税分を下げて欲しいと言われる可能性があるのです。

インボイスに影響がない借主であっても言われる可能性があるのです。

免税事業者を見つけては、「消費税を下げろ」と狙い撃ちされるかもしれません。

まさに日本全国で『免税事業者狩り』が始まろうとしているのです。
インボイスによる影響は大きいのです。

これを機に消費税を始めとする税金に興味を持って、不動産業全体の問題として動き出すキッカケになることを願っています。

私のYoutubeチャンネル「大家さんの知恵袋」でも、「インボイス制度」について動画で解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

《セミナーのお知らせ》

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《書籍出版のお知らせ》
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『不動産賃貸業のインボイス対応Q&A50』
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

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