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そんなに怖いか、税務調査!?税理士を変更したり法人化したりすると調査される?

渡邊浩滋さん_画像 渡邊浩滋さん 第110話 著者のプロフィールを見る

2023/11/1 掲載

秋は税務調査が活発になる時期です。
コロナ禍で税務調査が実施できていなかった反動で調査の件数は増えています。
国税庁が発表する令和3年7月から令和4年6月までの実施件数を見ても、前年比130%超という結果です。恐らく令和5年はさらに増えているでしょう。

実地調査と調査等件数

大家さんと話をしていても、税務調査がいつ来るのかと不安に思っている方が多いような気がします。

しかし、税務調査は過度に恐れることはありません。
今回は、税務調査に対する誤解を解きながら、税務調査とどのように向き合うべきか解説していきます。

1.税理士を変更すると税務調査はやってくる?

大家さんと話をしていると、「税理士に不満はあるけど、税理士を変えると税務調査があるから変更に踏み切れない」と言われることがあります。

これは都市伝説のように刷り込まれてしまっているのでしょう。
実際に税理士を変更すると税務調査はあるのでしょうか?

(1)選定されるか?

税務署は、申告書に記載される税理士の情報を、国税庁のデータベースに入力します。
しかし、税理士変更を狙って税務調査をすることはないと元国税庁職員の方からお話を聞きました。

税理士名で検索や選定はしていないため、選定の段階で、税理士変更しているかどうかはわからないとのこと。

しかし、結果的に税理士変更で選定されたことはあるようです。
それは、変更前の税理士と変更後の税理士で勘定科目などを変更したことによる異常値が出ることで、選定されているのです。

データベースから異常値があるところがピックアップされます。
異常値は単体の科目でもありますが、過去の推移も影響します。

例えば、今まで「外注費」で計上されていたものが、「支払手数料」で計上されるといったようなことです。税理士によって計上のやり方が異なることがあります。

科目変更したと推測される程度のものであれば問題ありません。
しかし、目立つ変更には注意しなければならないのです。

(2)実施されるか?

選定されても、実際に税務調査に入るかどうかは、調査官が決めます。
その段階では、税理士が誰なのかによって入りやすい/入りにくいと思われることは、あるかと考えています。

税務署も効率よく調査することが求められます。
取りやすいところから調査するのです。
過去、税務調査で『取りやすかった』税理士が担当しているのであれば、進んで調査に行くのではないかと思うのです。

私は税務署に『取りにくい』印象をつけるため、税務署にいわゆるお土産(※)は用意しません。些細な指摘事項もきちんと反論します。調査官が新人でも一切容赦しません(笑)

その効果があるかわかりませんが、顧問先の税務調査は年1回くらいになっています(笑)

(※)お土産とは、調査官が見つけやすい誤りを予め用意して、調査で手ぶらで返さないことで早めに調査を切り上げさせる行為。

2.法人化すると税務調査が多くなる?

「法人にすると税務調査が来るのでしょう?」
賃貸経営を法人にすると、個人事業主よりも調査が多くなるから、法人化を躊躇しているという方もいらっしゃいます。

本当に法人にすると調査が増えるのでしょうか?

調査の確率を図る指標として実調率というものがあります。

実調率 = 実地調査件数 / 対象法人数、税額のある申告を行った納税者数

平成30年の調査では、平成28年度の実調率は、法人で3.2%。個人で1.1%になっています。

単純に比較すると、個人よりも法人の方が3倍調査の確率が上がっています。

しかし、それでも3%程度。
単純計算すると30年に1度の調査の割合ということになります(実際には調査されていないところを優先的に調査するので、単純計算にはなりませんが)。

よく法人は3年に1回調査されると言われますが、それは上場企業の場合です(過去に重加算税に対象になった法人も3年に1回調査されることになります)。

上場企業も含めての割合なので、思ったよりも調査の確率は多くないことがわかるかと思います。

ちなみに平成元年度の法人の実調率は8.5%。個人の実調率は2.3%です。

年々調査の割合が下がってきている状況なのです。

調査を恐れて法人化を躊躇するのはもったいないのではないでしょうか。

税務行政の現状と課題

税務行政の現状と課題(国税庁平成30年1月24日発表)より

3.税務調査との向き合い方

税務調査があるかどうかは(あからさまな誤りなどがない限り)確率論です。
例え、調査があっても、何もなく終わるということも実際には多いです。

とくに賃貸経営は取引が複雑ではないので、税務調査で大きな問題になることは私の経験上ほとんどありません。

むしろ、税務署の考え方がわかるため、税務調査があると、ここぞとばかりに聞きます。
どこに着目しているのかがよくわかります。

以前、高額なセミナー費用について「経費にならないのではないか」と否認されそうになったことがあるのですが、私が「経費になる」と書いた過去のネット記事を調査官が見つけて、経費になることに納得してもらったこともあります。

対話することでわかってもらえることも多いのです。

税務署も人材不足から、効率を考えた税務調査が求められています。
一部ではオンライン税務調査が始まっています。

今後は薄く広く税務調査が行われる可能性が考えられます。
調査を過度に恐れず、申告をハッキリとさせる場として利用するくらいの気持ちでいましょう。

私のYoutubeチャンネル「大家さんの知恵袋」でも、「税務調査」について動画で解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

渡邊浩滋さん

渡邊浩滋さんわたなべこうじ

不動産投資家
Knees bee税理士法人 代表

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □大学在学中に司法書士試験に合格

    □大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

    □商社を退職後、税理士試験に合格

    その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

    □2011年
    「行動する大家さんの会」を設立

    □資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

    □2013年
    「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

    □2017年
    日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始(同じ志を持つ仲間を求めている)

    □2022年10月法人化
    税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

    資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

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