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入居者に大人気!「ジム」付き賃貸をはじめ、 20年満室がつづく賃貸の作り方【建築家と建てる賃貸住宅 中尾英己氏】

収益物件購入・売却/建築家の賃貸住宅 ニュース

2021/06/18 配信

入居者は24時間好きなときに1階のジムを無料で利用できる賃貸住宅がある。ジムからは中庭の植栽を眺めることができ、まるでリゾートホテルのような雰囲気だ。当然、満室がつづく人気物件となっている。

このような人気物件の作り方を、中尾英己建築設計事務所の代表で、日本最大級の建築家ネットワーク アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社(ASJ)に登録する中尾英己氏に聞いた。

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防犯面から空室になりやすい1階を思い切ってジムに。入居者に無料開放し、人気をえている。賃貸併用住宅だからこそ、オーナーの理想を追求した

20年経っても収益がしっかりと出る
賃貸住宅をプラニングする

これまで建築家として住宅はもちろん、オフィスビルや店舗、幼稚園や保育園やクリニックなどさまざまな建築を手掛けてきた中尾氏。賃貸住宅で最も古いものは築20年になるが、空室で困っている話をオーナーから聞いたことは一度もない。物件を売却したオーナーも一人もいない。

それだけ入居率がよく、しっかりと収益が出ているということだ。

なかでも、冒頭で紹介したジムのある賃貸住宅は根強い人気を誇っている。杉並区の賃貸併用住宅である。

「この物件のオーナーさんは体を鍛えることが好きで、ジムを1階に作り、入居者は無料で利用できるようにしました。ハワイ好きなオーナーさんの希望で中庭を作り、植える樹木にもこだわり、南国の異国情緒ある雰囲気に。どこにでもあるようなものを作ると価格競争に巻き込まれますが、オンリーワンの物件を作れば空室に悩まずにすみます」

昨今では24時間利用できるジムも増えているが、この物件でもジムは入居者に好評だ。なんといっても好きなタイミングに利用でき、利用後はエレベーターで自室に戻ってすぐにシャワーを浴びてくつろげる点が便利だ。

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1階にジムのある物件、外観。上層階はオーナー住居で、ジャグジーもある

賃貸住宅は10年後からが本当の勝負。
シンプルにつくりこむことで投資効率を上げる

賃貸住宅は建てて10年後からが本当の勝負になる。10年も経てば、周辺にどんどん新しい賃貸住宅ができていく。それは防ぎようがない。

「入居者は新しくて設備も最新の賃貸住宅を選びがちです。だからこそ10年後も勝てるプランを考えるべき。そのために常に心掛けていることが『シンプルにつくりこむ』こと。シンプルにするには相当プランを考え、細かい部分まで練り込まないと難しい」

デザインや設備で、簡素化できるものは簡素化することで、投資効率を上げることにつながる。

「ジムのある物件では、単身者向けの30㎡の室内に、ほとんど間仕切りを作りませんでした。その理由として、住む人が自分の生活スタイルに合わせてフレキシブルに使えるようにと考えました」

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ジムのある物件の賃貸部分。30㎡のワンルームで浴室はガラス張りで、広さが感じられる設計に

収支計算とデザインは両輪で、
目先の利回りよりも長期的な収支を考える

特に今は工事費が高騰していることもあり、短期的な利回りを追うよりも、長期的な視点で、事業計画を練るべきだと中尾氏はいう。

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建築家 中尾英己氏。建築家でありながら収支計算も得意とし、設計から収支計画を含めたコンサルティングまで行う

大きな賃貸住宅であればあるほど、建物のデザインや外構が近隣やその地域に与える影響は大きい。

「たとえば外灯3台で、工事費を含めて45万円ぐらいの初期投資をしたとすると、敷地周辺が明るくなります。これにより防犯性が高まり、女性にも人気の物件となります。最終的にその結果として、周辺の家賃相場を押し上げた例があります。これは将来的な入居率の安定につながります。45万円の初期投資で、10年後も人気がつづき、家賃が下がらないようになるわけです」

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約120坪の敷地に賃貸住宅とオーナー住居を併設したケース。外灯に初期投資をしたことで周辺が明るくなり、周りの賃貸ニーズを押し上げた

昨今では賃貸住宅が増え、住宅への投資は一般的にはローリスク、ローリターンになってきているという。

「エリアによっては住宅よりも貸事務所や自宅兼事務所にしたほうがいいケースもあります。賃貸住宅の場合、各戸に水回りを配置しなければならず、設備のコストがかかります。貸事務所の場合、設備を簡素化できるので初期投資を抑えるメリットと、ゆくゆく設備の入れ替えが少なく、ランニングコストを抑えることができます」

中尾氏が15年前に手掛けた池尻大橋の例では、SOHO向けに、1階にガラス張りのコンセプトルームを設けた賃貸住宅を計画した。

「どの賃貸住宅でも同様ですが、ターゲットを絞ることがとても重要です。この賃貸住宅では近隣が建てこんでおり、1階が採光面、防犯面でかなり不利であったため、SOHOを考えたのです。実際にはWEBデザインやネイリストの入居者がすぐに申し込んで入居し、自宅兼事務所として利用していました。起業したての人にはちょうどよかったのです」

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SOHO利用も可能な池尻大橋の賃貸住宅の例。コンクリート打ちっぱなしの内装でランニングコストを抑える

ランニングコストを抑えることも長期的な視点で収益を出すためには重要なポイントになる。

「内部もコンクリートの打ちっぱなしの仕上げにすることで、入れ替えのタイミングで、クロスの貼り替えがなく、コストを抑えることができます。物件を複数所有するあるオーナーさんで、床材にセラミックタイルを要望された人がいました。

フローリングだと変色したり、傷がついたりして、貼り替えが必要ですが、セラミックタイルだと、イニシャルコストはかかりますが、ほぼノーメンテナンスで、ランニングコストがかかりません」

中尾氏のもとに相談にくる人のなかには、儲けの出ない投資用物件を買ってしまった人もいた。

「分かる人が見れば収支計算は一目瞭然です。どれくらいメンテナンスにお金がかかるか、
細かな掃除等の経費も見ていかないと不動産投資は想定通りにいきません」

建築家に相談をすることで費用はかかるものの、その費用は最終的に回収できる。大事なことは、信頼できる人に相談をしながら計画すること。長期的な視点で、本当にプラスになるかどうかを見極めることが重要だ。

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変形敷地を活かし、設計力を活かした例。30戸の賃貸住宅とオーナー住居、店舗が入る。円弧が建物の表面積を大きく見せることになり、より建物の存在感が増している

●取材協力:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社(ASJ) 約3000人が登録する日本最大級の建築家ネットワーク。全国各地のスタジオや定期的に開催するイベントで、さまざまな建築家と出逢い、話し合える場所を提供している。

健美家編集部(協力:高橋洋子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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