定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていた戸建の競売事例をご紹介する。
紹介する物件は非常に人気が高い湘南地域の戸建物件である。今回、入札件数が非常に多く、86件もあった。
物件近辺の状況は海まで歩いて行ける場所であり、水族館や観光地も近い。また、この地域は非常に物件が高騰する。建物の外観は海が似合うオシャレな建物である。
今回、紹介する物件は転売向きの物件であり、賃貸向きの物件ではない。また、転売向けの物件は見極めが重要である。その見極めのポイントは、所在地や築年数、建物状態など、いろいろな条件を確認する必要がある。また、転売は初心者の方には難しく、プロの不動産業者がやるべき分野である。
読者には、今回、この物件がいくらで落札し、販売したのか?このような競売物件もあるということをご理解頂けたらと思う。
1.物件概要
(1) 所在地
物件の市町村は南関東に位置する。人口は約40万人である。海沿いに位置し、近くには水族館や観光地がある。海が近いので、サーフィンやマリンスポーツが盛んな地域である。
(2) 物件概要
物件は、土地が57u、建物の延べ床面積が89u、築13 年の3階建ての戸建である。外壁は白であり、入口側には核子状の木材が目隠しで使われて、オシャレな雰囲気である。玄関の前は駐車場である。

(3) 間取り、室内
間取りは3LDKである。入口やバルコニー側は南側であり、非常に日当たりが良い。1階は洋室1つ、浴室、トイレがある。2階は、リビング、キッチン、トイレ、バルコニーがある。3階は洋室2つ、バルコニーがある。その洋室の1つは吹き抜けである。

以下、室内の写真である。家の中に残置物が一切ない。リフォームはあまりかからないだろう。

2.物件詳細
(1) 関係者のコメント
裁判所の公開資料には、通常、債務者や所有者などの関係者のコメントが記載されている。しかし、本資料には記載がなかった。
(2) 執行官のコメント
裁判所の公開資料には、債務者などの関係者のコメント以外に、裁判所の執行官のコメントも記載されている。執行官とは、競売などの裁判を進め、書類作成などを行う。執行官は競売物件を確認した際、自らの意見も必ず記載されている。

(3) 物件評価の金額
裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。
13,407,000円
上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。
3.落札結果
(1) 落札結果
落札金額は以下である。入札件数は86件。
32,090,000円
(2) 販売価格
落札した方は、この戸建てを販売している。その販売価格は以下である。
43,800,000円
4.最後に
競売で戸建てを購入する際、ポイントの1つに「おしゃれ」や「かっこいい」などのデザインが重要である。理由は、裁判所から公開される基準価格を決める基準には、「おしゃれ」や「かっこいい」などの評価基準はなく、経過年数と床面積などより決められる。そのため、「おしゃれ」、「かっこいい」のキーワードは重要である。
今回、競売で取得した戸建てを転売する事例を紹介した。このような転売は、宅建の免許が必要であり、個人向きではない。個人でも賃貸目線で競売物件を落札したが賃貸契約まで至らずに転売した場合、所有期間5年以下であれば、短期譲渡所得で約40%の税金がかかる。
また、落札しても、債務者との退室交渉、残置物処理、リフォームの依頼などがある。さらに、個人場合、自分で転売をできないので、不動産業者への仲介手数料も発生する。
法人で転売を行うと、既に債務者との交渉には経験があるため、慣れたものだろう。リフォームに関しては、その地域を担当していれば、安いリフォーム業者との繋がりがあり、値段を抑えて、リフォーム工事ができる。販売は自社でやれば良い。そのため、競売の転売は法人向きと言えるだろう。
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