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「家賃が2000円上がっても、入居者が喜ぶ」?! 設備強化で満室にする「水戸モデル」の秘密

賃貸経営/空室対策 ニュース

2024/02/21 配信

繁忙期まっただ中。なかなかきまらない空室を眺めながら、「もう少し下げて募集しようか」「今、入居が決まらないと、また半年ぐらい空くのか」と、悩んでいるみなさんも多いはず。

しかし、「地方の単身」で「2000円あげて設備強化」して相場が改善されたという事例が登場した。今回は、今、ちまたで噂される「水戸モデル」「松江モデル」を解説する。

設備を「ちょい足し」して、家賃下落を食い止める動きが、地方にも
設備を「ちょい足し」して、家賃下落を食い止める動きが、地方にも

■単身家賃が2000円あがった水戸

2022年10月29日の日管協茨城県支部で「アフターコロナ・アフターウクライナでこう変わる!! 賃貸オーナーの2022進化論というテーマで講演させていただいた。当時はコロナ禍でオンライン開催であった。

「設備を強化して、少しでも募集賃料をあげていきましょう」という内容の講演だ。

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当日のセミナー資料から

茨城県は、水戸と筑波でかなりマーケットが違い、筑波では65%の物件がネット無料になっていることなど話ながら、新築と築古の家賃格差も広がっている。「こんなに下げなくても、設備を強化すれば、実際に平均賃料が高くなる」ということを論じて、戸円を行った。

こうしたセミナーでは、「今日はいい話を聞いた(けど無理だよ)」「まあ、理屈ではわかるよ(でも僕だけ上げても)」「それはわかるけど、空室も増えているのに、設備代まで使うなんて」と思う参加者も多い。

しかし、水戸地域の管理会社さんが、「ここは学生物件が多いからネットを」「ここは防犯対策が良いですよ」「築浅物件はこんな設備強化を」と個別にコミュニケーションして回ったと聞く。

そして、2023年11月18日。念願かなって、リアル開催で、日管協茨城県支部に呼ばれた。その講演準備のため、水戸の家賃相場を調べた。すると、平均賃料が、2000円上がっていたのだ。

■なぜ、水戸の単身物件で2000円家賃が上がったのか

当日のセミナー資料
当日のセミナー資料

2023年は、そう、コロナが5類になり、世の中の閉塞ムードがかわりつつある時代と変わった。同時に急激なインフレ。電気もガスもきゃべつも小麦もカップラーメンも高くなっている。しかし、家賃は下がる一方で良いのか。収益物件オーナーの可処分所得は下がる一方では困る。

そこで、前年の賃料と比較。一部、築浅で逆転現象はあるものの、水戸では、平均賃料が、2000円あがったのである。

単身物件の平均賃料が、3.6万円から3.8万円へ。5%以上のアップは、「連合のベアアップの要求」を超えており、水戸の大家さんも管理会社さんも頑張った成果が出たのである。

当日の講演資料より
当日の講演資料より

その成果は、築年別の設備シェアと相関している。実は、水戸では人気設備のシェアが上がっており、「人気の設備がついているからおすすめですよ」という武器が、物件についており、それが仲介の営業マンのトークにも活かせるのだ。

いくら物価高だからといって、物件の魅力もあがらないのに、家賃はあがらない。人気の設備が付くことによって、魅力があがり、それによって2000円あがっても市場は受け入れてくれたのである。

当日の講演資料から
当日の講演資料から

■松江でも家賃アップ

さて、同じく松江でも家賃アップが成功した。
2022年10月14日。日管協島根県支部による、住環境向上セミナーに呼ばれたときのことである。この時も、松江・出雲・安来といった地域ごとの家賃相場の築年による知会゛を解説しながら、家賃下落した築古が設備強化で、もっと人気が上がるはずだということを論じさせていただいた。

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当時、松江でも新築と築古との家賃格差はほぼ倍。ようするにこれは全国的な現象であり、円安による輸入資材の高騰やウクライナ危機で、建築費が高騰。新築は利回りを維持する為、かなり強気な賃料となっている。一方で、築古は人口減少・世帯減少の中、空室が増え、家賃下落をするというつらい選択をしてきたのだ。

ここでも、私は、人気設備をつけることで、賃料アップが狙えることを訴え、地域の不動産会社も方々もその話に耳を傾けてくれた。

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そして、一年後。いよいよ答え合わせというか、その成果が出たのかを検証するよい機会として、2023年11月12日、日管協島根県支部による、住環境向上セミナーで講演させて頂く機会を得た。

水戸同様に「コロナがあけ」「物価がインフレ」という状況であるが、決して、「人口が急に増えた」というわけではない。

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このとき、松江に新築の単身物件がなく、平均賃料は、4.3万円から4.2万円に下がってしまったかに見えた。

一瞬「なかなかうまく行かないのか」と思ったところ「いや、家賃が高い新築がないなら、平均賃料が下がるのは当然だろう」と築年別に比較した。
すると、全築年で、単身物件の平均賃料が、1000円~6000円上がっていたのだ。

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ここでも重要なのは各設備のシェア。築古ほど人気の設備がついていないことが多く、新築ほど人気設備が付いている。そして各築年での家賃の差が、10年で1万円と幅があり、この幅の間の賃料で、人気設備を装着すれば戦える時代なのだ。

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■設備追加のための投資財源を空いている駐車場の活用で

さて、とはいえ、「人気設備の投入にはお金がかかる」。一方で空室が増え、家賃収入が下落している。以前は、「プロパンガス会社にエアコン代を負担してもらって」などという手法もあったが、国はこれをかなり厳しく取り締まっていく方針だ。

そこで、賃貸物件の前の駐車場の利活用や、自動販売機の設置など、新しい収益源を探してみるという手もある。家賃が上がれば、設備投資した金額は家賃で回収できるが、そこに自信がないのであれば、「駐車場付物件の空き駐車場スペース」を活用することや、「居住者や近隣の方に自動販売機を利用してもらう」といったアイデアもある。(ただし税法上の「一体利用」が認められるかの判断が分かれるので、税理士さんに物件ごと相談を)。

なにもしないで、単純に家賃をさげていくだけでは、可処分所得が下がるばかり。設備強化をして、家賃を上げて満室にし、トータルの収支改善をしていきたいものだ。

執筆:上野典行(うえののりゆき)

上野典行

■ 主な経歴

プリンシプル住まい総研 所長。1988年リクルート入社。
大学生の採用サイトであるリクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。 2008年より賃貸営業部長となり2011年12月同社を退職し、プリンシプル・コンサルティング・グループにて、2012年1月より現職。
All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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