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マンションの管理費から町内会費を払う必要性?~管理組合に経営者視点で参加する~

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2024/01/30 配信

マンション管理組合の管理費会計には、管理委託費、エレベータ保守点検費、水道光熱費、保険料、機械警備業務費、植栽費など多岐に渡る項目が並ぶ。近年は修繕積立金に注目が集まりやすい一方で、日々の運営を司る管理費の適正使用に目を配ることも欠かせない。

その中でも、意外に見過ごされがちな費目の一つが町内会費だ。マンション自体の物理的な存在感も手伝ってか、疑問を感じることなく出費している実情がありそうだ。

今回、マンション管理組合と町内会費に関して、区分マンション30戸以上を所有し管理組合の活動にも詳しい不動産投資家として、村野 博基氏に話を伺った。

村野氏は、町内会費に関する話題を通して、投資家の視点を生かして管理組合に携わることの意義を説く。(写真はイメージ)
村野氏は、町内会費に関する話題を通して、投資家の視点を生かして管理組合に携わることの意義を説く。(写真はイメージ)

管理組合における町内会費の位置付けとは?

村野氏は現在、自身の所有物件のうち実に20以上の管理組合で理事や監事などの役職に就任し活動に携わる。町内会費の位置付けや捉え方について以下のように述べる。

「投資家の視点からすると、町内会費に対してどちらかというとネガティブな印象を持っているのは確かです。なぜなら、『集めた町内会費を何に使っていますか?』という問いに対して明確な説明が出来ない町内会が非常に多いからです。

コロナ禍の事例として、外出自粛の影響で町内のお祭りや催し物が一切できなかった時期には、その不透明さが露呈しました。管理会社を介して町内会に問い合わせをした結果、納めた町内会費を返金してもらったこともありました。

と言っても、頭ごなしに町内会費の支払いを否定するつもりはありません。払うか払わないかだけではなく、要は税金と同じで使い道に目を向けるべきだと思うからです。」

町内会費の負担額や、町内会側の対応に感じる疑問とは?

村野氏は続いて町内会費の金額に関するエピソードと共に、町内会のあり方や期待する役割についても提言してくれた。

「町内会費の額面についても不明瞭な点が多いと感じます。マンション全体に請求される総額が総戸数で割り切れない額であったり、逆に『マンションだから戸建より安くしておきます』という、謎のディスカウントが入ることもあります。

マンション全体として一律に納めるのが当たり前のように思われがちですが、本来は各区分所有者か、あるいは投資用物件なら実際に恩恵を受ける入居者の意向も尊重されるべきでしょう。」

マンションには植栽や外壁など近隣とのトラブルがつきものであるため、”通行料”のつもりで払うという考えもあるでしょう、と村野氏は言う。(写真はイメージ)
マンションには植栽や外壁など近隣とのトラブルがつきものであるため、”通行料”のつもりで払うという考えもあるでしょう、と村野氏は言う。(写真はイメージ)

村野氏も自身の物件で管理組合に関わる中で、町内会側の言い分に対しては疑問を持つことが多いと言う。

「とは言えマンションが地域に密着しているのも事実です。大規模修繕のときには足場を組むなど近隣にも影響があり、作業の際に隣地に越境することもあり得るので、お互い様という考え方もあるでしょう。ですが、それでも町内会関係者に言われるがまま『皆が払っているから』という理由で負担を迫られるとしたら、そこに納得がいかない方も多いのではないでしょうか。

お金を集める以上、皆が納得できる使い道を考えて取り組みを進めるのが町内会の責任だと思います。ところが仮に会計報告や説明責任が果たされないとなれば、結局は『町内会っていったい何やっているの?』という疑問が生まれ、会費の是非を含めた不満に発展していくのかも知れません。」

町内会関係者にありがちな利益相反とは?

マンションが建った経緯によっては、建設前の敷地を所有していた地権者が区分所有者になっているケースも少なくない。古くからの地権者という立場でその地域の”古株”として町内会にも関与していると、実は利益相反に該当するケースもあるという。

「区分所有者の中に町内会関係者がいて、その方が管理組合の理事を務めている事例もあります。そのような場合、本来は管理組合の利益を考える立場として理事会に参加しているはずなのに、いつの間にか町内会の集金係として発言する場面もあります。

気持ちは分かりますが、とりわけ投資用物件として区分所有する立場とは利害が一致しないことが多いです。ご本人にも利益相反という言葉の意味を理解してもらえず、話が平行線になることもしばしばです。

これは実需オーナーと投資家オーナーにおける、町内会費に対するスタンスの違いが表れているとも言えるかも知れません。」

村野氏の著書。「管理組合の運営は、まさにそのマンションの価値をどう維持し高めていくかの試み」であるとして、管理組合の活動に楽しく携わっている様子が窺える1冊だ。
村野氏の著書。「管理組合の運営は、まさにそのマンションの価値をどう維持し高めていくかの試み」であるとして、管理組合の活動に楽しく携わっている様子が窺える1冊だ。

管理組合の理事長で企業の経営者気分も味わえる

村野氏は、既にオーナーとなっている方やこれから不動産投資を始めたい方へのメッセージと共に結んだ。

「いかに支出を減らし収入を増やすかを考えるという点で、管理組合の理事長は中小企業の社長のようです。それにも関わらず多くのマンションで理事長の成り手がいないというのは、企業に経営者がいないのと同じで非常に切実な事態です。

理事をやるのはそれほど難しいことではありません。もちろん専門知識があったほうがいいのですが、それよりも取り組むうえでは『なぜ』という問いを大事にして欲しいと思います。例えば管理費ひとつにしても高いか安いかだけに目が行きがちですが、大事なのはやはり使い道だと思います。

専有部分の運営と同様に、管理組合でも浮いたお金を無料インターネットやオートロックなどに再投資することで、古いマンションを”ビンテージマンション”にすることだってできます。そうすれば賃料を上げることにつながり、専有部分のパフォーマンスにも跳ね返ってくることが期待できます。

例えば、ソフトバンクの経営者である孫さんが交代する、となったら株価にどう影響するでしょうか。それと同様に、マンションの価値判断の一つに理事長の経営手腕が問われるような時代が来ることを願っていますし、そうなれば投資家オーナーにとっても有益なことだと考えています。」

管理組合の運営で優れた手腕を発揮する村野氏のコメントは、町内会費の対応だけでなく管理組合の活動にチャレンジしたいオーナーにとってこの上ない参考となるだろう。

執筆:三刀流大家(さんとうりゅうおおや)

三刀流大家

■ 主な経歴

健康関連業界で都内に勤務する現役サラリーマン。ヨーロッパ駐在を経て帰国したのち、副業テニスインストラクターとしても活動。兼業大家でもある”三刀流”ライター。
趣味・ライフワークは、読書、映画、献血、テニス、日記、ワイン、高カカオチョコ、コーヒー、モーツァルト、CHAGE&ASKA、キン肉マン。

北海道大学卒業。薬剤師免許、バイヤー向け資格CPP-A級(Certified Procurement Professional)保有。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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