AIによるビッグデータ解析を強みとし、不動産の価格査定や物件情報配信など不動産テックソリューションを開発するエステートテクノロジーズ株式会社は、マンションに設置されている設備データを分析し、町丁目までの粒度で周辺エリアの傾向や統計などのデータを出力できるソリューションの提供を開始した。
築年数・平米数を指定すると、該当物件の周辺エリアにおける各種設備の設置状況の統計データをアウトプット。空室率を改善したい物件オーナーに向けて、周辺の傾向と比べて足りない設備を追加リフォームする際の検討材料となる。
また、新型コロナの流行以降テレワークが進み、オフィス事業を脱却しレジデンス事業に軸足をおく事業者も増加している。オフィス物件と居住物件では設備環境も大きく異なるため、そういった新規事業参入を検討中の企業にも役に立つソリューションとなっているという。
■開発の背景
賃貸物件の空室率はアフターコロナに移行するにつれ徐々に改善傾向にある。しかし、中長期的に考えると、「人口減少」「新築建築による供給過剰」という問題により、空室率は上がり続けることが懸念されている。
また、相続税の節税対策として不動産投資を始める方も増えている一方、適切な空室回避措置を積極的に行わないまま、空室を放置してしまっている状態も、空室率の増加の要因の一つになっているようだ。
国土交通省の発表では、「今後20年の貸家の戸数を計算すると、築30年超の貸家が現在1,186万戸であるのに対し、20年後には約1.5倍の1,808万戸(622万戸増)に増加するものと推測されている。特に、築50年超の貸家は、20年後に約3.5倍の830万戸、築40年超は約2.0倍の1,374万戸に増加するものと推測される」とあり、特に老朽物件に対する対策は重要な問題となってきている。
※出典:国土交通省「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」より抜粋
また、オフィス賃貸物件に関しては、在宅勤務の定着や外資系企業の事業見直しなどで空室率は上昇傾向が続いている。空室率が日本よりも高い米国でが、オフィスを住居(レジデンス)へ変更する動きも起きており、今後日本でも同様の動きが進む可能性があるとされている。
■ソリューションの特長
・町丁目ごとの細かな粒度で周辺エリアの分析が可能
・平米数、築年数、間取りなどの項目を指定し、類似物件のみ比較することも可能
・設備分析だけでなく、築年数やリフォーム状況、類似物件の最新取引情報などの様々なデータを分析した上で、AI査定価格とセットでご提供することも可能(売買・賃料共に)
・APIデータ連携により、既存システムとの連携も可能
・OEM開発にも対応
■想定される活用事例
・物件オーナー向け分析レポート
・買取再販のリフォーム時の戦略検討
・オフィス賃貸業からレジデンス事業への転換検討
■エステートテクノロジーズの強み
同社が提供する一連のサービスに搭載されている自社開発エンジンは、
・分析の精度
・対象物件の網羅性
・サービス利用の容易性
・API提供など開発の柔軟性
という4点が高く評価され、利用者ならびに取引先を拡大しているす。
◇エンジンの分析の精度
巷のAI査定を謳うサービスでは、査定エンジンの精度が低いために査定結果と実際の取引価格が大きく乖離しているものが散見される。
査定エンジンの正確性は、誤差率の中央値という意味の「MER」という指標で表され、低いほど正確。業界ではおおむねMER5.8が標準であり10を超えるものも珍しくない中で、同社の査定エンジンは、MER2.93という業界最高クラスの水準の正確性を誇るという。
◇対象物件の網羅性
同社では、上記のように精度を維持しながら査定対象を拡大することを重視している。現在、査定可能な物件数は15万件、一都三県(東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県)を網羅している。
◇サービス利用の容易性
物件の住所など詳細情報の入力が不要で、物件名を検索するすだけで数秒で分析結果が入手できるという容易性ならびに査定スピードが好評。
◇API提供など開発の柔軟性
クライアントニーズに合わせた、オーダーメイドでのAPI提供を得意としている。
不動産業界においては、物件の価格・賃料分析はもちろん、生活利便性が高いエリアの分析や、満室率の高い物件の傾向分析、ウェルスマネジメントにおける不動産資産の見える化など、「情報の透明化・可視化」の可能性は無限大だ。
■エステートテクノロジーズ社の目指すゴールとは
業界最高クラスの価格推定APIの提供および豊富な不動産情報を公開するプラットフォーム事業を推進している。目指すゴールは、公平透明な情報提供による不動産取引市場の活性化、人々の平等な資産形成機会の創出、中古不動産の利活用促進によるサステナブルな社会成長だという。
健美家編集部