今回の大家列伝は、年収300万円未満だったサラリーマン時代に不動産投資を始め、家賃月収が100万円を超えた34才の時にセミリタイアした遠藤健さんにお話をうかがいます。男性保育士という仕事にやりがいを感じながらも、年収の低さから将来への不安が消えなかったという遠藤さん。前編の今日は、遠藤さんが「 経験値を上げる 」ために事故物件も含めた様々な物件を買い、家賃年収を積み上げてきた様子を紹介します。
華子
自己紹介をお願いします。
遠藤健さん
新潟県長岡市在住の35才、AB型の遠藤健です。20棟31室の大家で、家賃月収は約120万です。ちなみに、ブログ名は長岡way( ながおかうぇい )といいます。この名前はふんどし王子さんにつけてもらいました。
華子
元気な自己紹介、ありがとうございます( 笑 )。不動産投資を始めたきっかけを教えてください。
■ 元手は貯金と母親から借りた1,200万円
遠藤健さん
28才のとき、「 金持ち父さん・貧乏父さん 」を読んで、何かを変えたいと思いました。でも、何から始めればいいかわからず悶々としているとき、加藤ひろゆきさんの本に出会い、「 これなら自分にもできるかも! 」と思いました。そこから、本気で不動産投資に関する本やブログを読むようになりました。
華子
もともとお金について悩みがあったのですか?
遠藤健さん
僕は大学を卒業してから児童養護施設の先生になったのですが、数年で実家に戻り、地元で保育士の職に就いたんです。仕事は楽しかったものの、土日休みがないシフト制で、給料も300万円以下、ロールモデルになる男性の保育士の先輩もいませんでした。これでは将来、結婚して家庭を持つのは難しいと感じていました。
華子
大学を出て就職して、真面目に働いていても、家族を養えないとは、厳しいですね…。
遠藤健さん
そうなんです。僕はそれでも、長岡では実家暮らしで、サッカーばかりやっていて車も買わなかったので、28才で200万円くらい貯金がありました。その頃、父親の還暦祝いで家族旅行に行った時、「 実は不動産投資をやりたいんだ 」と伝えたんです。
すると、兄と父は大反対。でも、母は真剣に話を聞いてくれました。それだけでなく、自分の退職金の1,200万円を貸してくれたんです。そのとき、母のためにも「 絶対に成功する 」と決めました。父と兄に成功した姿を見せてやる! という気持ちもありました。
華子
いわゆる家庭内レバレッジですね。
遠藤健さん
はい。これは後で知ったのですが、母の母もアパートを持っていて、家賃収入があったそうです。それで、大家業に抵抗がなかったんだと思います。それと、もっと後には、父が昔住んでいた家を貸家にして毎月6万円×20年も副収入があったことも判明しました。
ただ、その家は中国人の方がずっと住んでいて、退去があっても紹介でまた中国人の方がすむという感じで、一度も空室が出たことがなかったそうなんです。父はそんなのはレアケースだから、借金して不動産を買ったってうまくいかないと思ったみたいです。
■ 現金買いの戸建てからスタート
華子
自己資金が1,400万円に増えました。一戸目はどんな物件を買ったのですか?
遠藤健さん
加藤ひろゆきさんの影響もあり、最初は小さい物件を現金で買おうと決めていました。長岡市内では条件に合う物件が見つからなかったので、隣町までエリアを広げて、2013年の4月に698万円で出ていた5DKの古い家を398万円で購入しました。
この時に意識していたのは、「 まずは一棟買ってみよう。買わなければ始まらない 」ということです。もちろん怖さもありましたが、「 小さい失敗はOK。やりながら学んでいけばいい 」と頭を切り変えました。
8月には健美家で見つけた柏崎市のオーナーチェンジの戸建ても買いました。購入金額は360万円で、4.8万円で入居者がついていました。
華子
続けて二つ買われたんですね。うまくいきましたか?
遠藤健さん
それが、最初の物件は1年近く埋まらなかったんです。なんとなく、他の会社さんにお願いするのが悪い気がして、物件を買った会社さんに客付けを任せっぱなしにしてしたのがダメでした。冬に雪の重みで潰れないようにと、友だちと雪かきに行ったのはいい思い出です( 笑 )
今思えば、他の不動産屋さんにも営業に行くべきでした。サラリーマンの仕事が忙しかったのを言い訳に、行動量が足りませんでしたね。現金買いだからよかったものの、借金をしていたらマイナスのキャッシュフローで苦しかったと思います。今は4.6万円で埋まっており、順調です。
新潟の冬は雪深い
■ スピードを増すために、小ぶりのアパートを購入
華子
このまま、戸建てを買い進めたのでしょうか?
遠藤健さん
3棟目は750万円のアパートを現金で買いました。戸建てはスピードが遅いのがわかったのと、大家業のことがだんだんとわかってきたので、一棟物に挑戦したいと思ったんです。買ったのは築30年で2DK×3戸の鉄骨アパートで、3戸中2戸が埋まっていました。
お風呂がバランス釜だったんですが、この頃に結婚して、新婚時代はこのアパートで過ごしました( 笑 )。今は全部賃貸に出していて、月に12万円の家賃を生んでくれています。
華子
理解のある奥様ですね。これで現金がなくなりました。次はどんな物件を買ったのでしょう?
遠藤健さん
2015年2月に、2DK×4戸で1400万円の中古アパートを買いました。問い合わせを入れたことのある不動産屋さんからの紹介です。
ほぼ土地値で立地も良かったのですぐに地元の銀行に相談に行くと、フルローンがつきました。それまでの家賃を貯めてあったのが評価されたようで、期間20年の金利1.8%、共同担保もナシで大丈夫でした。
このアパートは一世帯につき2台分の駐車場があり、しかもガレージになっているので、雪かきの必要がありません。退去が出るごとに家賃を上げて、今は一部屋5万円×4部屋で毎月20万円の収入があります。
■ つらかった20万円の戸建てと、平気だった200万円の事故物件
華子
着々と収入が増えている感じですね。ここからは、アパートを買い進めたのですか?
遠藤健さん
いいえ、この次は「 空き家バンク 」に出ていた戸建を20万円で譲ってもらいました。長岡市内の田舎で、ユニットバスの入ったステキな家です。
4番手だったんですが、前の人は全員、東京の人で「 やっぱりやめた 」となったらしく、僕のところに順番が回ってきました。リフォームなしで3万円で貸しています。
華子
ラッキーでしたね。
遠藤健さん
それが、この家については一番、反省が多いんです。田舎の家だったんで、僕が掃除に行くと、近所の人たちに「 いつから住むの? 」「 若い人が来てくれて嬉しい 」とよく話しかけられていました。その時は、なんとなく笑ってごまかしていました。
それで、実際に「 貸家にします 」とご近所の人に伝えたところ、「 話が違う 」と町内の人たちをがっかりさせてしまい、つらかったです。こんなことになるなら、最初から「 貸家にする 」と言うべきでした。次に同じことがあったら、そうしようと決めています。
華子
遠藤さんのマジメさがよくわかるエピソードです。次はどうしたましたか?
遠藤健さん
その後はまた戸建てです。自殺のあった物件で、固定資産税評価額が600万のところを200万円で買えました。僕は「 これでまた自分の経験値が上がる 」と思い、事故物件ということは気にしませんでした。
決済の後、売主さんが自腹で神主さんを呼んで、家のお祓いをしてくれました。そのおかげなのか、怖い思いはしたことがありません。入居者も4.5万円で決まりました。
ちなみに、告知は絶対にするようにしています。入居者さんによると、ご近所の人に必ずその件を言われるそうなので、最初に言っておいてよかったといつも思います( 笑 )。
この家を買ったのが2016年の6月です。サラリーマンをしながら3年で戸建て4棟、アパート2棟を買って、空室の埋め方もわかってきました。やってみて思ったのは、レバレッジの強みです。それで、4年目になる2017年は、少し大きなアパートを買ってみることにしました。
リフォーム作業中
華子の編集後記
勉強熱心でマジメで、人あたりが良い遠藤さん。話を聞けば聞くほど、「 この人柄だから、家族にお金を借りられたり、不動産屋さんから情報をもらえたりしたのだろう 」と感じました。明日の後編では、セミリタイアのきっかけや、1万円、10万円といった超低額の物件を買えた理由などをお聞きします。お楽しみに。
長岡WAYさんが出演するYoutubeチャンネル