今回の大家列伝は、6年前に中古アパート投資からスタートし、新築アパート、戸建、更地と、様々な手法で不動産投資の規模を拡大している青森市の投資家、イッセイさんにお話をうかがいます。前半では不動産投資を始めたきっかけや、購入した不動産についてお話をしていただきました。
■ 健美家の初期から、いつかは不動産投資をしようと野望を抱いていた
華子
自己紹介をお願いします。
イッセイさん
1973年生まれ、青森県在住のイッセイです。仕事は最初、建築資材を大工さんなどに売る地元の小さな商社に10年勤めて、その間に二級建築士の資格も取りました。
ただ、その会社は給料が安すぎたので、32歳で大手メーカーに転職し、この会社にいた42歳の時に不動産投資を始めました。44歳で退職し、今は大家業のかたわら、大工の親友と一緒にリフォーム業をしています。
華子
不動産投資を始めたきっかけは何だったのでしょう?
イッセイさん
38歳の時に妻が大病を患い、共働きをあきらめたことです。自分一人の稼ぎで子供たちを育てられるか不安になり、アフィリエイトやせどり、情報商材の販売など、マネー系の雑誌に書いてあるような副業を片っ端からやってみたのですが、ことごとく滑ってしまいました。
その時に思ったのが、「 結局、自分と同じように働いてくれる分身を作るしかない。それには、不動産投資がいいのではないか 」ということです。昔からいつか不動産投資をやりたいという意識はあって、健美家のコラムもずっと読んでいたんです。
特に加藤ひろゆきさんが好きで、『 ボロ物件でも高利回り 激安アパート経営 』は100回以上読みました。金額が大きいので先延ばしにしていたのですが、ここで覚悟を決めてタネ銭を作り、42歳の時に最初の物件を買いました。
華子
どんな物件を買われたのでしょう?
イッセイさん
1棟目は青森市内の築19年の中古軽量鉄骨アパートで、2,200万を2050万に指値して購入しました。利回りは14.9%です。公庫で融資を申し込むと、オーバーローンのような感じで2,200万を返済期間15年で借りられました。
1棟目のアパート
持ってみたら、毎月7~8万円がキャッシュフローとして残ったんです。それって奥さんがパートに出て稼いでくるような金額ですよね。すごくないですか? 実際に始めてみて、副収入のありがたみと不動産投資の面白さを実感しましたね。そして翌年に、新築アパートを建てました。
華子
新築アパートを建てたのはどのような経緯があったのでしょう?
イッセイさん
1棟目がうまくいったので、以前にも増してネット検索に励んだのですが、1棟目を超えるような物件がなかなか見つからなかったんです。そんな時、地元が同じで尊敬する先輩不動産投資家から、「 10世帯の新築アパートを建てないか 」と提案されました。
青森は雪が多いので工事費が高くつくのでは?とか、大きい借金をすることになるけどいいのか?とか、悩んだのですが、250坪700万という激安の土地があるのでやってみないか?ということで踏み出してみることにしました。
そして、建物代の6,800万円と土地代を銀行融資を打診したところ、普通に通ってしまったんです。給料は手取り30万円くらいでしたが、上場企業だったのが良かったと思います。それなら土地代を含めても利回り10~11%は出るということでやってみることにしました。
華子
順調に進みましたか?
イッセイさん
工事は順調でしたが、精神的にはだいぶきつかったです。今思えば完全に失敗なんですが、新築にもかかわらず融資の元金返済猶予期間を3カ月しか取っていなかったので、家賃が入らないのに返済が始まりました。自己資金として300万を投入したので、手元資金はカツカツで、本当に焦りました。
そこで思いついたのが、すぐに家賃が入る物件をフルローンで買い、新築物件の支払いにカウンターをあてるということ。その日から鬼のように物件検索をして、2棟一括の中古アパートを買いました。6世帯1,050万円と、4世帯700万の物件で、利回りは21.2%。希望通り、ローンも通りました。
華子
丁度いい物件が見つかってよかったですね。
イッセイさん
そうなんです。その後、新築物件も無事に埋まり、ピンチを脱しました。そして、気づいたら最初の1棟と次に買った2棟、そして完成した新築アパートを合わせると、キャッシュフローが月に60万円ぐらいになっていたんですよ。
手取り給料の倍の金額です。まさか、2年やそこらでここまで行けるとは思いませんでした。これなら、会社を辞めてもなんとかなるんじゃないかと思い、44歳の時に会社を辞めました。
それと同時に、1棟目のアパートを売りに出しました。青森でも不動産の相場が上がっていましたし、市街化調整区域だったので売れるうちに売ってしまおうという目論見です。2,050万で買った物件を2,450万で売却することができました。
リフォームはDIYで。10万円以下で仕上げた
華子
順風満帆という感じですね。
イッセイさん
自分でもそうだと思ったんですよ。でも、1棟目を売ってしばらくすると、大きな失敗をしていることに気づきました。個人で買っていたので、税金の支払いランクが上がってしまったんです。
例えば、国民健康保険が爆上がりして、妻と合わせて1カ月あたり18万9千円という巨額を1年間払うことになりました。会社を辞めた後も社会保険を継続するとか、社会保険をかけてくれる会社に入れてもらうとか、色々と方法はあったようですが、当時はわかりませんでした。
これは、大失敗でしたね。しばらくの間、失業手当をもらっていたのですが、それが月に18万円。国保の支払いがそれを上回るという状況で、この時期がいちばん苦しかったです。
リフォームしたトイレ
■ 買い進めるに従い、どんどんと利回りが高くなっていく不思議
華子
会社を辞めてからも、物件は買っているんですか?
イッセイさん
はい。今は安い物件ばかり買っています。戸建が多いですね。
華子
会社を辞めてから、アパートから戸建へと投資対象を切り替えたのはなぜですか?
イッセイさん
資金の問題です。国民健康保険ショックもあり、手元の資金が減っていました。キャッシュフローを貯めた300万~400万はあったので、アパートでの拡大は難しいけれど、戸建なら買えるだろうと思い、そっちを探し始めたんです。
戸建の1軒目は、古家付きの土地として350万で出ていた5DKの家を、2019年1月に購入しました。「 解体更地渡しで350万 」だったので、現況渡しなら安くなるだろうと思ったら、不動産屋さんの女性社長から「 広告が間違いで解体費は別、値引きはできない 」と言われてしまいました。
「 じゃあ、買いません 」と言うと、その社長が「 大丈夫、私が融資も客付けも全部してあげるから、だまされたと思ってこれを買いなさい 」と言ってきたんですよ。試しに乗ってみるかと進めたところ、銀行融資が通り、入居者もパン屋さんのベトナム人研修生をすぐにつけてくれました。
華子
良かったですね。
イッセイさん
はい。その社長がどういう魔法を使ったかはわからないのですが、月9万円の家賃を得ることができています。利回りは30%以上です。自分の物件ですが、驚きました。
その後、この女性社長から160万円の戸建を紹介してもらい、それを現金で購入すると、家賃5万円で入居者が見つかりました。こちらは利回り37.5%です。あの時、だまされたと思って社長を信じてよかったです。
華子
その後も同じやり方で高利回りを実現させたのですか?
イッセイさん
その後はまたちょっと違うんです。まず、ジモティーで不要な家を募集して7DKの家を50万で買いました。これは入居付けはまだですが、家賃5万はほぼ確実にいけそうなので、利回り100%以上になると思います。
その次に、青森駅から徒歩10分圏内にあるビルを142万円で買いました。めちゃくちゃ場所がいいんですよ。これを今、自分で住みながらリフォームしています。「 ちびビル 」と名付けたんですが、ここにはニーノさん等、色々な方が遊びに来てくれました。賃貸に出せば利回り約70%が見込めます。
ちびビル内部
その他に、畑にする更地50坪を0円でもらい受けました。これは、今50万円で売りに出しています。それとその更地の近くにあった山小屋を30万円で買いました。これは月1万円で賃貸募集中です。除雪が入らないので生活するのは難しいですが、近くで家庭菜園をする人などにいいと思います。
あとは5Kの古い戸建を買い、ベトナム人研修生の寮2棟目として提供しています。この家は再建築不可で接道なしだったので5万円でした。7万円で賃貸中なので、利回りでいうと1680%です。
7万円で賃貸中の5万円ハウス
華子の編集後記
限られた資金を最大限に生かすために、手間をかけることを厭わず、手と足を動かすことで資産を増やしてきたイッセイさん。その物件の利回りの高さには驚きました。成功の秘訣を語っていただいた後半は午後4時公開です。お楽しみに。