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【首都圏の築古戸建て投資事例】実際にあったトラブルから学ぶ投資する際に注意したいポイント

賃貸経営/トラブル ニュース

2023/11/16 配信

戸建

筆者は、首都圏の築古戸建てを購入、リフォームをして入居付けをし、自主管理して運営し、売却して利益を確定するという手法で投資をおこない、約10年になる。

10年間で延べ15棟に投資し、リスクの高い物件を避けるように注意してきたが、それでも様々なトラブルに見舞われた。

その中でも、特にリスクが大きいと感じた、境界と私道のトラブルを紹介し、首都圏の築古戸建て投資の際、注意したいポイントについて考えてみたい。

■ 境界のトラブル

築古戸建投資の問題
築古戸建投資の問題

首都圏では、地価が高く狭小の区画が多いこともあり、家屋の底地について境界のトラブルが発生しているケースもしばしばみられる。

最大の境界トラブルは、境界そのものの場所について、隣地との間に争いがあるケースだろう。以前、筆者が所有していた渋谷区の狭小戸建は、境界争いのある物件だった。隣地所有者は、こちらの家屋の壁が境界に当たると主張していた。

境界トラブルのある物件は、少なくとも重要事項説明でその旨を告知されて売買されるだろうが、関係の深い不動産業者や友人などから、都心の好立地の物件などの紹介を受け、市場に出ないうちに購入してしまうようなケースが危ない。

筆者の場合は、めったに売りに出ないような立地であるし、付き合い上の信用もあり、購入後にゆっくり調査しましょう、という不動産業者の提案に乗って、飛びついて購入してしまった。

おそらく、後から境界トラブルを理由に契約を解除することもできただろうが、今後の業者との付き合いや解除に伴う手間を考えて諦めた。

境界トラブルが明確になっていない場合でも、測量による境界確定まではおこなわずに、売主が境界を明示するのみで売買されるケースは多い。このようなケースでは、トラブルが隠れていることもあるので注意したい。

他にも、しばしばみられる境界トラブルには、越境問題がある。雨どいや軒、庭木、エアコンなど、地上の越境なら簡易な修繕や撤去で解決しやすいが、地中の越境問題は深刻な問題となることもある。

地中の越境で気を付けたいのが、上下水道管の越境問題だ。むかし隣地と所有者が同じだったような場合、隣地を経由して上下水道を引いていることがある。このような場合は、隣地所有者に、書面で上下水道の使用についての承諾を得ておきたい。

万一、上下水道管が故障した場合、隣地を掘削することになるかも知れず、承諾を得られないとすぐに上下水道を復旧できない可能性もあるので大きなリスクになるからだ。

■ 私道に関連するトラブル

私道

築古戸建ての前面道路が私道である場合には、私道に関連するトラブルにも気を付けたい。

しばしば見受けられるのが、私道の持分を持っていないケースだ。自分の物件に出入りするにはかならず前面道路を通る必要があるし、通常、道路にはライフラインが埋設されている。

ライフラインに不具合が生じた場合や、新しくライフラインを引き直す場合には、私道を掘削する必要が生じることがある。

私道の持分を持っていない場合、このように、私道を通行したり、掘削したりする際に、私道の所有者から承諾を得なければならないという問題がある。そして、承諾を得る際には、所有者から承諾料を請求される可能性もあるので注意が必要だ。

ただし、私道の持分を持っていたとしても、原則、通行・掘削にあたっては他の持分者の承諾が必要である。持分を持っていない場合は、私道に関する権利が非常に弱いのでさらに問題が深刻であるといえる。

私道の場合、ライフラインの故障には要注意だ。私道の埋設されている上下水道管は、どの家が使用しているものなのか、そしてそもそも、どこにどのように埋設されているのか、が不明であることも多い。

筆者は、浅草の築古戸建てを所有していたとき、下水道が故障して修理をしなくてはならないのに前面私道のどこに下水道が埋まっているのか、また、下水道のどこが故障しているのかが分からず、公道の下水道本管から私道をすべて掘り返さなくてはならないと言われ途方に暮れたことがある。そのとき、私道を掘り返す費用を見積ってもらったところ、数百万と見込まれていた。

しかも、その戸建ては、民泊として使用している物件で、早く修理をしないと民泊の損失を請求される可能性もあった。けっきょく、その物件では下水道が故障したのは、同じ道路に面した家が建て替えをしていた最中で、古い下水道を壊したことが原因であることが分かり、事なきを得たが、私道のリスクはライフラインの故障の際に表面化することがある。そして、いざ表面化すると非常に大きな損失となりうる。

■ 売却の際の買い手は業者がほとんど

境界トラブルや私道のトラブルがあると、当然に売却しにくくなる。一方、首都圏であれば立地の良さから人気が高いという側面もある。

実際のところ、こういった問題のある首都圏築古戸建ての売却先はどういった買い手になるのだろうか。

買い手の立場になって考えれば、境界や私道のトラブルがある築古戸建ては、単純に実需目的の購入者は敬遠するだろう。ライフラインの故障の際のトラブルを考えれば、居住できなくなるリスクもあるのだから、いくら安かったとしても購入は控えるだろう。

そもそも、筆者は首都圏で築古戸建てを既に10棟弱売却しているが、実需目的の購入者に売れた物件は1つもない。問題のない物件であっても、築古になると、なかなかそのまま利用して住むという買い手は見つかりにくい。筆者が売却した先は、建売業者とリフォーム再販業者だった。

そして、問題がある物件については、個人投資家や不動産業者、ブローカーが売り先であった。

もし、築古戸建てへの投資を考えているのであれば、売却して利益を確定させる際は、売り先はこのように、何らかの業者になることを念頭に置いておきたい。そして、当然のことながら、売値も業者が十分に利益を取れるようなシビアな価格になるだろう。

取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

佐藤永一郎

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。新潟大学大学院博士後期課程在籍。2級FP技能士。会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所(https://fprealestateoffice.jp/)」を運営している。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。大学院にて所得税制を研究中。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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