海外の旅行客が戻りつつある。日本政府観光局(JNTO)の最新の発表によると、2023年5月の訪日外客数は189万8900人とコロナ前の2019年同月比68.5%まで回復している。これから夏休みに向けて、ますます訪日旅行客の増加が期待される。
大阪で新たに民泊を始めた投資家によると、民泊サイト(airbnb)で募集開始後、1週間で予約が15件、2週間で27件入り、早くも6月時点で年末の予約が埋まるほど盛況だそうだ。
そこでこの物件の内装やインテリアコーディネートを手掛けたプラニング会社「A&K works合同会社」を取材し、民泊で予約を取りやすくするインテリアコーディネート術について聞いた。
「写真映え」を考えベッドやソファの背景にくるクロスを選ぶ!
タオル1つとっても統一感を持たせてコーディネート
過去に健美家ニュースで「1年間空室だった部屋も内見1組目で入居者を決めたカラープラニングのプロ直伝,入居率を上げる内装&ステージング術」でご登場いただいた、A&K works。
色彩感覚に優れたカラープラニングの専門家ならではの感性で、民泊のみならず、住宅や店舗などの内装からコンセントや照明の配置、インテリア、家具・家電から食器類までを含むトータルコーディネートを手掛けている。大阪の投資家から、インスタグラム経由で、民泊の部屋づくりの相談を受けたのが今回の始まりだ。
「5階建ての1棟丸ごと内装を含むリノベーションのプラニングからお手伝いさせていただきました。もともと1階が飲食店で、上の階が簡易宿所として使われていた1棟ビルを民泊として利用したいとの相談でした」
民泊で人気をえるには、ホテルといかに差別化するかがカギとなる。ホテルは1室2~3名で利用するケースが多いが、外国人旅行者は大人数で1室を利用したいとのニーズがあり、大人数で利用できる大部屋を備えた民泊は人気をえやすい。
そこで5階の全フロアを利用できる広さがあることから、1~2階を利用した「A」室と、3~5階を利用した「B」室の2つにわけ、Aは最大6名まで、Bは最大10名まで利用できることにした。さらにそれぞれコンセプトを変え、差別化をはかった。
民泊のコーディネートでは、利用者を募るサイト上で同じような部屋の写真が並んだ際に、パッと目を引く第一印象が重要だ。
《民泊の部屋づくりで、意識したいポイント》
●見た目の清潔感や明るさを出す。ベッドとベッドの間隔をあけ、荷物を整理できる空間を確保する
●ベッドは体の大きな欧米人を考慮して、できればダブルベッドで数をそろえる
●写真を撮るときのバランスを考えたうえで家具の配置を考え、ベッドやソファの背景にくるクロスを選ぶ
●大きな部屋の場合、ベッド上で電気のスイッチ操作ができるなど利便性を考慮
●家具、家電、食器や洗剤、タオル1つに至るまで「コンセプト」に合わせ統一感を
●携帯電話やパソコンの充電がしやすいように充電ポートを用意
●安く仕上げたいと思うものだが、何もかも安くせず、お値段以上に見えるものを選ぶ
●寝室が複数ある場合、アクセントクロスの色味やベッドカバーの色味などを変えて、いろんな部屋があるように見せる
2025年の「大阪万博」に向け、大阪は期待できるエリア!
JR沿線で、駅近、3線利用でき、関西空港から近いことも強み
民泊で人気物件にするには、「立地」も重要だ。今回取材した物件は大阪市内でも西成区に位置し、YouTubeを中心に「ディープな大阪が楽しめる街」として注目度が高まっている。
海外からの旅行者は、訪日外国人がお得にJRを利用できる『JRパス』を利用することが多いため、JR沿線エリアが好まれる。この物件は、JRのほかに、地下鉄など3線利用でき、関西空港からも便利であることや、人気観光地であるユニバーサルスタジオや大阪城、京都にも行ける立地であることも強みになった。
最後に健美家読者に向けて、アドバイスを!
「民泊は不動産投資に比べてコスト面でハードルが低く、チャンスはたくさんあると思います。戸建て1棟で、一般賃貸では家賃が数万と限度があるものの、民泊でうまくいけば利益が何倍にも跳ねる可能性があります。
民泊を始めたい人はもちろんですが、すでに始めているがうまく予約が入らず、テコ入れしたいという人からの相談も大歓迎です」
民泊を始めるなら民泊がある程度、認知されている場所の方が実は始めやすいという。
ある程度、競合が多い場所の方が近隣の理解もえやすく、運営しやすいことも覚えておきたいポイントだ。