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所有物件に「家庭用サウナ」を設置してみた。入居率アップなるか?光熱費を含め投資する価値は?

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2023/10/13 配信

昨今のサウナブームで賃貸住宅にもサウナを導入する動きが見られている。先日も健美家ニュースで「人気急上昇の『サウナ付き賃貸』。元社員寮を再生, 無印良品監修の居室や共用ラウンジで家賃UP」について取り上げた。

しかし、こうした取り組みは、ある程度予算をかけられる企業でなければできないのではないか、とも感じていた。そんななか所有する物件に手軽に設置できる「家庭用サウナ」を設置したとの話を耳にした。

入居率アップにつながるのか? 光熱費や導入費用は、個人投資家でも負担できる金額なのか? 岐阜県の工務店、タグチホーム株式会社 代表取締役 田口元美氏に話を聞いた。

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岐阜県郡上市、黒いテント型のサウナを物件の前に設置。サウナの後は目の前の川の清流で体を冷やして「ととのう」ことができる

導入コストは約20万、熱源はバイオエタノール。
電気・ガスは一切不要。工事なしで設置可能

田口氏はこれまで岐阜県内の空き家や全て空室の老朽化アパートをリノベーションして再生して満室にするなど、物件の再生を手掛けてきた。昨今では住まいのサブスクサービスである「ADDress」に空き家だった戸建てを登録して、シェアハウスとして運用することにもチャレンジしていた。

今回サウナを設置した物件も「ADDress」に登録し、シェアハウスとして広く利用者を募っていた。物件は岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市にある戸建てで、のどかな環境から、ワーケーションや観光目的で利用する人が時折いる程度で、入居率アップをもくろんでいた。

「目の前には川が流れ、水風呂代わりに清流で体を冷やして『ととのう』ことができ、サウナーにとって魅力的な環境です。3ケ月間無料でテント型のサウナを利用できるとの情報をえて、試しにシェアハウスに設置してみようと考えました」

「家庭用サウナ」といっても、昨今のサウナブームで、さまざまな種類がある。簡易的なテント型のものから木製の箱型タイプまで。安いものでは3万程度から売られているが、多くは20~40万円ほど。電気を熱源とするタイプのほかに、バイオエタノールを熱源として、煙や一酸化炭素が排出されないサウナもある。

田口氏が利用したのは、バイオエタノールを熱源とするテント型の「IESAUNA」で、バルコニーなどでの使用を想定したサイズで、手軽にサウナを楽しめるのが売りだ。 今回はモニターとして、無料で試すことができたが、導入には通常、約20万円かかる。

「段ボールに入って一式届きました。テントをはるような感覚で、設置は難しくありません。ただサウナを設置する場所に、水平で安全な場所を確保する必要があり、地面に70cm角のコンパネを敷いてテントを押さえて紐で紅葉の木などに固定し安定させました」

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バイオエタノールにチャッカマンで火をつけ、サウナストーンを加熱し、テント内が温まる仕組み
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サウナストーンに水をかけることで、さらに高温になる

従来の家庭用サウナは電気工事が必要であるが、IESAUNAは電気工事・電源不要で手元に届いたら、すぐに使用でき、導入しやすい。

気になる利用者は3ケ月で2組。付加価値にはなったが、
地方で集客力を上げるほどの効果はなかった

「ADDress」にサウナを設置したことを明記して利用者を呼び込むと、モニター期間の3ケ月の間に2組のサウナ利用者がいた。

「利用者が急増したかといえば、正直、そうではありません。ただ利用してくれた2組は、この環境やサウナを気に入ってくれました。あるカップルは初日にサウナを3セット、翌日に2セット行って、清流で涼んで心と体をととのえたようで、夜は浴衣に着替えて郡上八幡の盆踊りに出かけました」

サウナを設置したことで、清流に面したテラスの楽しみ方がひとつ増えたと感じている。室内にはトレーニング機器が整備されており、筋トレ後にサウナで体と心を整えることもできる。

サウナ導入の注意点は?

「初めて使う人には、バイオエタノールに着火するなど、少しリスクがあるかもしれません。利用する人に使い方の説明をしたり、お手伝いをしたりする必要があります」

光熱費の負担はどれくらい?

「バイオエタノールを熱源にするため電気やガスは不要で光熱費はゼロです。ただしバイオエタノールの一斗缶を買う必要があり、1缶8000円ほど。一斗缶から1回分800ccをスポイトで取り、ペットボトルにこわけにして使いやすいように準備しました。利用者からサウナ1回、20分500円の利用料をいただきました」

10月以降は川の水が冷たくなるため、サウナの後、清流で涼めるのも9月が限度だという。

「実際にやってみて、思っていたほどのニーズがありませんでした。サウナで汗をかいた後は、清流に飛び込んで涼めると考えていましたが、そこまでやるのは、かなりのサウナ好き。地方ではそこまでのサウナ愛好家は少ない。それに対して、約20万の設備投資は厳しい。1回500円の利用料を取るとしても一斗缶10缶使って3万円ぐらいの売り上げです。これで儲けようというより、サウナ設置により、『ADDress』でのニーズが増して、賃貸収入が上がればよいとの考えです」

岐阜には温泉が多く、サウナが併設されている温浴施設が多いのだが、郡上でも周辺に温浴施設が多く、サウナに行きたければ、近くの温浴施設に行けばいいとの見方もある。

他の地域ではもしかしたら、思わぬニーズや相乗効果で、サウナ付き賃貸がヒットする可能性もあるが、サウナ付きで人気急上昇している賃貸住宅は、今のところ都心部に限定されているのかもしれない。

※取材協力:タグチホーム株式会社 代表取締役 田口元美氏。近年は地元の岐阜の木を使った家づくりを推進し、耐震や省エネ改修を得意とし多くの実績がある。ホームインスペクション(住宅診断)事業も行っており、中古住宅を購入する際の不安を解消、住まいを長く大切にメンテナンスして活かすことで、資産となる住まいを提案する。不動産仲介や火災保険の取り扱いも行う。

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サウナを前に。田口氏

健美家編集部(協力:高橋洋子(たかはしようこ))

高橋洋子

https://yo-coo.wixsite.com/home

■ 主な経歴

暮らしのジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、情報誌などの編集を経てライターに。価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、おトクなマネー情報の研究に目覚め、FP資格を取得。住宅、マネー関連の執筆活動を行う。

■ 主な著書

  • 『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)
  • 『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)
  • 『最新保険業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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