ラナイから海が見えるスタジオでおいくら?
2023年12月にオアフ島ワイキキを訪れた。そもそものきっかけは、NYに住んでいた友人がワイキキに一時滞在をしていたと思ったらなんと移住したことだった。
「とんとん拍子に海の見える賃貸物件と仕事も決まった」と聞いて、転職のお祝いと「ワイキキでラナイ(バルコニー)から海が見える?! どんな場所でどんな風に住んでる」と訪ねてみたくなったわけである。
彼女のコンドは、アラワイ運河沿いにあってビーチまでは徒歩で8分ほど、ワイキキでいちばんの階層からの眺望や利便性の高さで安定した需要がある。コンロはないが、シンクのあるキッチンは簡単な料理は可能。バスタブもあって水回りにはゆとりがある。
2024年で築45年、以前から事業用投資物件としても人気のあるコンドミニアムだ。2021年の税制改正で個人の加速度減価償却の旨味はなくなったものの、法人事業所得との事業収支との損益通算は可能だから法人にはまだまだ注目かも。
あらためて感じた利回りよりキャピタルゲイン
友人は、このコンドミニアムのスタジオ(1バスルーム)で約39㎡を、光熱費込み月1700ドルで借りている。階層は、少し低いが、ほぼ同じ条件の部屋が399,000ドルでオーブンハウスをしていた。広さ&築年、賃料と物件価格の感じはなんだか東京都心のワンルームに近いなと感じる。
ところがワイキキの場合、ホテル運用のコンドミニアムが多数なので月の管理費約500ドル、固定資産税が約400ドルはかかりそうだ。ということは、ざっくりと表面利回りは2%そこそこのように思える。
やはり、ハワイは利回りよりキャピタルゲインだと改めて感じた。ホノルル市不動産協会(Honolulu Board of REALTORS )が発表している不動産取引中間価格を見ても、2008年のリーマンショックやコロナ禍を経ても右肩上がりだ。
2023年の販売数の激減と価格下落については、約20年ぶりという金利上昇の影響だろう。2022年から23年にかけて連邦準備制度理事会FRBの利上げは11回に及んだのだから。
今年はFRBによる3回の利下げが見込まれている。ここが階段の踊り場かどうか。観光市場では、2023年は9月末時点で全世界から約731万7000人が訪れ、過去最高の訪問者数を記録した2019年比で6.5%減と回復傾向が顕著だ。件の友人もNYからの転職先はホスピタリティ業界である。
不動産の需要は底堅い感があるハワイ。長期保有によるキャピタルゲインのトレンドで2024年は注視すべき年になりそうだ。
執筆:
(おのあむすでんみちこ)