年金で暮らす高齢者夫婦の家をオーナーチェンジ( 実質的にはリースバック )で買った私でしたが、初月から家賃が振り込まれないというトラブルに直面しました。電話をかけても話を最後まで聞いてもらえません。今回はその続きです。
参照:オーナーチェンジ戸建で初月から家賃滞納。不良入居者の呆れた対応【前編】
電話ではまともな会話ができないと判断した私は、手紙を送ることにしました。下の画像は入居者へ送った手紙のうちの1通です。
このように書面で家賃の振込のお願いを繰り返すも、入居者様からはまったく反応がありません。相変わらず、家賃の入金も一度もない状態でした。
買ってすぐ家賃を頂けるはずが、家賃どころか、融資の返済でマイナスのキャッシュフローです。さらには、自主管理だったことから、精神的な苦痛を伴う「 入居者様との交渉 」までする羽目になりました。
不幸中の幸いとして、「 全保連の家賃保証 」を賃貸借契約と共に引継いでいたため、それを利用させてもらいました。私にとって初めての家賃の代位弁済請求でした。家賃保証があったおかげで本当に救われました。
この経験以降、自主管理物件は100%家賃保証会社を使用すると決めています。
■ 裁判所からの指示で入居者の強制執行退去日が確定
その後も家賃滞納は続きました。結果として5カ月間の家賃代位弁済が行われたタイミングで、保証会社の担当者さんとも協議し、裁判所へ強制退去の申請を行うことを決めました。
保証会社は手慣れたもので、あっという間に申請完了。強制執行退去日も真冬の1月17日と決まり、入居者へも裁判所より通知されました。この通知が行われたのは、執行予定の1カ月ほど前だったと記憶しています。
この通知をみた入居者はやっと事の重大さを理解したのでしょう。
いままで着信拒否状態だった入居者から当方へ、電話連絡が入りました。
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入居者(夫)
「 裁判所から書類が届きました、1月17日の強制執行は事実でしょうか?」
草レーサー大家
「 はい、何度も当方から電話、書面で連絡をしたにもかかわらず、お返事を頂けない状態ですし、保証会社様への弁済も全く行われていない状況です。その為、保証会社と協議してこのような手段を取らざるを得ないと判断しました 」
入居者(夫)
「 そんな、真冬の北海道で急に退去させられたら、行くあてもありません。家族ともども死んでしまいます。お願いします。なんとか強制退去を止めてくれませんか? 」
草レーサー大家
「 今までまったく交渉にも応じず、いまさら助けてくれと言われましても・・・親族に助けを求めてはいかがですか? 」
入居者(夫)
「 親族とは金銭トラブルが原因で疎遠になっています。本当に反省しています。家賃もしっかり払います。私たち家族をどうか助けてください 」
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このようなやり取りが、数回、繰り返されました。正直、とても気持ちが暗くなりました。そして、入居者がご年配の年金暮らしの夫婦であったこともあり、私は擁護案を検討することにしました。鬼にはなりきれませんでした。
■ 強制執行を取り下げる代わりに、賃貸借契約に厳しい条件を追加
擁護案は、賃貸借契約に付随する覚書にて、強制執行退去を取り下げるにあたり、厳しい条件を追加するというものです。これまでの家賃保証会社の継続は困難です。
そのため、新たに別の家賃保証会社との契約締結か、支払い能力のある連帯保証人を2名つける事を強制執行を取り下げる条件としました。
<実際の覚書>
この覚書を締結後は、たまに遅れることもありますが入居者様は2カ月に1回の年金受給日にあわせて、2カ月分の家賃をまとめて事前に支払ってくれるようになりました。
色々と大変でしたがこれで、家賃滞納トラブルはある程度の改善となり、一安心です。購入から決着までの約半年間、本当に沢山の経験をさせてもらいました。かかった時間もそうですが、精神的な消耗もきつかったです。
滞納された家賃については、保証会社が代位弁済してくれたため、満額家賃が私の口座に入金されています。おかげで融資への返済も滞ることはありませんでした。
この保証会社に代位弁済して頂いた滞納家賃については、入居者と保証会社間の債権債務となる為、大家である私に情報が入ってくることはありません。入居者様がしっかりと返済していることを祈るばかりです。
このトラブルも今では、成功するために神様が与えてくれた試練と感じており、貴重な経験値を積めたとポジティブにとらえています。
ちなみに、この約2年後に今回の擁護した対応を忘れ「 恩を仇で返す 」トラブルをまた起こしますが、それはまた別の機会があれば書きたいと思います。
■ 今回の失敗から学んだ教訓
家賃を払わない上にリフォームをしてもらう約束だとウソをつき、常に攻撃的な態度で話す入居者と対峙したダメージはなかなかのものでした。
結果的に保証会社に救われましたが、もし入っていなかったら、もっと長引いたと思います。この他にも家賃滞納は何度も経験していますので、全ての大家さんにとって他人事とはいえない話だと思います。
今回の反省を3つ、まとめました。
- リースバック案件は購入時に入居者と詰めた契約をすることが大切。入居者は自分の持ち家であるという意識が抜けきらず、上から目線で横柄な対応をする場合もある。面倒でも細かく条件確認を書面に残しておくことが必要。
- 軽いトラブルであれば解決へのスピードを重視して電話対応が良いが、重いトラブルに発展した場合は必ず書面で連絡すること。送った書面がエビデンスとなり交渉がスムーズに進むことにつながる。
- 一人で悩まず、周りに相談する。自分にとっては大変な出来事でもその道の専門家から見ればそうでもない、ということはよくあるため。私も保証会社の方の力を借りたことで早期に解決できました。
不動産投資は、トラブルも込みで、不動産投資です。
私の失敗談が皆さんの参考になれば幸いです。