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日銀が実質金利引き上げ、アパートローンへの影響と融資が厳しくなる理由

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第149話 著者のプロフィールを見る

2023/1/3 掲載

■ 日銀のサプライズな金融政策変更

日本銀行が、昨年12月20日の金融政策決定会合で、「 大規模緩和 」を一部修正しました。

日銀は、短期金利の誘導目標をマイナス0.1%程度にするとともに、10年物長期国債の金利を0%程度で推移するようにし、無制限の国債買い入れを通じて金利が上がるのを抑え込んできました。

今回、修正が加えられたのは10年物金利の「 変動幅 」の程度で、従来±0.25%とされていたものを今回±0.50%へと拡大しました。最近の金利上昇圧力で、上限の0.25%辺りに張りついていましたが、金融政策決定会合後には、新たに上限とした0.5%近くまで上昇しました。

金融業界関係者の多くは、この修正を想定外の「 実質的な利上げ 」と、とらえています。

*今までの日銀の金融政策や短期金利・長期金利の仕組みについては、第141話「一歩ずつ増す「 金利上昇 」の現実味。進む円安で日銀の金融政策修正へ? 」でも詳細に解説していますので参照願います。

今回の日銀の政策修正を受けて各金融機関も固定金利の引き上げに動きました。

新規で住宅ローンを借りる場合の10年固定金利は、三菱UFJ銀行が0・18%引き上げ3・70%に、三井住友銀行が0・26%引き上げ3・79%に、みずほ銀行は0・30%引き上げ3・50%になります。

最優遇金利も同程度の引き上げとなり、三菱UFJが1・05、みずほが1・40%となります。

■ 2023年 金利は、更に上がる?

今年の金利動向については、いろいろな意見や予想があります。実際にどうなるかは、その時々の経済指標や世界の金融情勢次第で、日本のみならず欧米の金融政策を決定する当事者達も確実な予測は不可能でしょう。

ただ、昨年の大晦日に日経新聞が次のような記事をアップしました。

「 日銀は1月17-18日の金融政策決定会合で、消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しを前回( 10月時点 )から上方修正する検討に入った。
政府・日銀が目標とする2%に近い水準で物価が高止まりすることになり、緩和修正への圧力がさらに増す可能性がある。
物価見通しは22年度を3%前後、23年度を前回の1.6%以上で2%には届かない水準、24年度を2%近くとする案が浮上している 」

昨年は、円安やコロナ禍での生産・物流停滞等の理由によるコストプッシュ型の物価上昇でしたが、デフレに慣れた日本では価格転嫁がしにくく、賃金の低下要因にさえなっていました。

それが最近では、人手不足も相まって、賃金上昇を許容する雰囲気が大手企業や人手不足の業界主体に広まっています。今年の春闘の動向次第では、日銀が目指していた「 賃上げを伴う形での安定した物価上昇 」に近づくかもしれません。

ただし、終身雇用制が基本の日本の労働環境では、継続した賃金のベースアップは難しく、賞与や一時金が賃金の上昇の多くを占める可能性も高いです。

仮に金利が上がるとしても、現在YCC( イールドカーブコントロール )として無理に制御している長期金利をマーケットの手に徐々に戻していくことが当面の動きで、短期金利はマイナス金利の解除はあるとしても、それ以上は当分上がらないのではないでしょうか。

■ 審査金利の引き上げにより融資審査が厳しくなる?

今年から来年にかけて、長期金利は、もう一段高くなり、短期金利は、ほとんど変わらないというのが私の私見です。

現在、住宅ローンについてですが、長期金利固定型ではなく、短期金利変動型を選択している方が7割程度になります。アパートローン・不動産融資も同程度と思われます。「 短期金利が上昇しないのなら、借り入れに影響しないのでは 」と思われる方が多いでしょう。

元銀行員の融資担当者の立場で考えると、一つ気になることがあります。それは、「 審査金利 」の引き上げです。審査金利とは、借入人の返済余力を融資審査でストレスチェックを行う時の金利です。

審査金利は銀行によって異なり、実際の借り入れ金利+〇%で計算する銀行もあれば、一律〇%適用とする銀行もあります。大規模緩和前には6%程度に設定していた銀行が多かったのですが、現在は3~4%に設定しているところが多いようです。

長期金利が上がることで( 短期金利が上がらずとも )、長期の貸付期間の不動産融資の審査を行う際、実際の貸出金利が短期金利変動型でも、長期金利上昇に合わせて審査金利を上げる可能性があります。

審査金利が上がれば、利払い負担が増えるので、元金返済能力が低下し、融資可能金額が減少します。短期金利変動型の借り入れで実際の利払い額は変わらなくても、同じ物件を取得するには自己資金を多く投入するか、売買価格を下げてもらう必要がでてきます。

今年は、まだ審査金利を上げる銀行は少ないと思いますが、日銀の動向次第では来年あたりから影響がでてくる可能性はあります。

バブル崩壊の時やリーマンショックの時のように融資が厳しくなると不動産価格が下がり、お買い得な物件がでてきます。その時に物件を取得できる方は自己資金を多く持っているか自己資本比率が高い人たちです。

近々、買い場が来るかは分かりませんが、そういうロジックもあるということを頭の片隅に置いて、投資判断をしていただければと思います。
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

岡元公夫さん

岡元公夫さんおかもときみお

亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □2004年
    実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

    □2008年2月
    不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

    □2009年10月
    不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

    □2011年
    東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。
不動産投資歴
  • □築44年RCマンション
    1LDK×4戸、2K×8戸

    □築28年RCマンション
    1R×10戸

    □築21年鉄骨マンション
    2LDK×6戸、2DK×6戸

    □築14年木造アパート
    1R×5戸、2DK×2戸

    □登記上築60年 木造戸建(実態は新築同様)
    2LDK×1戸

    □木造戸建てリノベシェアハウス
    2棟×10室

    □区分所有マンション
    2LDK×1戸

    □駐車場12台
    バイクガレージ26台

    □再開発予定木造戸建
    3棟
保有資格

宅地建物取引主任者
ファイナンシャルプランナー
その他生損保等金融関連諸々
税理士試験科目合格
(簿・財・相・固)

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