都心の新築分譲マンションの管理費+修繕積立金が2017 年から2022 年までの5 年で大幅に上昇している。区分マンションへ投資を行う投資家にとって、管理費や修繕費の値上がりは見逃せない。
そこで、本調査を行った、総合不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)や管理組合向けコンサルを行うさくら事務所のマンション管理コンサルタントである土屋氏を取材した。管理費+修繕積立金の値上げの背景とその対策について聞いた。

都心9エリア、大手7社の分譲時のマンション管理費と
修繕積立金を調査。平均10%増
さくら事務所では都心部9 エリア(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区・目黒区・品川区・世田谷区・江東区)での大手7社(三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス・野村不動産・東急不動産・大京・東京建物・住友不動産)の分譲時のマンション管理費と修繕積??の平均を調査した。調査により、以下の傾向があることが分かった。
・都心部分譲数が多いデベロッパーが管理費の設定が高い傾向
・築年数別では、管理費は2017 年→2022 年の5 年間で10%以上上昇している
・修繕積立金も2021 年以降は増額傾向にある
・新築分譲マンション数の減少に伴い、2019 年以降都心の分譲も大幅減

マンション管理コンサルタントの土屋氏によると、値上げの背景には、さまざまな理由やタイミングがあるものの、ここ数年は高値安定が続いていたと振り返る。
「修繕費用が猛烈に値上がりしたのは2013年の秋のこと。2014年に消費税が増税されるということで、2013年の9月までに契約すれば消費税5%で済むことから、数多くの管理組合が契約を急ぎました。足場材などが25〜30%ぐらい値上がりし、そこから高値安定していました」
新築分譲マンションの計画は数年かけて行われるため、管理費や修繕積立金の値上げが反映されるのは数年後などタイムラグが発生する。特に2020 年以降は建設資材の高騰や慢性的な人手不足により、マンション価格高騰と合わせ、管理費も修繕積立金も上がり続けている。
2022年4月には国の新制度となる「マンション管理計画認定制度」と、一般社団法人マンション管理業協会による「マンション管理適正評価制度」がスタートし、マンション管理の重要性が改めて見直されるなどのマンション管理を取り巻く環境が変わってきたことも値上げの背景にある。
「マンション管理の世界が見直され、長期修繕計画を正確に作る方向性になってきたことも修繕積立金の上昇の背景に挙げられます。国土交通省のマンション管理に関するデータを見ても、母数が増えており、管理に対する意識の高まりが伺えます。調査データは母数が増えれば増えるほどデータの信ぴょう性が上がります」
一方、管理費の値上げについては、2015年頃から、じわじわとマンションの清掃スタッフや管理人の人不足が問題になってきていることが影響していると土屋氏は考えている。
「多くの企業で、65歳以上も同じ会社で継続して働くことができるよう、雇用の延長を政府が推し進めるようになりました。これまで管理人や清掃スタッフの担い手として活躍していた退職後のシニア層が少なくなり、管理会社も時給を上げるなど対策を講じているものの、管理人不足に苦慮している会社が少なくありません」
管理費や修繕積立金を下げることはできる?
投資家が覚えておくべきことは?
管理費や修繕積立金の上昇を食い止めるために、何かできることはあるのだろうか?
「管理会社を乗り換えることを、『リプレイス』と業界ではいいます。管理会社を、大きな会社から小さな会社に変えれば、値下げ効果があるかもしれません。ただ、値上げに応じない会社に三下り半を突き付けるのは考え物です。
リーマンショック後の2008年頃は、管理会社は引く手あまたでした。それが2017年頃から状況が一変し、前述したように管理の担い手不足から、管理費を安くして管理を請け負うことはできないと考える管理会社が増えているのです」
投資用マンションであれ、居住用マンションであれ、管理費も修繕積立金も、コストダウンをはかるよりも、「必要経費」としてしっかりお金をかけるべきところにかけないと、あとあと、痛い目を見ることにもなりかねないと土屋氏は指摘する。
「リーマンショックの頃、管理会社が値上げしてきたら、管理会社をコンペで競わせて別の会社に依頼するようなケースがありましたが、今は状況が変わってきています。そういう道を選ぶと、管理の引受先を見つけることができず止むを得ず自主管理になる可能性もあり、1度自主管理になると、その後、管理を引き受ける会社が見つからないケースもあります」
さらに投資用マンションの場合、注意すべき点があるという。
「マンションの管理を理事会が運営しているのが一般的ですが、管理会社が理事長の役割になって運営している場合もあります。
こうしたことを気にせずに購入している投資家さんが多いので、この点に注意が必要です。理事会が担っている場合、投資用マンションは居住用と違い、所有者が全国各地に散らばっていることが多く、理事会が定期的に開かれないケースも多く管理不全になっていることがあります。
また、管理会社が理事長の役割を担っている場合には管理組合の監査が不十分な場合、無駄な工事や割高な工事が発注されているケースがあります」
管理費や修繕積立金の金額だけを見ていても妥当性を確認することはできない。修繕積立金の残高と徴収額、長期修繕計画を見ながら、その修繕計画を行うのに十分な金額なのかをどうかを見極めなければならない。
なお、今後も管理のコストがどんどん上がる可能性が高いという。管理の担い手不足を補うために、AIによる管理人や、ルンバのようなお掃除ロボットの導入などが今後増えていくのではないかと土屋氏は考えている。
なお、購入するマンションの管理費や修繕積立金が適正かどうか、また値下げが可能かどうか、第三者の視点で、調べるサービスをさくら事務所で行っている。購入後に、管理費や修繕積立金に納得ができないと思うようなことがないよう、このようなサービスを活用するのも1つの手段であるといえそうだ。
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