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デジタル技術で不動産を金融商品に。STO市場は将来2.5兆円規模へ

不動産投資全般/Jリート・小口化商品 ニュース

2023/10/03 配信

ケネディクスリリースより
国内最大規模の不動産セキュリティ・トークンの裏付け資産となった「月島リバーシティ21イーストタワーズⅡ」(ケネディクスのニュースリリースより)

新型コロナウイルスによるパンデミック下で日本はデジタル化で世界に遅れをとっていることに気づかされ、国はデジタル化への対応を急いでいる。そのデジタル化の波は不動産投資の世界にも波及してきた。

不動産投資では、現物資産に投資するほか、J-REITなどの小口化商品が一般的だ。J-REITは機関投資家や個人投資家から集めた資金をもとにオフィスビルや賃貸住宅、商業施設などを購入して運用し、その賃料収入と物件の売却益などが分配金の配当原資となる。分配金のみならず、投資法人の投資口価格(株価)が上昇すれば、その投資口(株式)を売ることで売却益も手にできる。

不動産特定共同事業法に基づく小口化商品では、2015年の相続増税を機に急速に広がっており、出資者は出資額に応じて共有持ち分を取得する。賃貸マンションや商業用不動産を運用するもので、投資単位が1口100万円などから可能とする。

任意組合型の運用商品は、富裕層などアッパー層ではなく、ミドル層が相続対策として使いやすいと広がりを見せている。

今年8月には都心タワマンで発行総額134億円

こうした商品に加えて、最近は「不動産STO」と呼ばれる投資商品が登場している。不動産STO。このSTOはセキュリティ・トークン・オファリングの略で、ブロックチェーン(取引履歴を残す分散型台帳)に代表されるデジタル技術を使って不動産資産を裏付けに発行・管理する金融商品(デジタル有価証券)だ。2020年5月に改正金融商品取引法が施行され、発行・流通させることが可能となった。

不動産STOの特徴としては、ポートフォリオに投資するJ-REITと違い、不特法の小口化商品のように個別の不動産に投資する。デジタル化により、取引や決済などの手続きを効率的に、かつ自動的にできることで、投資・運用にかかる費用を削減できたり、小規模な不動産での証券化でも投資効率を高められる。売買する投資単位も低く設定でき、それにより個人投資家が幅広く参加できる。

これらのメリットを踏まえて、今後、不動産STOが新たな不動産投資商品として普及するのかに注目が集まっている。J-REITは東京証券取引所で取引でき、不動産STは証券会社の店頭市場でやりとりできる。不動産STOも特定口座を利用することでST投資に関する納税手続きが簡素化することが可能だ。

不動産アセットマネジメントのケネディクスでは、不動産ST市場について2030年に不動産資産ベースで2.5兆円規模を見込んでおり、2021年8月に日本で初めて不動産を裏付けとした不動産セキュリティ・トークンを発行して公募で資金調達する不動産STOを実施した。

今年8月末までの2年間での不動産ST発行額は累計578億円となっている。同社では今年の8月には東京都心の大型タワーマンションを裏付けとして、国内で過去最大規模となる公募型不動産STを発行し運用を開始した。

同物件は、地下鉄の月島駅から徒歩8分にある総戸数642戸のタワマンだ。1口100万円で、発行総額は134億円となり、約10年間運用する。予想分配金利回りを年率3.47%と想定している。物件の鑑定評価額が300億円とされ、こうした大規模物件を小口で購入できる点が評価されているようだ。

STO最小投資単位が10万円も登場

不動産STOは、ケネディクスのほか三井物産や丸紅の総合商社、不動産会社のトーセイ、不動産アセットマネジメントのいちごも参入している。なかには、証券会社を介さずに自社でST販売のプラットフォームを立ち上げて直販モデルを導入しているケースもある。

STO向けの不動産は、レジデンスに限らず、都内の学生マンション、オフィス、ホテル、温泉地の宿泊施設、物流施設など幅広い。いちごでは、住宅に特化して投資単位50万円で販売し、三井物産デジタル・アセットマネジメントでは、レジデンスを中心にホテルや物流施設などを対象に実施し、直近の投資単位は10万円と個人が参入しやすい価格設定で募ったりする。

不動産ST流通市場の拡大に向けての課題として、ケネディクスでは個別のST商品の売買価格や出来高がタイムリーに確認できりたり、共通の適時情報開示ルールなどが整備され、きちんと運用されるかなどを挙げている。

どのような投資市場でも同じだが、市場の利便性向上と透明性、リスク面の情報開示が適切に行われるかが重要になってくるのは間違いなさそうだ。不動産STOは馴染みのない商品であり、仕組みが分かりにくいと感じている個人投資家がまだ多いだけに提供側としては丁寧な説明も求められている。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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