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2022年上半期に起きた都内新築RC投資と建築トラブル

鉄筋たてたろうさん_画像 鉄筋たてたろうさん 第17話 著者のプロフィールを見る

2022/8/1 掲載

こんにちは。鉄筋たてたろうです。少し間が空いてしまい申し訳ありません。2022年もあっという間に後半ですね。

今年最初に「 2022年の都内新築RC投資はどうなるのか? 」というコラムを投稿したのですが、その途中経過と厳しい現在の状況についてお話します。以下の話は全て都内・新築RC投資を前提とします。

参照:2022年の都内新築RC投資はどうなるのか?

■ 新築投資の表面利回りの推移

2021年の年末のタイミングでは「 土地先行決済、建物は建築会社と直接の請負契約を結ぶ 」という場合の表面利回りのイメージが6.1%~6.3%での成約となっていましたが、現在時点では同様のスキームでは5%後半~6.0%での成約イメージとなっています。

要因は土地値の上昇というよりは、建築費にあります。年初のコラムではRCマンションの建築費に大幅な上昇はないと言っていましたが、この半年での建築費が激しく上昇しています。

表面利回り6%は金利1.5%、返済年数30年、元利均等でフルローンの返済比率が7割程度となる水準なので、返済に余裕があると言えるギリギリのラインかなと思います。

( もっとも、投資家では自己資金を入れられるか、またはかなり低い金利で融資が受けられる人でないと購入できていないというのが実情ですが )

また、プロの不動産業者がこぞって、これまで買っていなかった20~40坪ぐらいの土地を狙っています。彼らは当然最初からキャピタルゲイン狙いできていますので、表面利回りは6%で十分です。

融資特約もつけませんし、すばやくたくさん建てることを意識しているため、決済時期も早めたがります。これでは個人投資家は条件面で太刀打ちすることはできません。

僕も自社で建てる土地は表面利回り6%の目線で探していますので、仮にそれ以上の表面利回りの出る土地が表に出れば瞬間蒸発します。

これまでは個人投資家が戦えていたフィールドに次々にプロが現れているので、現時点で土地から新築投資に挑むには「 プロと対等に戦う武器 」を持つ必要があります。

新規参入するには正直厳しい状況かと思いますが、円安・インフレの状況下で待っていても価格が下がる気配は無さそうです。少なくとも利回り目線を下げてでも投資する価値があるかを再検討する必要があると思います。

■ 投資の過熱感が生む悪影響は具体化しつつある

年初のコラムでは都内新築RC投資への過熱感が生み出す悪影響として、次の事をあげました。

・無責任な企画での土地販売をする不動産業者が増える
・建築会社の当初の見積りが甘くなる
・一般の投資家が十分な資力もないのに融資特約を付けず土地を買う

これらのことでトラブルが生じると予想していましたが、2022年上半期にはすでに頻発していると言えるでしょう。

実際に、買った土地に計画したプランが入らない、建築費の追加請求が際限なく来る、土地購入後に計画が大幅変更となり建物の融資が止まる、などのトラブルは多く聞きます。

業者の立場から新築投資を見れば、不動産業者や建築会社はこのようなトラブルを起こしてでも利益を取りに行きたいという動機が十分にあります。

僕は不動産業者でもあるので、このような状況は十分予測できていましたが、投資はあくまで自己責任ですので、コラムを通じて警告をするしかありませんでした。それにしても、まだ顕在化していないトラブルも含めて、本当に多いです。

■ 一番まずいのは、建築会社の倒産

トラブルの中で一番最悪の事態が、新築途中に建築会社の倒産に巻き込まれることです。建築会社が倒産すると、すでに支払い済みの資金はほぼ返ってきませんし、工事も当然それ以上進みません。

工事途中の現場を引き受ける建築会社はほとんどありません。例えあったとしても、とんでもなく高額であることがほとんどですし、引受先を見つけるまでに長い年月を要します。引受先が見つかるころには、金融機関に見放されてしまいかねません。

ほかの人が使っている建築会社だからと言って、全く安心してはいけません。投資はあくまで自己責任です。ご自身で建築会社に感じる違和感は必ず払拭してから契約や支払いをしましょう。

支払い条件や契約内容も必ずしも建築会社の提示のものに従う必要はありません。建築費の安さにこだわりすぎて、ほかの建築会社の選択肢がないというのはとても危険です。なぜ他社より安いのかを冷静に分析してください。

また、すでに建築がスタートしている場合でも、途中でおかしいなと感じたことに対しては、納得できるまで協議をしましょう。すでに契約している場合、契約解除は容易ではありませんが、それでも倒産されるよりははるかに損失は少なくて済みます。

■ 僕の建築での失敗と教訓

僕も自らの投資案件で過去に建築会社に関連して2回大失敗しています。いずれも数千万円単位の損失を出しました。

1回目の失敗は、地方の人気観光地で高利回りの店舗ビルを建てる企画でしたが、建築会社の建築の能力が著しく低く、また代表者が資金流用して資金が回らず建築がストップしてしまいました。

契約解除を求めて協議しましたが不調に終わり、結果、裁判になりました。最終的に2年かけて契約解除はできましたが、払い済みの着工金は2割程度しか戻ってきませんでした。

2回目の失敗は、関東での土地から新築RC建築案件でした。建築条件等はなかったので、自分で建築会社を選定しました。選定にあたって、調査会社の報告書を入手したり、事務所に行って経営状況や実績をヒアリングしたりしましたが、正直言って何も確かなことはわかりませんでした。

結局安さに目が眩んで、その建築会社と契約してしまいましたが、結果的にその建築会社は全く資金繰りが回っておらず、着工からしばらくして工事がストップし、連絡がとれなくなってしまいました。

その後、建築会社を紹介してくれた方がサポートしてくれて、引継ぎ先の建築会社を見つけることができましたが、工事は1年以上遅れた上、数千万円単位の追加工事費が発生することになりました。

2回の失敗に共通して言えることは、いずれも甘い考えで建築会社を選んでいること、そして、事前に怪しいと感じたタイミングがあったということです。

契約を締結する前に引き返せていれば数千万円単位の損失は避けられていましたし、怪しいと感じたタイミングでより積極的に調査や協議を行っていれば、ダメージは最小限に抑えられていたと思います。

不動産投資において「 損切り 」をするタイミングはそう多くないと思います。普通はキャッシュフローがプラスになる投資をしていると思いますし、損をしてまで売却する機会も多くないと思います。

ただ、新築に関しては「 損切り 」をする覚悟も必要です。損をすることは誰もが避けたいと思いますが、現実から目を背けてはいけません。再起不可能なほど金銭的・時間的損失をする前に決断する必要があります。

■ 2022年下半期をどう行動するか

都内新築RC投資ではこのような建築会社にまつわるトラブルの他、多数のトラブルが顕在化しつつあります。これからさらに問題は大きくなっていくと思います。

これから投資をする方も、すでに着手している方も、楽観的な考えを捨てて、ご自身の身にトラブルが降りかからないように勇気をもって行動する必要があります。

もちろん僕自身も都内新築RC投資の魅力を伝えてきた立場から、このような状況を変えたいと強く願っていますので、変えられるように努力していきたいと思います。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

鉄筋たてたろうさん

鉄筋たてたろうさんてっきんたてたろう

不動産投資家
起業家

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経歴
  • □1985年
    福岡県生まれ

    □2004年
    上京、東京大学理科二類入学
    在学中に勉強をして経済系の資格を取得

    □2008年
    就職

    □2012年(27歳)
    独立・起業
    仕事を通じて不動産投資に出会う
    1,2億円の中古マンションを購入(1棟目)

    □2013年(28歳)
    富山に中古マンションを購入
    千葉に木造アパートを新築

    □2014年(29歳)
    千葉に鉄骨マンションを新築

    □2015年(30歳)
    東京23区の土地から新築RC投資へシフト
    以後、都内のRC物件を中心に規模を拡大

    □2021年(36歳)
    本業の他に不動産関連の会社を数社経営
    社員70名、合計年商35億

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