コストパフォーマンスを狙うなら
「照明」を工夫しよう。
築古賃貸物件の改修アイディアを軸に、空室対策や不動産活用を実現していくためのプラットフォーム「モクチンレシピ」。
「少しの予算と工夫で、たくさんの魅力を」を合言葉に、会員に向けてコストパフォーマンスの高いレシピを提供している。
本連載は、そのモクチンレシピの改修・リフォームのアイディアをもとにした『不動産投資家のDIY&リノべ講座』である。
VOL.5となる今回は、築古物件の魅力を引き出すための「照明の効果的な選び方・使い方」を紹介する。
照明リフォームの基本であり王道
ライティングレールを効果的に使おう。
モクチンレシピを展開するNPO法人CHAr代表の連勇太朗(むらじ・ゆうたろう)さんは「総論的に言えば、内装の細かなところで頑張るよりも、照明を変えたほうが部屋の印象が変わります。
多くの方も実践している基本的なことですが、ライティングレールの活用はかなりオススメです」と話す。
ライティングレールなら、入居者が自分の好みの照明を取り付けられる。明かりを足したり、引いたりできるところも良い。
天井がスッキリするのも利点だ。蛍光灯を吊るしたり、シーリングライトをつけたりすると、どうしても照明が主張しすぎてしまう。
ただし、DIYでやれるのはシーリングに引っ掛けられるタイプのライティングレールのみ。その場合は、レールの長さや場所の制限が出てくる。
予算にもよるが、電気工事を依頼したほうが、バリューアップにつながりそうだ。
なお、モクチンレシピのYouTubeチャンネルでも「賃貸物件のお手軽リフォーム「ライティング+照明術」徹底解説:築古の空室対策リフォームのコツ」として解説しているので興味がある人はぜひみてほしい。
暖色系のライトは
築古の和室との相性もGOOD。
和室にライティングレールは合わないと感じる人もいるかもしれないが、そんなことはない。
ライトを電球色にすれば、趣のある和カフェのような空間になる。光量や光色を上手に選べば、空間づくりに貢献してくれる。
「入居者の好みにもよりますが、僕たちが築古物件の明かりを選ぶときは暖色系にしています。多くの賃貸住宅が蛍光色だから、差別化にもつながります」と連さんは補足する。
照明の色の選び方については、モクチンレシピのYouTubeチャンネルでも「賃貸物件のライティング術、器具や電球の選び方、色はどうする!?:築古の空室対策リフォームのコツ」というテーマで解説している。
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改修費の目安
<内訳>
・レール2m:3,000円
・スポットライト:6,500円 × 3 = 19,500円
・電気工事:10,000円(シーリングに直接引っ掛けるタイプの場合は不要)
<合計>
32,500円
注意事項
*これに加え消費税と工務店経費(8%~15%)が加算される。工務店経費は工事の規模、工務店によって異なる。
*工事見積もりの計算方法は工務店、改修内容、物件の状況によって変わるため、必ずしも記載している計算式・改修費通りになるわけではない。あくまで改修計画を立てるための参考値として活用してほしい。
*本見積もりは工務店に発注した場合の工事費の目安。DIYの場合は、大工手間や工務店経費がかからないので、時間や手間はかかるものの、より安い費用で改修することが可能。
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階段にライトをつけて
物件の表情を明るくしよう。
続いて鉄骨階段の照明レシピ「おかえり階段ライト」を紹介しよう。
建物のつくりによっては暗くなりがちな鉄骨階段部分。全く明かりがないと足元が見えにくく、防犯の観点でも不安要素となる。
何より、帰ってきたときに明かりがあるだけで入居者はホッとするはず。入居希望者に物件を案内する上でも、わかりやすいPRポイントになる。
照明と合わせてポストの位置や、階段など外構の要素を関連させるとより効果的になるので、外構リフォームと同時に検討すると良いだろう。
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改修費の目安
取付照明3つの場合
〈内訳〉
器具本体:8,000 x 3 = 24,000円
配線部材:25,000円
電気工事、取付費: 30,000円
高所作業費:35,000円
〈合計〉
114,000円
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暗くなりがちなお風呂を
大きな照明で明るく清潔に。
照明を変えるだけで印象を大きく変えられる場所としては、お風呂場もある。
せっかくクリーニングをしたのに、照明は暗いままというパターンが非常に多い。
大きな照明をつけることで、お風呂場が明るく、清潔感のある空間になる。レシピ名は「あかるい風呂灯り」である。
大きな鏡もあわせて取り付けると、明るさと広さを感じられる空間になるため、より効果的である。
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改修費の目安
¥20,000 / (箇所)
改修費の内訳
器具1箇所設置の場合
<内訳>
・器具本体:15,000円
・電気工事、取付費:10,000円
<合計>
25,000円
参考:鏡の費用
<内訳>
・鏡、本体:27,000円
・取付費:10,000円
<合計>
37,000円
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部屋全体を照らす蛍光灯は
必ずしも必要ではない。
最後に、裏技として、DIYで簡単に明かりをプラスする方法をご紹介する。
スポット的に明かりを追加したい場合には、市販のアームライトを壁に取り付けると便利だ。
アームライトは3000円程度で手に入るため、コンセントから電源が確保できるところで使えば、非常にコストパフォーマンスが高い。
「有名な建築家の作品でも、効果的にアームライトが使われています。天井をスッキリと見せたいから、天井にできるだけ照明をつけたくないのです。
また、ヨーロッパ圏では、部屋全体というより局所的にスポットライトやインテリアライトを使って、自分好みの空間にする考え方が広まっています。
一方で日本の家は照度の高い蛍光灯が使われがちで、『明るすぎる』という見方もあるんですよ」と連さんは解説する。
照明の使い方に
メリハリをつけよう。
築古物件の素材の味わいを活かすという意味でも、蛍光灯で均質的に照らすより、局所的に照らしてあげたほうが、わびさびを感じられる空間になりそうだ。
鉄骨階段やお風呂場など暗くなりがちなところでは照明を追加し、居室では照明の使い方にメリハリをつける。これが築古物件の照明リフォームの最適解と言えるかもしれない。
さて、照明をテーマにしたリフォームの話はここまで。モクチンレシピのコンセプトに基づき「不動産投資家のDIY&リノべ講座」を展開している本企画、次回以降も実際の改修現場のレポートなども含めて改修・リフォームの事例を紹介していく。
興味がある人はぜひ、これまでに紹介した記事もあわせて読んでみてほしい。
VOL.1 築古物件の差別化戦略
VOL.2 押入れの改修・リフォーム
VOL.3 300円でできるカラーリング
VOL.4 遊び心のある外構リフォーム (前編)
押入れの高コスパ内装リフォーム(後編)
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健美家編集部(協力:外山武史(とやまたけし))
■ 主な経歴
SUKETTO合同会社代表
2009年からフリーランスで広告制作・編集執筆を行い、2020年に法人化しSUKETTO合同会社設立。
1年間にインタビューする人数は100名以上。経営者や不動産投資家をはじめ、会社員や美容師、農業関係者など多種多様な人の声を聞くことをライフワークとしている。
不動産関連では足立区や川口市をテリトリーとして、常に情報を集めている。
保有資格:宅地建物取引士。