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投資先マンションの管理組合理事長が不正、資産価値は下がる?~内外から迫る利益相反を見抜く

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2023/09/06 配信

マンションの管理組合に近年つきまとう課題として、理事の成り手不足や合意形成の難しさなどが取り上げられている。

同時に、多くの管理組合では共用部分の建物管理を管理会社に業務委託していることによって、区分所有者、管理組合、委託先、再委託先など、登場人物それぞれの組織的あるいは個人的な思惑が複雑に絡み合う構図が常に存在する。

今回、とある管理組合で発生した事例として、管理組合の代表にあたる立場の理事長による利益相反や、管理会社が盲点をついて行いがちな利益相反について取り上げる。

共用部分は管理組合の理事メンバーや管理会社に任せておけばまずは一安心、と考えていないだろうか?(写真はイメージ)
共用部分は管理組合の理事メンバーや管理会社に任せておけばまずは一安心、と考えていないだろうか?(写真はイメージ)

理事長の就任後すぐに発生していた管理会社のリプレースが伏線

Aさんは都内の区分マンションをオーナーチェンジで購入し、そのマンション管理組合の構成員となった。多くの分譲マンションにおいて、手がけたディベロッパーの系列会社が新築時から建物管理も請け負うというのはよくあるパターンだ。

だが、Aさんはこのマンションの管理会社が、本来であれば新築時から管理をするはずの系列会社ではないことに疑問を感じた。

「調べていくと、現在の理事長が就任した直後のタイミングで旧管理会社からのリプレースが発生していることが分かりました。従前の管理会社に対する評価の低さを理由として管理会社の切り替えが行われていましたが、なんとなく釈然としないものを感じました。」

管理費・修繕積立金の値上げ改定から足がついた利益相反

さらにそのすぐ後には、管理費と修繕積立金の値上げ改定に関する議案が総会で可決しているという。この経緯や背景を、議案の文面や他の区分所有者との情報交換から深堀りしていくと、状況証拠ながら、不自然な実態が浮かび上がってきたという。

「管理会社が起点となって管理費・修繕積立金の値上げ改定を画策し、理事長を抱き込んだうえでその議案として通させている動きのようでした。それだけでは一区分所有者として理事長の負担も増えるだけですが、その議案を通す見返りとして、管理会社から理事長に対しては賄賂代わりのキックバックが入っているようなのです。」

管理費と修繕積立金の値上げは、投資用区分マンションにおいて実質利回りの低下、すなわち資産価値の低下に直結する。ひいては売却時の値決めなど各オーナーの出口戦略にも重大な影響を及ぼすことになる。

その一方で管理会社は、管理組合の収入増に合わせるようにして管理委託費も値上げしていくことでそれを回収していく算段だ。各オーナーが拠出した管理費が、管理組合に実質的な価値をもたらさないまま吸い取られ、共用部分の価値を棄損しているとも言える。

上記の例は、理事・監事といった役員が管理組合の利益を犠牲にして、自己または第三者の利益を図った典型例だろう。(写真はイメージ)
上記の例は、理事・監事といった役員が管理組合の利益を犠牲にして、自己または第三者の利益を図った典型例だろう。(写真はイメージ)

大規模修繕こそ管理会社が”狙い目”とするイベント

そもそも管理会社の多くは、管理組合から基幹事務として「管理組合の会計・出納業務」ならびに「マンションの維持・修繕に関する企画・実施の調整」を請け負う。

つまり管理会社は、外注元である管理組合の懐具合を常に確認できる状態にあり、それを見ながら管理委託費の設定や大規模修繕の相談をもちかけることができるという特殊な立ち位置にある。

そしてAさんは、理事長を抱き込んだとされる今回の管理会社に関して、別の評判も耳にすることになる。

「物件購入時の不動産会社に相談したところ、大規模修繕の費用に関しても、『その管理会社がアレンジした大規模修繕の費用が高額だったという話をほかの管理組合からも聞いた』という情報を得ました。」

管理組合が修繕積立金の残高を知られた状態で、大規模修繕の検討を管理会社に丸投げして元請けさせるのは、管理会社の思うツボだ。工事への関心が低く、かつ費用の相場を知らない管理組合を前に「修繕積立金の残高に近い工事金額を見積もってくる」可能性が高い。

元請けとして一定額以上の金額で管理組合から受注することで、下請け先や再委託先を叩いて自分たちの利幅をより得やすくなるからだ。

ただでさえ修繕積立金の慢性的な不足に悩む管理組合は少なくない。大規模修繕時の支出適正化はインパクトが大きい。(写真はイメージ)
ただでさえ修繕積立金の慢性的な不足に悩む管理組合は少なくない。大規模修繕時の支出適正化はインパクトが大きい。(写真はイメージ)

肝心なのは区分所有者のチェック意識と他人任せにしない意識

理事・監事の職務は持ち回りで1年毎に交代するケースも多いが、立候補など意思表示で継続できるケースもある。今回取り上げたように不正が見出だされた理事長に解任を求める場合、理事会での決議事項にする必要がある。

が、理事会で過半数を得ようにも、投資用の区分マンションにおいては理事会メンバーが理事長本人しかいないことも珍しくない。解任させるには他の区分所有者を巻き込んで理事を複数揃えるなど、相当な手間と時間を要することになる。

また、管理会社は競争原理の働きにくい環境にあることを利用し、できるだけ自らの収益を最大化しようとするが、営利企業であればある意味それも当然とも言える。

管理会社をリプレースしたい場合、通常の委受託契約に盛り込まれている「~か月前に相手方に書面で通知」という解除条項のため、契約解除の通知や他社への見積依頼などを計画的に進める必要がある。

利益相反や不正防止のためにも、委託元である管理組合側の意識と視線が重要となる。ひいてはオーナー一人一人の参画意識とダブルチェック機能が抑止力となることは間違いないだろう。

執筆:三刀流大家(さんとうりゅうおおや)

三刀流大家

■ 主な経歴

健康関連業界で都内に勤務する現役サラリーマン。ヨーロッパ駐在を経て帰国したのち、副業テニスインストラクターとしても活動。兼業大家でもある”三刀流”ライター。
趣味・ライフワークは、読書、映画、献血、テニス、日記、ワイン、高カカオチョコ、コーヒー、モーツァルト、CHAGE&ASKA、キン肉マン。

北海道大学卒業。薬剤師免許、バイヤー向け資格CPP-A級(Certified Procurement Professional)保有。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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