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2023年から建物の建築・修繕中に倒産・逃げられる事態が続出! 業者の目利きに必要なチェック項目とは

不動産投資全般/社会問題・情勢 ニュース

2023/06/30 配信

「今年に入って、大規模修繕のために着手金を支払って、その後音信不通になってしまったことを相談されました。賃貸の大家さんだけで7人です」。こんな衝撃的な事実を話すのは、大規模修繕工事を手掛ける株式会社マツミ(大阪府茨木市)の宮脇美樹社長だ。マツミの施工実績は55年間で3万件以上、賃貸住宅のみの場合でも1万件以上に上る。

足場を組んで外壁塗装を行う大規模修繕
足場を組んで外壁塗装を行う大規模修繕

このような事態に陥っているのは、持続化給付金の返済がスタートした企業が多いためだという。新型コロナウイルス感染症拡大で大きな影響を受けている事業者に対し事業の継続を支える名目で受け取ることができた給付金だ。

返済が厳しい場合は金融機関での借り換え申請をする場合もあるが、審査が通らず人手も不足し八方塞がりになってしまった企業が存続できず途中で倒産してしまうのだという。

冒頭のような被害を受ける投資家は、単純に運が悪かったのか。宮脇社長は「すぐに売却するので修繕計画を立てず、不具合が出たら修理すればいいという運に頼るスタンスで賃貸経営を行い、結局突発的に発生した破損で想定外の金額が発生するために破格の金額を提示してきた業者に頼る。そうすると、財政的に厳しすぎて値段を下げて受注するしか手を打てなかった“危ない業者”に引っかかってしまう」と話す。

大規模修繕は、外壁・屋上防水・ベランダで10~15年、エレベーターで30~35年、配管で30年前後というスパンで修繕が必要になる。修繕計画を立てることで金融機関からの融資も受けやすくなり、キャッシュフローが確保できることを認識しておけば気持ちにも余裕が生まれやすい。また、自身が所有している間に不具合が出ないことを祈る賭けに出るのではなく、最初からキャッシュフロー計画の中に組み込んでいる投資家は余計なトラブルに遭いにくい。

投資家としては、金額が高い分、「ぼったくられたくない」という心理は働く。では、どのように選ぶのが正解なのか。

企業の規模感の把握と内部の様子を観察すること

宮脇社長が指摘するチェック項目は以下となる。

□設立年数の浅い企業に依頼する場合は特に慎重に
社内の状況が安定していない場合が多く、倒産する会社は新規の会社が多いという。

□担当者がコロコロ変わる企業は避ける
賃金未払いや社員を大事にしない職場環境で信頼関係の構築ができない企業が陥りがちで倒産の危険性が高い。

□見積もりの内容が雑な企業には発注しない
「工事一式」でトータルの金額を出してくる企業は即候補から外していいという。例えば外壁、屋上防水、ベランダの修繕はタイミングが同じため1015年に1度まとめて工事することがあるが、一式の中にベランダは考慮されていないといった場合がある。このように、詳細を記載していないことで「見積もりの一式の中に入っていない。やるなら追加料金を払ってください」と言われ、結局安くはならないといったパターンが大半だという。

□会社の規模によりサービス内容が変わることを踏まえる
レスポンスの速さやアフターサービスの手厚さを求めるなら、30人規模以上の修繕会社を選び、そこは我慢しても安く抑えたいと考えるなら10人未満の企業を選ぶということを踏まえる。その上で、それぞれ同じ規模感の企業に対し相見積もりを取るのがいい。規模の違う数社で見積もりを取れば小規模の会社の見積もりが安くなるのは当然だ。そこで、規模の違いに気付かなければそのまま”小規模の中では高額”なぼったくり企業の被害に遭う可能性もある。

間違った情報共有は命取り

不動産投資家同士で共有する情報の中には、間違っているものもある。実際にあったものとして、「施工会社を通すと中間マージンが多く取られるので、直接職人に修繕を頼むことでコストカットが可能」という話を信じたオーナーが、その方法で工事を行い2,3年後にトラブルに見舞われた。結局、コストカットをした意味がなかった。

宮脇社長は「職人が仕上げたあとの専門家による品質チェックができていないと、完璧な状態で仕上がっているかどうかはわからない」と指摘する。

コストを抑えた詰めの甘い大規模修繕でも「火災保険をかけているから大丈夫」と考えている投資家も中にはいるだろう。だが、その目論みも甘い。実際に地震の発生直後に保険金を請求したところ、修繕の甘さを保険会社に見破られ、経年劣化を理由に保険金を受け取ることができなかったケースもあるという。

マツミでは利用者が大規模修繕に関する正しい知識を身につけられるよう、実務経験が豊富な各分野のプロが中立的な立場で正しい情報を提供している。(サイト名:親兄弟メンバーズ)入会金や年会費は無料で、月4回のwebセミナーを配信。会員登録をすることで過去の動画を含め閲覧が可能になるそうだ。

騙されてお金がなくなるのと、入居者のためにお金をかけて手残りが減るのとでは全く意味が違う。目先のコストをかけないことにばかり注力してはいけないのが不動産賃貸オーナーの任務だ。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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