祖母がアパート経営をしていたことから不動産投資に興味を持った「街歩き大家 ク〜」さん。子育てに励む傍ら、不動産会社でのパート勤務を経験。宅建や電気工事士の資格を取得し、「へそくり」で購入できそうな築古の戸建に的を絞り、不動産投資を始めた。
これまでに4戸購入しているが、130軒以上は現地調査に赴くなどリサーチに余念がない。パート収入を超える家賃収入を得るまでの体験談を聞いた。


融資は利用せず、「へそくり」で買える程度に。
目指すは、パート収入ほどの家賃収入!
クーさんが不動産投資を始めたきっかけは、2児の母として、できるだけ子供との時間を大切にしたいと思っていたことがベースにある。節約し、不動産会社でパート勤務をするなどして、「へそくり」を貯めつつ、不動産の知識を身に着けていった。
「パート先の不動産会社では管理物件の掃除のほかに、ちょっとした修理やパーツの交換なども任されました。ホームセンターで部品を購入して、ドアスコープの交換などをしたこともあります」
その後、宅建士や電気工事士の資格を取得。不動産投資に関する書籍を100冊は読んだ。数ある投資術の中から無理なく真似できそうに感じたのが、「へそくり」で買えそうな築古戸建投資術だった。
クロス貼りの体験会などに参加するなかで、先輩大家さんとの交流も増え、リフォームの手伝いをするなどの経験も積んだ。そうして手に入れた4戸は以下の通り。なかでも冒頭の写真の3戸目は利回り27%である。
【ク〜さんの所有物件】 平均利回りは18%
●1戸目 購入額450万 リフォーム費50万円 家賃 5.9万 利回り14%
●2戸目 購入額350万 オーナーチェンジ 家賃 5万 利回り17%
●3戸目 購入額200万 リフォーム費63万円 家賃 6万円 利回り27%
●4戸目 購入額230万 現在片付け中
振り返ってみると、1戸目が一番苦戦をした。
「1戸目を買うまでに1年。リフォームして入居が決まるまでにさらに1年かかりました。インターネットで戸建ての情報を得て、想定家賃やリフォーム費用を計算し、戸建ての取得価格を割出し、価格交渉しますが、折合いが付かないことが多いですね」
まずは物件とリフォームの費を合わせて500万円以下、自宅から車で1時間以内を条件に探した。不動産会社から紹介されたことを機に、1戸目を埼玉県の鴻巣市で購入する。
「鴻巣市には素敵なホールがあり、駅前が整備されていて印象がよかったのです。物件は築38年、駅徒歩20分、580万の売値に対して指値をして450万で購入しました。リフォームは、DIYでできることは自分でして、階段の天井やバルコニーの補修など大工さんに依頼しました」

次は客付けである。最寄り駅近くの4軒と、隣の駅、その隣の駅の仲介業者など10軒は回った。チラシを作って近所に配ったり、大家自ら入居者を募集できる「ウチコミ」に登録するなど手を尽くした。
「最終的にこの物件を売ってくれた不動産屋が入居者を決めてくれました。インターネット広告に強い会社で、ネット経由で家賃を3000円下げたタイミングで決まりました」
この一連の流れをまた繰り返すのかと思うと、なかなか次を買うことができず、2軒目を買うまでに3年の月日が流れた。そんなとき、築古戸建投資の大家さんの中でも、市街化調整区域で物件を安く買ったケースや、ただで物件を仕入れた人の話を聞いたことで、刺激を受け、再び物件を探し出す。すると先輩大家さんが購入を見送ったオーナーチェンジの物件の話が転がってきた。
「売値350円で利回り17%でした。オーナーチェンジの際の注意事項を先輩大家さんに聞いて、入居者が保証会社や火災保険に入っているかどうか確認すると、どちらも入っておらず、入っていただくなど対応しました」
その後も物件を探し続け、3戸目は400万円で売りに出ていた物件に、指値をして200万で購入。相続放棄された物件だった。クロス、床貼り、キッチンの交換や、キッチンパネル貼りなどDIYでやってみることで利回りを上げた。

愚直に、本に書いてあることを試しながら、
自分に向いている手法を見つける
今年に入って埼玉県川越市で、築47年で5年空き家になっていた物件を購入した。今まさに残置物の片付けを行っているところだ。
1戸目を購入した2016年2月から6年が経つ。現金で購入して、できる限りDIYで再生するため、時間がかかるものの、売上ベースで目指していたパート収入を超えるほどになった。
最後に、戸建投資をこれから始めるに人に、アドバイスするとしたら?
「本に書いてあることを愚直に、馬鹿正直にやってみると、どんな投資術が自分に合っているのか分かってきます。私のやり方は、手間もかかるし、しんどくて、若い頃ではとてもメンタルが持たなかったと思いますが、DIYなどうまくできると楽しいですよ」。
健美家編集部(協力:高橋洋子)