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不動産競売、今後1年間はプロ事業者が席巻する市場に。競売物件数の減少は来年以降も続く

不動産投資全般/市況 ニュース

2023/09/05 配信

バンコク1

新型コロナウイルス拡大の3年あまりで社会経済の二極化がいっそう拡大している。

実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資により事業を継続してきたものの、その返済が本格化の局面を迎えているほか、資源価格の高騰を受けて電気代やガス代などの光熱費も上がり、賃上げ要望が強まる中で人件費も上がる。コロナ禍を乗り切れなかった企業が続出し、今後、倒産が増加するとみられている。

この倒産の増加で不良債権化した不動産が増加するのではないか。個人の不動産投資家の中には、そう感じて投資のチャンスだとみる人もいるかもしれない。差し押さえられた不動産が競売市場に流れ込むとの見方からだ。

倒産ニュース増も競売数は少ない

だが、実際のところは、不動産競売の件数は減少傾向が続いているようだ。

東京地裁本庁の開札状況を見ると、2023年上期(1~6月)の物件数は257件となり、2022年の上期よりも108件少なく、それに伴い落札物件数も前年上期の363件から256件と減らしている。

総入札件数は3033件(前年同期4976件)だった。しかし、2023年上期の落札率は99.61%と前年同期比で0.16ポイント上昇している。競売参加者の意欲の高さがうかがえる。

落札物件256件の1物件当たりの落札平均価格は約3655万円。種別では「マンション」が約76%と最も多く、「土地付き建物」(約14%)、「土地」(2.34%)、「借地権付き戸建て住宅等」(約7%)が続いている。

マンションは人気で、競売で落札された価格が一般の中古マンション市場で流通する価格を上回ることも珍しくない状況だ。競売市場の参加者はほぼ不動産事業者とみられる。いわゆる買い取り再販事業者である。競売市場で仕入れた物件をリフォーム・リノベーションして販売するものだ。

マンションの価格相場が高い東京23区。今年上半期を見ると、マンションの落札物件が最も多いのが都区部でも比較的割安とされる足立区の28件となっており、次に板橋区が17件で多かった。

このほか品川区、大田区、世田谷区、江東区、豊島区、墨田区、練馬区で二桁の落札件数があった。東京都心部を除き、城北、城東、城西、城南で広く不良債権と化した物件が存在していることが分かる。

ただ、売却基準価格への上乗せ率では、今年の上期は約44%と前年同期の約53%よりも低くなった。物件価格が高すぎるとの判断から競売を諦めた、という事業者の声も聞かれる。

少々高くても落札する事業者

今後の見方について、不動産競売マーケットを分析する株式会社ワイズ不動産投資顧問(東京都千代田区)では、2023年通年での差し押さえ件数は前年の1000件を下回るとみており、引き続き減少傾向が続くと読む。

こうた競売物件数の減少傾向は、東京のみならず全国的な傾向のようだ。大阪府、愛知県、福岡県の本庁支部合計の競落物件数は、2022年通年を見ると、大阪が641件(前年比約41%減)、愛知県が413件(同約6%減)、福岡が369件(同約23%減)である。

これらも東京と同様にゼロゼロ融資による支援策により、延命された企業が多く不良債権化が進まなかったためだ。とはいえ、今年になって倒産増加のニュースが目立つ中でも競売件数が減少傾向をたどるのはどうしてなのか。

これは、買い取り再販事業者が主戦場とする中古流通市場が底堅い動きを見せていることで、競売市場で少々高値の仕入れでも流通市場ではけていることを示している。つまり、仕入れた競売物件が在庫として積み上がることなく順調に販売できているのだ。

バブル経済崩壊後の1990年代は不良債権化した物件が二束三文で叩き売られていたが、そのような状況にはない。昔のように個人投資家が参入する余地は少なく、プロの不動産事業者がひしめいている。

足元では、競売件数は少ないものの、競落率はほぼ100%だ。ここで購入できるプレーヤーは限られてきているが、競売市場は活況だとも言える。

新宿歌舞伎町
新型コロナウイルス感染拡大では、飲食・サービス業が大きな打撃を受けた(写真はイメージ)

参入時期、個人投資家はまだ先

日本経済が悪化して企業業績や個人の収入に影響するような不況に陥らない限り、個人の不動産投資家が競売市場に参入して仕入れることは難しそうだ。新型コロナウイルス感染拡大では、全産業が打撃を受けたわけではなく、むしろ物流やスーパーなど好調に推移した産業さえある。

不動産価格は都心ではバブル感が強まっているが、手元に豊富な資金を持つ企業やファンド勢などの待機資金も待っている。

日銀が金融政策を一部修正するなどで利上げ観測がじわりと高まるものの、当面は低金利環境が続く見通しで、急激な利上げは見通しづらいとされる。少なくとも今後1年間は、競売物件の数は減り続ける見通しであり、もし個人の不動産投資家が競売参入を考えるのならば来年後半以降まで待ったほうがよさそうではある。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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