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住宅・不動産業界を直撃する人口減少時代、賃貸住宅市場が消滅することはない。

不動産投資全般/市況 ニュース

2024/02/06 配信

成熟経済とともに人口・世帯数の減少が加速する。どこの業界・産業も直撃を受けるが、住宅市場全体を俯瞰してみると、国も住宅・不動産業界も中長期にわたった新築供給計画がなくて、目先の利益を追求する近視眼的な対応しかしてこなかった。このしっぺ返しがこれから始まる。

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国立社会保障・人口問題研究所は、2020年の国勢調査の結果をもとに人口の推移を推計したところ、2050年には日本の人口が1億400万人余りとなり、東京を除くすべてで2020年より人口が減ると公表している。6割の自治体で30%以上も人口が減少する。2065年は日本の人口は8800万人とも予測している。

この人口問題は、すでに1980年代後半には健在化して社会問題の多くは国会でも取り上げられてきた。長期的に人口が減少することも分かっていたし、年金をはじめとする社会保障が厳しくなることも予測れていた。しかしながら、住宅・不動産業界を振り返ると1980年代後半には、バブルに踊り狂っている状態で、本来なら一緒に論じられるべき問題なのに放置されてしまった。その後はバブル崩壊の後始末と、どう立て直すかで、あれよ、あれよと20年、30年が経過してしまった。

新規の住宅を供給するサイドから見れば、デベロッパーやゼネコン、工務店といった業界にとっては考えたくないことだが、人口動態を踏まえの供給計画が今後は必要になる。新築供給がメインの業界にしてみれば耳の痛い話ではあるが、もはや避けて通れない。

利便性向上が過疎化を防ぐ

地方創生も不発に終わっている。仕切り直しが必要だが、新型コロナウイルス感染拡大のときに東京から近郊・地方に人口が流入した際には、「いよいよ地方の時代が到来する」と心が躍る自治体も少なくなかったと推察されるが、コロナが明けてしまえば再び東京一極集中が実態である。やはり人は不便なところには行かない、利便性の高い場所を好む、という側面をつまびらかにしただけとなった。地方で過疎化が進み電車・バスといった公共交通の廃線により、地元住民の足を奪うことで過疎化も加速する。

賃貸住宅の今後に目を向ければ、超高齢社会の到来を踏まえなければならない。「独居老人はお断り」のオウム返しでは空室が埋まらない物件が増える。これは東京も例外ではない。年金生活者など賃貸負担能力が高くない入居者をオーナーが安心して受けられるサービスや政策が欠かせない。

コンパクトシティで地方・郊外の利便性を高めようと各地での試みもあるが、すべての地方に当てはまることではなく、点在する住民をコンパクトに集約する、つまり移動させるのに時間がかかってしまう。麗澤大学教授の宗健氏は、「コンパクトシティの有効性を時間軸と、それを実現するために必要なコストをシミュレーションした例を見ない」と指摘するとともに「地方では投資余力が限定的だが、高齢化によって自動運転やIoTによる見守りといったニーズが確実に拡大する」として、そこへのアプローチで地域活性を促す資金とマンパワーを投じる施策が必要だとする。

地方での投資は選球眼を養え

もっとも地方の賃貸住宅マーケットが消滅するわけではない。賃貸住宅運営を成功するには、地元の不動産会社やリフォーム・リノベーションといった住宅再生事業者などとネットワークを築くことが重要になる。

地方で複数の賃貸マンションを運営する40代男性は、「情報はスピード感が大切だが、遠距離投資ほどそうなる。地方紙の情報を活用する。例えば地方紙の3行広告からも情報が得られることもあるし、情報収集活動をしていると相場感が養われる。地方では、売り主と自分の相場感にギャップがあることが少なくない。また、物件を購入する際には、水回りが重要であり、改修すれば収益物件としてやっていけるかの見極めをしないと成功しない」とアドバイスする。どう見極めるかの選球眼が成否を左右する。

別の不動産投資家(50代男性)は、「基本的に中古物件は、人間と同じでコンディションが良くないのでメンテナンス費がかかる。そこら辺りの見極めさえできれば問題はない。新築もいずれ中古物件になる。傷んでいることに対する修理でも費用対効果が変わってくる」と話す。

キャッシュフローを厚くする運用を

賃貸運営で強いのは、やはり地主である。例えば、アパートを新築する際には土地が頭金の代わりになってレバレッジ効果を発揮する。中古マンションを区分でキャッシュ購入できる人も強い。金融機関から融資を受けての運用方法としては、キャッシュフローを潤沢にしておくことが重要になる。

前出の宗教授は、「早期返済を考えてキャッシュフローを薄くして元本返済を優先する方法は、急な資金需要に対応できなくなったり、リーマン・ショックのような市況の急転に対応できなくなったりする」といい、本末転倒の結果を招かないようにと指摘する。支払い総額が増えてしまうかもしれないが、繰り上げ返済しても融資期間を縮めずにそのままにする、繰り上げ返済しながらキャッシュフローを厚くするという方法により月々の支払い額が少なくなることで手元の資金を増やせる。

人口減少時代の賃貸住宅市場は明るくはないが、そうした中でも資産形成を成功させるために、投資家は知恵を絞ることが求められ続ける。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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