今回の大家列伝は、東京在住のサラリーマン大家・毛利ケンさんにお話を伺います。平成元年生まれで現在30才の毛利さんは、2017年11月に不動産投資を始め、2年2ヵ月でアパート7棟、戸建て6棟を取得。家賃収入は約2,300万円に達します。前編の今日は、スピーディに買い付けを入れるために実践したこと、首都圏で高利回り物件を買うための工夫などをお話いただきました。
■ 30才で家賃年収は2,300万円
華子
自己紹介をお願いします。
毛利ケンさん
平成元年生まれ、30才のサラリーマン大家です。東京出身で、小1から高3までは東海地方に住んでいました。大学入学と同時に上京し、2015年に大学院を卒業してからは、都内の某大手企業に勤めています。
不動産投資は2017年11月に始めて、現在はアパート7棟、戸建て6棟を所有しています。満室家賃収入は約2,300万円です。
華子
平成生まれの方に登場いただくのは初めてかもしれません。投資には何才くらいから興味を持ったのでしょう。
毛利ケンさん
お金を稼ぐことには小学1年生くらいから興味がありました。大学時代、親には学費だけ払ってもらい、生活費はアルバイト代と奨学金で賄っていたんです。バイトは最初、カラオケや居酒屋で働いていたんですが、途中から家庭教師を始めたら、一気に時給が上がりました。
華子
優秀な家庭教師だったんでしょうね。
毛利ケンさん
生徒の成績が上がると時給も上がる感じで、ピーク時の時給は5千円、月に数十万円稼げるようになりました。それを元手に株を始めて、大学院を卒業する時には1,000万円ほどの貯金がありました。
華子
自分で生活費を払いながら、それだけ貯めるとはビックリです。卒業後はどんな分野に進んだのですか?
毛利ケンさん
大学院では電子工学の研究をしていました。でも、株式投資の経験から、投資やビジネスの方が面白そうだと思い、研究分野とは全く関係のない某大手企業に就職し会社の資本を運用する部署に入りました。日々、数億のお金を動かすのでやりがいもあり、大変面白いです。
■ 本を30冊読んで、不動産投資の勝ち方がわかった
華子
不動産投資を始めたきっかけを教えてください。
毛利ケンさん
仕事に慣れてきた社会人3年目の頃、本を読んで興味を持ちました。その後、メルカリで関連本を30冊くらい買って読んだら、「 不動産投資は安く買って高く売るゲームなんだ 」とわかったので、とりあえず一つ買ってやってみようと思いました。
ポールさん、松田淳さん、石原博光さん、大谷義武さんの本などが特に参考になりました。




華子
本を30冊読んだだけで仕組みがわかるものですか?
毛利ケンさん
短期間で大量にインプットすれば、なんとなくわかるんじゃないかと思いました。受験勉強と同じで、2周読んで、こういうことかと腑に落ちた感じです。
早速、ネットで物件を検索して、気になった中古アパートに問い合わせを入れるところから始めました。ただ、買い付けを出すという初めの一歩がなかなか踏み出せないでいました。
華子
最初は慎重になりますよね。一棟目はどんな物件なのでしょう。
毛利ケンさん
一棟目は、問い合わせをしていた不動産会社から飲み会中に電話が来て、酔っぱらった勢いで「 見に行きます 」と答えた流れから、内見して買いました。全然ダメな買い方ですね( 笑 )。場所は埼玉県の鶴ヶ島市で、価格は3,580万円、築26年で利回りは11.4%です。
融資は某カタカナ銀行で期間27年のオーバーローンがつきました。現金を持っていたのと、固めの仕事なのが良かったと思います。今だったらこの価格では買わないと思いますが、一歩目を踏み出せたことが良かったと思います。

一棟目のアパート
華子
始める時、ご家族には相談されましたか?
毛利ケンさん
はい、最初、母には借金をして投資することに反対されました。ただ、逆にこれが僕の背中を押しました。普通の人には借金が心理的ハードルになるため、参入障壁が高いのでは? と思ったからです。
この時、母が「 友達が不動産投資で失敗した 」と言うのでその内容をきくと、「 空室だらけで儲かっていないらしい 」と。同時に、「 この人は管理会社に任せっきり 」ということも聞き、それは行動していないから埋まらないだけではと思いました。今となっては、その母も「 私にも何かいい物件ない? 」と言っています( 笑 )
■ 選ぶのは利回りが高く家賃収入が多く入る物件
華子
中古の木造アパートを投資対象にしたのはなぜですか?
毛利ケンさん
利回りを優先すると、木造中古アパートが良いのではないかと思いました。僕が始めた2017年とか2018年は、全体的に物件価格が高く、築古RC物件の表面利回りは7%とかで、これでは収支が合わないと思いました。
この木造アパートを買うと、満室時の手残りが15万円くらいになることがわかり、「 これは良いな 」と思いました。そのあと立て続けに、1年半で5棟のアパートを買いました。
でも、木造アパートにこだわっているわけではないので、月々の家賃収入が安定して、現金保有率も高まってきたら、割安であればRC物件にいくかもしれません。その時々で良いと思うものを買っていくつもりです。
華子
物件を選ぶ時の基準はなんでしょう?
毛利ケンさん
自分が「 良い物件 」だと思うのは、利回りが高く家賃収入が多く入る物件、プラス高く売れる可能性が高ければ理想的です。そんな物件なかなかないのですが( 笑 )。アパートであれば融資を使って物件を買うことが多いので積算評価も高い方がいいですね。
華子
東京在住ということですが、物件はすべて関東なのでしょうか?
毛利ケンさん
はい。埼玉、千葉、神奈川です。電車の乗降客数などは無視して、安く買えて電車で日帰りできる場所ならどこでも検討します。
関東エリアの大体の築古の賃料相場であれば〇―モなどを見て頭の中に叩き込んだので、値段を見て利回り換算して安いと思えば速攻で仲介に問い合わせを入れ、内見をして買い付けを入れています。
■ アパート5棟と戸建て6棟の平均利回り
華子
アパートを5棟買った後は、どんな物件を買ったのでしょう?
毛利ケンさん
戸建てを6棟続けて買いました。本当はアパートを買いたかったんですが、金融機関から、「 少し時期をあけましょう 」と言われたので、現金で買える安い戸建を探したんです。価格は平均で150万円くらい。5万~8万円で埋まっています。
一番安かったのは、市街化調整区域にある再建築不可の戸建て。千葉駅から車で15分くらいの場所にあって、価格は80万円でした。まったく修繕せず、その日の夜にジモティに掲載したら5万円で入居が決まりました。
華子
関東でその価格ですか。かなりの利回りになりますね。
毛利ケンさん
はい。アパートの平均利回りは13~14%ですが、戸建ては30%以上あります。最初から安い場合は別ですが、価格交渉をすることが多いです。
ただ、安く買えても修繕費がかかったら意味がないので、戸建てを買い始めてから、ふかぽんさんのYoutubeなどでDIYを学びました。今では一通りできますよ。
リフォームは最初の頃はピカピカに直していましたが、入居者自身が、部屋をいじりたいという要望も多いので、今は最低限で済ましています。
壁紙なんて、ハサミでザクザク切って貼っています。CFも適当に切って畳の上から置くだけの場合もあります。DIYは嫌いではありませんが、時間を使うので、いずれは人に任せたいですね。
華子
ここまで順調に来られたと感じますか?
毛利ケンさん
そうですね。でも、トラブルもありました。例えば柏のアパートで、夜中3時頃に救急車とパトカーが来たことがあります。入居者の一人がパニックになって、他の部屋のドアをどんどん叩いて回ったんです。それと家賃を払わない人が今の時点で3人いて、保証会社さんが戦ってくれています。
華子
そんな時は少し、物件購入を休みたくなりませんか?
毛利ケンさん
それはないです。継続は力なり。いいも悪いもなく、すべてが「 経験 」ですから。

和室にDIYでクッションフロアを貼った
華子の編集後記
学生時代は野球に夢中で、今も体を動かすのが好きという毛利さん。取材日も電車で何駅もかかる場所から自転車で来てくれました。パワフルで、真っ直ぐな向上心はまぶしいほどでした。明日の後編では入居率を上げるための工夫等をうかがいます。お楽しみに。