• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

築古ワンルームにロフト導入で賃料6万円→9万8000円! DIYで組み立て可。天井が低くても狭くても

賃貸経営/DIY ニュース

2023/05/01 配信

競争力が落ち、空室が続く築古ワンルーム。改修という手を考えないではないものの、予算を考えるとそこまではできないという方に、そこまでの費用をかけずに、でも室内を大きく変化させられる手段がある。家具としてロフトの導入だ。しかも、1人では難しいものの、2人いれば素人でも組立可能だという。

組立説明図付きのキットでロフトを設置

左側にロフトを置き、縦空間をフルに利用、その分、右側はゆったりと使えるので全体に広く感じる
左側にロフトを置き、縦空間をフルに利用、その分、右側はゆったりと使えるので全体に広く感じる。モデルルームは女子仕様ということでレースのカーテンが設置されていた

東中野駅から歩いて数分。築60年に近いワンルーム内に宅地開発から販売、設計、リノベーションなど幅広く不動産に関わる事業を展開してきた株式会社シンクコンサルティングが開発したLOFT LDK事業のモデルルームがあった。

元々はこんな感じのごく普通の部屋。これでも悪くはないが、他との差別化は難しい
元々はこんな感じのごく普通の部屋。これでも悪くはないが、他との差別化は難しい

元々は24.5㎡、玄関を入ると手前に水回りがあり、奥に居室というごく普通のワンルームなのだが、それをここでは商品開発のためにスケルトンリフォームを実施。

コックピットスペースと名付けられたカウンター、椅子のあるコーナー、リビング、そして寝室として使えるロフトとスペースが分けられた、使いやすそうな部屋に変えられていたのである。

ひとつの空間の中に食、寝、人によっては働くが一体になって全部見えていたものが、ロフトにすることでそれぞれの機能を分離できている
ひとつの空間の中に食、寝、人によっては働くが一体になって全部見えていたものが、ロフトにすることでそれぞれの機能を分離できている

ロフト導入前、導入後のコンセプト図面を見ていただくとロフト空間を使うことで室内で大きな存在になりがちなベッドが見えなくなり、ロフト空間の前のリビングスペースはより広く使えることに。

限られた空間でも空間を分けて使えるので、メリハリのある暮らしができ、空間としてもぎゅっと詰まった部分とゆったりした部分があるため、実際の面積よりかなり広い印象を受ける。

シンクコンサルティングの新宅義昭氏によると、この商品を開発するきっかけとなったのはロフトタイプの部屋への改装依頼が多かったこと。

「依頼はあるのですが、首都圏はまだしも、関西など遠隔地になると大工が行くわけにはいきません。それで大工の仕事としてではなく、誰にでも組み立てられる家具としてロフトを作れないかと考えたのです」。

その結果、生まれたのがロフト家具ユニットという商品。

「イケアの家具は買って来て自分で組み立てますよね、それと同じ感覚で使える商品です。プロに頼むとしても職人2人で2日あれば足ります。素材は杉などの国産材を使った三層構造のJパネルなのでそのまま使っても良し、クロスを貼る、ステインを塗る、タイルを貼る、ペイントするなど仕上げは自由にできます。ここをプロに頼んでも合計3日。普通、大工に依頼、材料を揃えるところから考えると2週間かかる改修が3日で終わります」。

組立説明書のついたキット販売というわけで、プレカットされ、ビス穴も開いた状態の木材と付属キットが届くので、素人でも組立は可能。ただし、ロフトなど高さのある家具の組立となるので1人では難しく、2人でやってほしいと新宅氏。

「DIY好きの大家さんなら自分でできるはず。モデルルームではかなり多めにコンセント、照明を設置していますが、標準仕様でもロフト上部、下部、ダイニングスペースいずれにもコンセント2口はあるのでそれだけで十分なはずです。

3.63m×1.19m、約2.6畳の家具が部屋を変える

こんな家具がすっぽりと室内に置かれていることになる
こんな家具がすっぽりと室内に置かれていることになる

実際の仕様を見て行こう。この部屋の場合には長さ3.63m×幅1.19mの家具が入れられており、ロフト、階段、ダイニングスペースの3つから空間が構成されている。

ダイニングとしても、仕事場としても、メークスペースとしても使えるスペース。L字型のカウンター下にはあえて収納を作らず、どちらか好きなほうを向いて座れるようになっており、収納は壁に。また、このスペースの上部にもロフトへの階段側から開けられる収納が設けられている
ダイニングとしても、仕事場としても、メークスペースとしても使えるスペース。L字型のカウンター下にはあえて収納を作らず、どちらか好きなほうを向いて座れるようになっており、収納は壁に。また、このスペースの上部にもロフトへの階段側から開けられる収納が設けられている

まず、ダイニングスペースはL字型にカウンターが用意されており、天板の下には棚等は設置されていない。これはL字のどちら側に身体を向けても使えるようにという配慮。

ロフト側を向いて食事やパソコン作業をする、照明付き鏡が設置された壁側はメイクスペースにも使える。壁の隣には収納もあり、座って化粧したいというニーズにも応えてくれる。

さらに作り付けの椅子の下は収納になっており、このコンパクトな空間にすでに2か所の収納があることになる。

また、この部屋の場合にはキッチンを移動、ダイニングスペースの椅子の背後に配されている。椅子とキッチンの間にはロールカーテンが用意されているので、オンライン会議などをする際にはそれを下ろせば背後が気にならなくなる。

一人暮らしの部屋でも掃除ロボットを導入できるとは!である
一人暮らしの部屋でも掃除ロボットを導入できるとは!である

次に階段スペース。モデルルームでは単なる階段なのだが、最新の大田区蒲田で納品したものはステップの下が収納に使えるようになっているという。階段下にはロボット掃除機の収納スペースも設置されている。下着類その他細かいものの収納には便利そうである。

こちらは八潮に納品した商品。配置を変える、内部の作りを変えることが可能
こちらは八潮に納品した商品。配置を変える、内部の作りを変えることが可能

ロフトスペースは下部がカスタマイズできるようになっており、モデルルームの場合には可動式の棚、ハンガーパイプが用意され、そこにソファが置いてある。

緑を入れた、こんなおしゃれな部屋にすることもできる
緑を入れた、こんなおしゃれな部屋にすることもできる
あるいはこんな部屋にしても。ロフト部分はDIY可としても入居者に喜ばれそうだ。退去後は壁紙あるいは塗装をし直せば原状回復も面倒ではない
あるいはこんな部屋にしても。ロフト部分はDIY可としても入居者に喜ばれそうだ。退去後は壁紙あるいは塗装をし直せば原状回復も面倒ではない

「ロフト下部分については各種カスタマイズが可能です。カウンターデスクとハンガーパイプにしてもいいですし、カウンターデスクを2つ並べてホームオフィスのようにしたり、ホームバーのようにすることも。いろいろ使えます」。

新宅氏のこだわりはロフト下部の高さ。

「よくロフト部分の天井の高さを重視、下部の天井高を低くする例を見ますが、そうなると使い勝手が悪くなり、使われなくなります。限られた空間を有効に使うためには使いやすさを考慮する必要があります。使いやすければ長く住んでいただけるからです」。

ロフト部分。モデルルームではレースのカーテンが設置されており、お籠り感、守られている感が高く、女子には好まれそうに感じた
ロフト部分。モデルルームではレースのカーテンが設置されており、お籠り感、守られている感が高く、女子には好まれそうに感じた

その分、ロフトの天井高はやや低めになるが、寝るだけの空間と割り切ればそれだけの天井高はいらない。さらにロフト上を手すりで囲み、寝室を視覚から見えないようにすることで、ゲストを招き入れることにも抵抗を感じず、招きやすくなる。

また、140㎝というロフト下はソファに座ると落ち着く空間。実際に座ってみると高さは全く気にならず、逆に寛げる。反対側の壁面にテレビを設置して映像、音楽を楽しむにはちょうど良い。壁を利用、プロジェクターで映像を投影するようにしても良いだろう。

階段からロフトへ上がるとダイニングスペース上部が収納になっている。かなり奥行きもあり、いろいろ入りそう。ロフト部分はセミダブルよりやや狭い幅で、基本シングルを想定。重さは200㎏まで耐えられる設計なので、よほどの巨漢でない限り、問題はない。

4畳半、4畳くらいの部屋にも導入可能

25㎡ほどの部屋に家具を入れたところ。リビングが広く使える
25㎡ほどの部屋に家具を入れたところ。リビングが広く使える

「家具のサイズは約2.6畳分ありますが、一般のワンルーム比べると収納量はかなりあります。縦空間を上手に利用することで新たに空間を生み出しているのです。モデルルームは24.5㎡の部屋ですが、実際には23㎡でも、さらに狭くても入れることはできます」。

モデルルームはダイニングスペースと階段、ロフトの3空間とお伝えしたが、それを階段、ロフトの2空間だけにし、ロフト下部にダイニングスペースを持っていけば約2.28m×約1.19mのスペースがあれば入る。

こちらはもっとコンパクトな部屋用。ちゃんと入っている
こちらはもっとコンパクトな部屋用。ちゃんと入っている

「入れ方次第ですが、6畳、4.5畳、あるいは4畳くらいの部屋でも入ります。この部屋はスケルトンリフォームをしたので2.4mの高さの家具が余裕で入っていますが、最近搬入した蒲田の部屋は天井高が225㎝。古い部屋でも220㎝くらいまでなら居住空間を損なわずに設置できます」。

重さは250㎏ほどあるため、重量鉄骨造、RC造であれば問題ないが、古い木造などの場合にはアップライトピアノを置く時同等くらいの補強は必要だろうと思います」。

解体して再組み立ても可能で長期利用できる

一度設置してしまえば10年以上は使え、さらに手入れ、移動もできる点がメリット。

「表面のクロスを張り替えれば新品同様になりますし、ペイントでも同様。補修が必要なのは椅子のカバーくらいでしょうか。メンテナンスの容易さも特徴のひとつです。さらに解体して運送、違う場所で組み立てることもできます」。

細かい点にも工夫がある。右手はクロゼットでその隣には鏡。鏡の下に置かれた椅子は内部が収納になっており、左側のダイニングスペースに移動させれば友人との語らいに役立つ。また、クロゼットの側面にはコートフックも設置されている。空間を隅々まで無駄なく使う工夫が徹底しており、女子が注目するのは当然と思った
細かい点にも工夫がある。右手はクロゼットでその隣には鏡。鏡の下に置かれた椅子は内部が収納になっており、左側のダイニングスペースに移動させれば友人との語らいに役立つ。また、クロゼットの側面にはコートフックも設置されている。空間を隅々まで無駄なく使う工夫が徹底しており、女子が注目するのは当然と思った

と、様々なメリットがあるのだが、気になるのはこれでどの程度バリューアップできるのか、である。モデルルームと同じタイプ「class25㎡」の家具ユニットの価格は129万6000円(ハンガーパイプ、棚、レールなど一部オプションもあり、また、もともとの住戸にあったものもあるため、全く同一というわけではない)。組立、クロス仕上げを外注するとそれに20数万円プラスということになるだろうか。

それでいくら家賃がアップしたか。モデルルームの場合、もともとは賃料6万円だったものを9万8000円でこの1年ほど賃貸していたという。退去に伴い、売却することになっており、取材はその合間に行われた。

「購入を希望する投資家の方はもう少し賃料をアップしたいとの意向です。売却前にと人数限定で見学会をやると募集をかけたところ、5日間で10組の枠が埋まりました。以前の入居者もそうですが、圧倒的に女性からの問合せ、ニーズが高いのが特徴です」。

また、埼玉県八潮市に設置した物件では6万3000円の賃料を8万5000円までアップさせられたという。

「大工工事を含めた改修よりは手頃にできるものの、ある程度の金額がかかることは確かなので、賃料が5万円以下などの物件では利用しにくいかもしれません。もう少しコンパクトな2つの空間からなるタイプの家具ユニット「class15㎡」は99万8000円なので、こちらを利用する手もあります。

将来的には5年、10年などの長期レンタルで初期は取りつけ費用だけの負担で設置できるようにしたいとは考えていますが、今のところはまだ構想段階。

毎月1~2万円程度のレンタルにできればリース料は全額損金で落とせますし、減価償却にも有利。賃料アップによるキャッシュフローを含めた節税効果の高い商品になるのではないかと思っています」。

ただ、図面だけでは分かりにくい商品である点が問題。長年にわたり不動産営業に携わった経験のある人でさえ、図面では想像できず、現地を見て物件力を感じたとのエピソードもあるとか。

LOFT LDKでは、問題を解決するために、ロフト家具設置物件の賃貸・売買募集(再募集含む)に際し、物件情報を無料でLOFT LDK公式SNS,ホームページに掲載を行っている。東中野モデルルーム賃貸の際もSNS経由で問い合わせから成約まで至った。

また、見学に来てもらうと大体の人は1時間以上滞在、動線の良さや細部の作り込みにいろいろ質問するそうで、実際の部屋を見ると良さは伝わる。だが、今回のモデルルーム売却で、現物は見られなくなる。

「どなたか、一定期間モデルルームとして使わせていただくという条件で置いてみたいという方や管理会社などがあれば良いのですが……」。

もうひとつ、賃貸住宅以外でも社員寮や学生寮、子ども部屋や仕事部屋を住戸内に作るために使ってみたいという声もあるという。

わざわざ壁をたてて部屋を作らなくても、家具を置くことで空間を仕切り、暮らしが変わったら家具を移動させれば良いとなれば暮らしはもっと自由になる。賃貸住宅も仕切らない状態で貸して、あとは入居者が好きに仕切るようになったら面白いかもしれない。

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

不動産投資ニュースのライターさんを募集します。詳しくはこちら


ニュースリリースについて

編集部宛てのニュースリリースは、以下のメールアドレスで受け付けています。
press@kenbiya.com
※ 送付いただいたニュースリリースに関しては、取材や掲載を保証するものではございません。あらかじめご了承ください。

最新の不動産投資ニュース

ページの
トップへ