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アパート経営で、自主管理がオススメできない「本当の理由」

賃貸経営/管理・管理会社 ニュース

2023/06/26 配信

■自主管理という選択
にかける人的コスト

物件を購入したのち、物件を自分自身で管理する「自主管理」という選択肢がある。確かにアパート経営は、必ずしも管理会社の手を借りる必要はない。時間的余裕とノウハウを持っている方ならば、問題なく自主管理ができるだろう。懸念と言えば、オーナー自らが管理業務を行う「コストパフォーマンス」と「入居者募集(客づけ)」ではないだろうか。

管理委託の費用は、一般的には毎月5%の管理料に加えて、修繕費、巡回清掃費、募集手数料(広告宣伝費)が必要となる。自主管理ができれば、こうした管理会社に払うべき費用が節約できる分、オーナーのキャッシュフローはその分改善されるだろう。

たとえば、5万円・10戸のアパートを5%の料率で委託するなら、毎月の管理料は25000円(満室時・税別)、年間で約30万円の支出となる。それ以外に募集時の広告宣伝費12万円(解約率20%、2部屋を募集)などや巡回清掃費などがかかるため、キャッシュフローに余裕がない人にとってはありがたいだろう。

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■自主管理の
コストパフォーマンス

しかし、ここでコスパに関して考えてみる必要がある。ひとつは「オーナー自身の人件費の問題」だ。自主管理をするとなれば、故意でない滞納は全戸のうち毎月7%程度発生し、入居者からのクレーム・問い合わせは毎月20%程度、解約は年間15~25%程度発生し、それらを処理する必要がある。

42万円(ひと月3.5万円)を削減するために、入出金確認をし、2週に1度はクレーム処理を行ない、半年に1件は部屋の解約対応(業者選定・発注・退去精算)をオーナー自らが行い管理するのは、費用対効果が見合うのだろうか。

もうひとつは、たとえ自主管理をしても「42万円すべてを節約できるとは限らない」という点だ。それは、管理会社が無料で動いていたような業務や作業も少なからずあるためだ。さらに、管理会社がまとめて発注するからこそ割安になっていた工事や商品もある。

自主管理ならアイミツして安い業者に依頼できると思われがちだが、モノによっては割高となる設備・部材・工事も珍しくない。それ以上に工程や進捗管理を自らやるのは、とても面倒なのである。

■客づけされる
物件の優先順位

そして何より、自主管理のリスクは入居者募集にある。果たして自力で仲介業者をまわり、低コスト・短期で、空室を埋めてもらえるだろうか。入居者募集においては「自主管理オーナーの物件」に対する不動産会社の対応は極めてシビアだ。なぜなら、どんな会社もまずは自社の利益のために行動するのが当然だからである。よって、一般論ではあるが、客付けの優先順位は次のような順序になりがちだ。

◆不動産会社が「客付け」する際の物件の優先順位

1.「自社で所有」している物件

2.「自社で保証」しているサブリース物件

3.「自社で管理」している物件

4.「他社で管理」している物件だが「ADが高額」な物件

5.「他社で管理or自主管理」している物件だが「決めブツ」と呼べる良質な物件

6.「自社で管理」している、決めにくい物件

7.「その他の他社管理物件」および「自主管理オーナーの物件」

あまり表立って言われることはないが、自社所有の物件を保有していれば、不動産会社がまず埋めるのは、その所有物件の空室だ。自社の利益に直結するのだから当然と言えば当然だ。

そして、それとほぼ並行して優先されるのが、自社で空室保証している場合のサブリース物件である。なぜなら、自社で行うサブリース物件は、入居率が落ちれば不動産会社が身銭を切るハメになるからだ。その次が、自社の管理物件である。

管理物件の入居率はオーナーの信頼を左右するし、入居率が高まる=管理料収入が増えるため、同じような条件の自社管理物件と他社管理物件があれば、間違いなく自社管理物件を優先する。ただ「この自社管理物件では決まらない」となれば話は変わる。

せっかく来店していただいたお客様に「決まらない自社管理物件」よりは「決められる他社管理物件」を紹介し、仲介手数料を得ることを目的とするのだ。客付けして得られる広告宣伝費(AD)が高額であれば、その傾向はなおさら強くなるはずだ。

一方、なんの特徴もなく営業マンにとってメリットのない物件や、ADも一般的な額の自主管理オーナーの物件は、紹介の優先順位がいちばん最後に回される。供給が不足している市場であれば、十分に決めてもらえる可能性はあるが、供給過剰の市場では、ほぼ紹介してもらえないと思っておいた方が良い。

管理会社に預けているのと同じくらいの短期間・低コストで空室が決められば、自主管理をするメリットもあるが、オーナー自らが動くコスパや、入居者募集のリスクを考えるとお得でないことが一目瞭然ではないだろうか。


■結局、アパート経営は
管理会社に任せるメリットが大きい

不動産賃貸業は、その運営を丸ごとアウトソーシングできるビジネスモデルだ。仮に人を雇ってみたら、同じ業務を5%のコストでは到底賄うことはできないだろう。このメリットを生かし切るには、管理会社に完全アウトソーシングをして、もっとオーナー自らは、生産性を高めることに時間を使った方が効率的であると言える。

委託する管理会社がしっかりしていれば、年額42万円の支払いは決して高くない。きちんと管理料を支払って、管理会社に責任を持ってもらう。そのほうが間違いなく「得」であることが分かるのではないだろうか。

執筆:今井基次(いまいもとつぐ)

今井基次

■ 主な経歴

みらいずコンサルティング 代表取締役
賃貸・売買仲介の実務を経て、中堅不動産管理会社へ入社。
収益不動産売買仲介の実務の後、不動産管理会社への業務コンサルティングを14年間行い、これまで200社以上の企業を担当。
管理会社へのコンサルティングを通じて、多くの大家さんの稼働率向上を行ってきた。
オーナーセミナーや不動産会社向け研修など、毎年80回以上講演を行い延べ3万人以上もの人が聴講してきた。自らも不動産投資を行なっている。
保有資格:1級FP技能士,CFP,CPM,CCIMなど多数。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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