株式投資で配当金生活を楽しむように、J-REIT(ジェイリート)で分配金を毎月もらおう!というシリーズ。
J-REITの分配金は、株式投資の「配当金」と同じ意味だ。なお、J-REITの分配金利回りは2~6%と株式投資よりも高配当なものが多い。
そして、7月決算のJ-REITをいま買うと3ヶ月後の10月に分配金がもらえる。また、J-REITは年2回決算なので、翌4月にも分配金が手に入る。

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7月決算のJ-REITは15銘柄!
注目はサムティ・レジデンシャル投資法人と産業ファンド投資法人
7月決算期銘柄は15銘柄ある。
東急リアル・エステート投資法人
日本ロジスティクスファンド投資法人
森ヒルズリート投資法人
産業ファンド投資法人
アドバンス・レジデンス投資法人
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
コンフォリア・レジデンシャル投資法人
イオンリート投資法人
ヘルスケア&メディカル投資法人
サムティ・レジデンシャル投資法人
いちごホテルリート投資法人
スターアジア不動産投資法人
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
エスコンジャパンリート投資法人
東海道リート投資法人

※証券コード、銘柄名、投資口価格、予想分配金利回り、NAV倍率。
「投資口価格」は、J-REITの場合の「株価」に相当する。
投資口価格と予想分配金利回りは2023年7月7日終値現在。
注目の2銘柄はこちら。
サムティ・レジデンシャル投資法人
産業ファンド投資法人
物件入替による売却益が2期連続で分配金に!
地方都市に強いサムティ・レジデンシャル
サムティ・レジデンシャル投資法人は、住宅特化型のJ-REITだ。
スポンサーは、関西をベースとする不動産業のサムティグループ。
同リートは2015年に上場し、住宅特化型リートとしては最後発だ。2018年に大和証券グループ本社がサブ・スポンサーとして参画した。
地方都市を中心に分散投資していることが特徴だ。
保有物件のエリア別比率では、主要地方都市(大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市など)が全体の47.5%、その他の地方都市が27.6%、首都圏は24.9%だ。

主なターゲットは単身者で、シングルやコンパクトタイプの物件が多い。
シングルタイプ(30㎡未満)が46.6%、コンパクトタイプ(30㎡以上60㎡未満)が41.0%、ファミリータイプが12.5%だ。
保有物件の多くがメインスポンサーのサムティグループが開発、もしくは保有していた賃貸マンションだ。
「S-RESIDENCE」シリーズは同グループが開発した高級規格のマンションだ。
では、今期(2023年7月期)の資産入れ替えの動きを見てみよう。
まずは、賃貸マンション「S-FORT 車道」(名古屋市)を3月31日に530百万円で売却した。
メインスポンサーから「S-RESIDENCE南円山」(札幌市)を5月8日に410百万円で取得。札幌市営地下鉄の駅から徒歩約 12 分のファミリータイプの物件だ。
そして、6月20日に下記の5物件を売却すると発表した。売却額は合わせて4,441百万円。
「S-FORT葵」(名古屋市)
「S-FORT博多東Ⅰ」(福岡市)
「S-FORT博多東Ⅱ」(福岡市)
「S-FORT熊大病院前」(熊本市)
「S-FORT熊本船場」(熊本市)
譲渡した理由は、保有物件の中では築年数が古めであることや、保有地域のバランスから、譲渡を検討していた。
売買契約自体は5物件とも6月21日に行ったが、譲渡日は2期に分けている。2物件が今期(2023年7月期)中の6月28日、残り3物件は来期の11月28日だ。
5物件の譲渡益560百万円は全額が分配される。譲渡日を2期に分けたのは、2期連続で譲渡益を分配金に回すためだ。
その売却代金を利用し、下記の3物件をスポンサーから1,882百万円で取得した。
「S-RESIDENCE勝川駅前」(愛知県春日井市)
「S-FORT大森山王」(品川区)
「S-FORT上池台」(大田区)

資産入れ替えにより、分配金予想がアップ。今期(2023年7月期)の分配金の当初予想2,720円だったが、3棟分の売却益によりプラス68円の2,788円。
来期(2024年1月期)の分配金の当初予想は2,614円だったが、2棟分の売却益によりプラス206円の2,820円だ。
売却益が増えた割に、分配金への加算額が少ないように見えるかもしれない。しかし、本来予定していた利益超過分配金が、その売却益のおかげで減額されている。
つまり、翌々期以降も分配金を安定的にするため、余力を温存していると言える。

また、売却金額の残りは将来の取得資産の取得資金に充当する予定だ。
保有物件を首都圏に集中させているJ-REITが多いことを考えると、地方物件が主力の同リートを持つことは、分散効果になるだろう。
地方都市の物件が多いため、同リートの利回りは住居系の中では高めだ。
サムティ・レジデンシャル投資法人
予想分配金:2023年 7月期2,788 円、2024年 1月期 2,820 円
保有物件数:178
取得価格合計:162,783 百万円(2023年6月30日現在)
物流やインフラ施設、工場・研究開発施設を保有
独自の提案力が強みの産業ファンド
産業ファンド投資法人(IIF)は産業用不動産特化型リート。投資対象は物流施設、工場や研究開発施設、インフラ施設などだ。
2007年に上場した当時のスポンサーは、総合商社の三菱商事と欧州の金融グループUBS。
ところが、2022年に2社が同リートの資産運用会社の株式をKKRに売却したため、スポンサーが交代した。
同リートのポートフォリオは、物流施設が51.0%を占めている。工場や研究開発施設は33.9%、インフラ施設が15.1%だ。

賃貸借期間別では10年以上が88.3%と多く、2年以上10年未満が11.3%、2年未満が0.4%だ。10年以上の長期的に渡って、安定した賃料が入る仕組みだ。

賃借人別では、日本航空(株)が6.2%、(株)ジェーシービー2.3%、大阪ガス(株)2.1%、その他89.3%。上位3社は全体の10%強を占めるだけで、分散されている。

なお、日本航空(株)が賃貸しているのは「IIF 羽田空港メインテナンスセンター」だ。航空機の格納や機体整備に使用している。
では、今期(2023年7月期)の資産入れ替えの動きを見てみよう。
今年3月に、IIF神戸ロジスティクスセンター(物流施設、2001年築)を売却の契約を行った。
同センターは、2021 年 2 月にテナントが退去した後、マルチテナント型への改修工事を実施した。翌年の工事完了後、テナントが1つ入居したものの、稼働率が上がらない状態が続いた。
しかし、簿価(5,754 百万円)以上の金額で購入したいというオファーがあったため、売却となった。譲渡価格は8,520 百万円。
譲渡は3 期に渡る予定で、今期(2023 年 7 月期)、翌期(2024 年 1 月期)、翌々期(2024 年 7 月期)と、各期で譲渡益が計上される。

また、今年3月には2年7ヶ月ぶりに公募増資を行った。
そして、下記4物件を12,215百万円で取得した。
物流施設の「IIF滋賀竜王ロジスティクスセンター」と「IIF近江八幡ロジスティクスセンター」。
工場の「IIF飯能マニュファクチュアリングセンター(底地)」と「IIF大田マニュファクチュアリングセンター」だ。
「IIF厚木ロジスティクスセンターⅢ」の再開発も行っており、翌期に建物を取得する予定だ。

同リートの特徴は、民間企業や公共機関が保有する不動産に対し、効率的に運用するための提案を行い、協業することで新たに物件を取得している。
同リートは「CRE」(企業が保有する不動産の効率的な運用)/「PRE」(公的不動産の効率的な運用)戦略と銘打ち、他J-REITが参入しづらい独自路線を切り開いている。
産業ファンド投資法人
予想分配金:2023年7月期3,084円、2024年1月期3,165円
保有物件数:74
取得価格合計378,996百万円(2023年1月31日現在)
7月決算銘柄を買って分配金をもらうには、権利付き最終売買日である7月27日15時までに購入しておく必要がある。
最後に、投資判断は自己責任でお願いしたい。