こんにちは。赤井誠です。
前回は、キャッシュを生み出す減価償却の意味を理解することの重要性をお話しました。
いずれにせよ、きちんとした事業計画の上で自分の資産を最大化するにはどうするかを良く考えておかないと、納税額ばかり増える結果になってしまいます。
特に、物件が複数になってくると、本当によく事業計画を立てて考えないと効率はあがりません。
それでは、本日のお話です。今回は、キャッシュフローを生み出す源泉である減価償却のリスク部分ともいえるデッドクロスについてお話したいと思います。
物件を購入した当初のキャッシュをリッチにする方法として、銀行ローンを元利均等返済として、さらに設備の部分の減価償却を定率で処理するということがあります。これにより、当初は減価償却が大きくなり、かなりのキャッシュが貯まります。
しかし、年々、経費となる利息部分が減少し、経費にならない元金の返済額が多くなります。さらに、キャッシュが出ていかないのに経費となる減価償却費も減っていってしまいます。そして、それが進むとデッドクロスに到ります。
つまり、デッドクロスとは、
・減価償却費=実際にお金は出ないのに経費にできる
・元金返済 =実際にお金が出るのに経費にできない
その額が逆転した状態のことを指すのです。
そうなると、帳簿上は黒字となり、現金がないにもかかわらず所得税が大きくなって黒字倒産ということになります。
これを回避するための方法にはいくつかありますが、主なものは以下のようになります。
・自己資金を入れて購入
・繰り上げ返済
・納税資金を積み上げておく
・ローンを元金均等で組む
・ローンの借り換えで期間を伸ばす
・新規物件を購入し、減価償却を増やす
・売却
ローン額が大きいと、当然デッドクロスが起きやすくなります。しかし、だからフルローンは危険だから辞めたほうがいいと言うだけではあまりに短絡的だし、一般論でしかありません。
一番危険なのは、将来のことを考えず、今は手元にキャッシュが潤沢にあるということだけで、家賃収入だけで生活できると考えてしまうことです。
回避策は、いろいろありますが、要はどういう戦略でキャッシュを貯めて借金額を減らしていくかということです。
一番手堅いのは、お金をしっかり貯めてから、頭金をいれて購入することです。ただ、このやり方だと貯金が貯まる前に良い物件を見つけたときにチャンスを逃しやすくなることや、お金を貯めるのに時間がかかるというデメリットがあります。
よく、「 ネットビジネスでお金を貯めましょう 」とすすめられて、せっかくの持ち金を情報商材やセミナーなどで失ってしまうだけの人がいます。そうなると、結局、お金も貯まらず、スタートもできないということになります。
購入後に繰上返済をしたり、納税資金を貯めるという考えは、とにかく物件を購入し、その潤沢なキャッシュフローを使わずにしっかり貯めて、それによってリスクを回避するという考え方です。
購入当初はハイレバレッジ状態ですが、効率的に資金は貯まります。ただ、人はどうしても潤沢な資金ができると使いたくなってしまいます。きちんと自制ができる人には効果的だと思います。
ローン期間に関しても長いほうがデッドクロスは遅くなりますが、いくら低金利でも30年ぐらいのローン期間があると最初の5年ぐらいは本当に元本が減りません。借り換えによる期間延ばしは苦肉の策でしかありません。
新規物件、特に築古の木造などを買って償却額を増やすやり方は、数年で償却が切れた後に新築したり、売却したりすることで有効に使う事ができます。
きちんと計画的に物件の購入ができるように資金繰りをすることにより、効率的にデッドクロスを回避しながらキャッシュを残すことができます。
デッドクロスが近くなったら売却するという方法は、売却益の納税資金を貯めて計画的に売却するのであれば良いですが、デッドクロスを回避するためだけに売却しなくてはならなくなるというのでは失敗ですね。
いずれにせよ、どのようにリスクを減らしながらキャッシュを残すか。それには様々な方法があります。そしてそれは、その人の考え方で決めていくべきだと思います。
ただ、ルールを知らずに戦っていても、効率的にキャッシュを生むことはできません。減価償却・デッドクロスなどは税務面の知識です。
攻めの方法としての購入方法の知識も重要ですが、守りの税務の知識はさらに重要だと思います。攻守ができるようになって初めてキャッシュの残せる投資活動ができるのだと思います。