こんにちは、ぺんたです。
9月末に新たにマンションを購入しました。新しく進出する街での一棟目です。築23年の低層RCで、利回りは平凡だったものの大規模修繕済みでピカピカ。しかも満室です。
この街は賃貸物件が足りないエリアだと分かっていましたので、珍しく「 飛びつき買い 」をしました。
ただ一つだけ難点があるとすれば、この物件はアパートメーカー( 仮にA社とします )のサブリース物件だという点です。私はサブリースはやりませんから一般管理へ移行をする前提での購入だったのですが、切り替えを実際にやってみるとけっこう苦労したんです(汗)
■ 売主様の売却理由=「 サブリースを外したい 」
この物件は私で3人目のオーナーとなります。売主様( =2人目のオーナー )は所有期間わずか1年で売りに出されていたので、「 なぜこんな短期間で売却することになったのですか?」と仲介さんにお伺いしました。すると、次のような返事でした。
「 サブリースの条件が厳しすぎて全く手残りがなかったんです。そこでA社さんにサブリースを外してくれるよう申し入れをしたのですが、『 売却する以外にサブリースを外すことは出来ません 』 と言われてしまったので、『 ならばもう売りに出そう 』となったわけです 」
後で数字を拝見すると、なるほどそれは苦しいだろうな・・・と思える内容でした。というのもこの物件の満室賃料は約70万円/月なのですが、サブリース賃料は約50万円。約3割もA社に抜かれています。
しかも仲介業者さんいわく、「 そこから更にいろんな手数料を引かれて、売主様の手取りは40万円ちょっとです 」ということでした。売主様の融資条件から逆算すると下手したら逆ザヤです。
総収入の4割をサブリース会社のA社に抜かれてしまうとは、そりゃ儲からんわけだわ・・・と思いました。個人的には、サブリースなんてやるもんじゃないと思います。
■ 情報開示は非常に緩慢で、契約内容は「 不平等条約 」
この物件は市内でも稀少なRC物件でけっこう人気があるらしく、A社さんは管理を手放したくなかったようです。仲介業者さん経由で、「 一般管理でも結構ですので、なんとか当社に管理をお任せいただきたいです 」と言って来ました。
私としてもアパートメーカーさんの全国ネットを活用出来る可能性を感じていて、前向きに検討することにしました。ところが、そこからが大変でした。
今回の売買でA社さんについて感じたことは、とにかく「 情報開示が消極的、かつ緩慢 」だったことです。当社が何度も質問しない限り情報は開示してもらえませんし、教えてくれないこともありました。
ともあれ契約内容を知らないと検討もできません。そこでA社にしつこく迫って「 一般管理委託契約書 」のひな形をようやく取り寄せることができました。すると内容が売主様が締結したサブリース契約と同じような「 不平等条約 」になっていて驚きました。
- 管理料が実家賃の6%
- 管理の実務はA社が第三者に自由に外部委託できる
- リフォームはA社またはA社の委託業者以外には発注できない
- 謎の「 立て替え制度 」と「 保証人不要制度 」
- オーナーから途中解約できる条項がない
等々・・・。特にリフォームは自社で手配して施工してもらうケースもかなりあるので、A社を通すと無駄なコスト高につながります。また、「 中途解約条項がない 」のは非常に危険だと思いました。
この時点で管理を任せる気が失せていましたが、サブリースで入居した入居者との契約内容が掴めていませんでしたので、引き続きヒアリングと条件交渉を続けました。
■ 解約防止のために入居者を丸抱え!?
A社に対して、仲介業者さんと私とで波状攻撃的にヒアリングをしていたところ、A社が、「 各お部屋の電力は当社( A社 )が契約している 」とポロッと漏らしたことがありました。
ふつう、各部屋の電力契約は入居者と地域電力会社が直接契約しますよね!?ところがこの物件に関しては、各部屋の電力契約をA社が全て行い、それを家賃と一緒にA社が入居者に請求しているんだそうです・・・。
「 なんでそんな面倒くさいことをやっているのかな??」と不思議で仕方ありませんでしたが、ずっと考え続けた結果、ある仮説が浮かびました。
「 もしかしたら入居者を丸抱えすることで、A社を外しにくくしているんじゃないか??」ということです。「 一般管理委託契約書 」にも謎の「 立て替え制度 」と「 保証人不要制度 」がありましたが、それらもこの丸抱え目的と考えると腑に落ちました。
説明すると、「 建て替え制度 」とは、入居者が家賃の支払いを滞らせても一定期間はA社が肩代わりするというものです。また、契約に際して保証人がいなくても契約出来るというのが「 保証人不要制度 」です。
通常は家賃保証会社さんが提供するサービスですが、A社が直接提供しているのです。また、入居者が加入する家財保険もA社の直接提供で家賃にブッコミになっていました。月額単価は最後まで教えてくれませんでした。( たぶんA社も把握していないのでしょう )
入居者を丸抱えしているA社を管理から外した場合、新オーナーと新管理会社は入居者に対して、
- 中国電力に電話して、直接電力契約をしてくださいね
- 新たに保証会社や家財保険の会社と契約してくださいね
とお願いせざるを得ません。その手間と難易度に萎縮してしまいA社を外すことをためらう大家さんはきっと多いはずです。私はこれらが「 解約防止の仕組み 」であると思えて仕方ありませんでした。
■ 謎の「 施設管理費 」
電話とメールでは情報開示が進まないので、A社の担当者と直接会って話すことにしました。その際、前に紹介した気になる点を中心に、「 管理委託契約の内容説明 」をお願いしておきました。
ところが、期待した返事は得られませんでした。例えばリフォームを自社で行いたいというリクエストについては、次のような回答でした。
「 リフォームに関しては管理を当社にお任せいただく以上、オーナー様手配の業者さんは受け入れることができません。何かあった時に責任の所在が不明確になりますし、当社のコールセンターが対応できないからです 」( →意味不明… )
そして解約時効がない点について訊いてみると、「 中途解約条項は明記していませんが実際には解約できますのでご安心ください 」と言います。こんな調子で、ほとんどの項目について修正を断られてしまいました。
中途解約条項については、「 実際に解約できるのならば明記すればいいじゃないですか??」とツッコむと黙ってしまいました(苦笑)
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さらに不可解だったのは「 施設管理費:定額45,000円( 外税 )」というものを新たに提示されたことです。
私は面食らいつつも、「 この費用で何をやってもらえるのか教えてもらえますか?」と質問したところ、「 はい、この費用の中には共用部の電気代と水道代、電球が切れた時の交換費用と月1回の定期清掃費が含まれています 」とおっしゃいます。
「 うちはちょうど同じ規模のRC物件を所有しているのですが、これらの費用の実費合計で2万円しない程度です・・・。一般管理ですから大家が直接契約すれば済むのに、なぜ御社に二倍以上高い費用を払う必要があるのですか??」
そう問いかけるとまたもやしどろもどろ。大汗をかいておられましたw
■ 最後まで情報を開示されなかったネットサービス
一事が万事そのような調子だったので、A社に管理を委託することはお断りしました。
最後に残った課題はネットサービスです。この物件の共用廊下には明らかにネットの配線と思われるものがあったので、最初の段階で情報開示をお願いしたのですが、詳しい情報を教えてもらえませんでした。
売主様は、「 ネットに関してはA社が勝手にやっているもので、私は一切預り知らない。ハンコも押していない 」とおっしゃっているので、ネット設備はA社の資産である可能性が高いと思われます。
そのためA社を管理から外すと、「 ネット設備を撤去する 」と言われかねないかも・・・と危惧していました。しかし、どれだけ尋ねても決済直前まで一切の情報を開示してもらえませんでした。
そして決済直前になっていよいよ仲介業者さんが詰め寄ると、渋々以下のような情報を開示してもらえました。
- 建物内のネット配線&配管、居室内のルーター=A社の子会社が工事したもの
- 建物外壁に設置されているおおもとのルーターやネットワーク機器=協力業者さんが提供してくれたもの
それならば所有権を確認しなければならないので、「 御社あるいは子会社さんと売主様の間で締結している、ネットサービスに関する契約書を開示してくださいますか?」とお願いしてみました。
すると、「 あ、あの設備はオーナー様のものですので、そのままお使いください 」とあっさり所有権を放棄されました。たぶん売主様がおっしゃる通り、そのような契約書を作らずに勝手に工事をしていたようです。
おかげで新たに導入するネットサービスの工事代金が大幅に縮減できましたが、売主様が「 預り知らぬ 」と言っておられるものを「 オーナー様のもの 」というのは明らかに矛盾しています。まあ残置物だと思ってありがたくいただきましたけどね・・・。
■ 管理移行のためにやったこと
そんなこんなで情報入手に苦心しましたが、新しく選定した管理会社さんと入念に打ち合わせを行い、管理移行までの期間で次のような準備を行いました。
- 入居者に中国電力との直接契約を結ぶよう呼びかける
- 家賃にブッコミになっている「 家賃保証サービス 」と「 家財保険 」については、「 いえらぶ 」さんが提供している同じ内容のサービスに加入し直してもらう( 家賃のうちに含まれるサービス単価が不明だったので、やむなく大家負担としました )
ネットサービスは早期に回線手配をしていたので、管理移行に間に合いました。
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細かいことですが、建物にテレビアンテナが立っていないので念のため地元のケーブルテレビ会社2社に問い合わせをしたところ、うち1社とA社が契約をしていました。危ない危ない・・・。
情報提供をされていなかったので、うちが見落としていれば管理移行と同時にテレビが映らなくなるところでした。後にわかりましたが、そのエリアは民放の数が少ないのでケーブルテレビを入れるお宅が多いそうです。
私はこれまでA社に対してそれほど悪い印象を持っていませんでしたが、今回のことで良くない方に決定的に変わりました。大手企業は大家さんや入居者のために事業をやっているのではなく、我々を養分としてしか見ていないんだ・・・ということを何度も感じました。
サブリース付きの物件、あるいはサブリースから一般管理に移行する物件を購入される方。よっぽどフンドシを締めてかからないと大きなトラブルに発展しそうですよ。ぜひぜひご注意ください!