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【サブリーストラブル事例】今、本当に危ないワンルーム投資とは?

賃貸経営/トラブル ニュース

2023/09/30 配信

現在、以下のような手口で不動産投資家との間でトラブルを抱えるサブリース会社があるという。

◆解約による違約金の設定に法的な縛りがないことを利用し、25カ月分の家賃など異常な額の違約金を設定する
◆サブリース会社の転貸先となりさらにサブリースを行い、解約が困難な状況にさせる【二重サブリース】

オーナーの立場に全く寄り添わない不動産会社とは最初から関わらないことだ。
オーナーの立場に全く寄り添わない不動産会社とは最初から関わらないことだ。

不動産を取引する際の価格は一般的にサブリース会社が借り上げている家賃を基準にした収益還元法で計算する。つまり、家賃からの利回りを計算して売却価格が決まるため、上記の状況は不動産を高く売りたい不動産投資家にとって、決定的なデメリットとなる。

前回の記事でも解説した通り、普通借家契約で適用される借地借家法が借主に有利なことを悪用し、オーナーを苦しめるサブリース会社はいまだに存在する。そんな中でも現在横行するのが上記のケースだと話すのは、ワンルームに関するトラブルの解決に向けたコンサルティングを手掛けるココロオドル株式会社の三宅明寛社長だ。現在、1ヶ月に40件ほどの相談が寄せられるという。

ココロオドル株式会社の三宅明寛社長
ココロオドル株式会社の三宅明寛社長

これまでサブリース問題といえば、アパートを建築して10年程が経過した時に借上げ家賃が大幅に値下げされ、家賃収入と金融機関への返済が逆ざやになってしまうといったものが目立っていた。

空室率の高いエリアでもそうした問題が多発したのは、アパートメーカーが元々建築受注を売上の柱にしていたことが大きな理由の一つだ。

そこでネックとなった「土地活用でアパートを建築しても入居者が決まらない可能性がある」というオーナーの不安を払拭するためにサブリースは利用された。

また、金融機関側もサブリースは融資の際に試算しやすく安心材料になる上、純資産である土地を担保に融資を実行できるメリットがあったため、審査が通りやすかった。

だが、実際に契約した後はオーナーとサブリース会社で借上げ家賃の折り合いが付かなければサブリース契約は解約となり、オーナーには空室だらけのアパートが残るという状況が発生した。

地方のアパートは空室率の高さが問題になりがちだったが、賃貸需要の高いエリアで起こっているのは契約解除に応じないトラブルだ。「築年数が経過したから」などの理由を正当であるかのように知識のないオーナーを言いくるめて、借上げ家賃を徐々に下げ、一度値下げをしたらその後は決して値上げはせず決してタダでは解約に応じない。

このように、これまでサブリース問題で散々挙げられてきた事例は借地借家法が借主を守る法律であることを利用したものが目立っていた。

だが、ココロオドル株式会社に寄せられる相談は、それらに加え、一般的な規定や独自ルールを設けることで不動産オーナーを苦しめることが特徴だ。

【解約による違約金の設定に法的な縛りがないことを利用し、25カ月分の家賃など異常な額の違約金を設定する】とは

通常、サブリースの解消をオーナー側から申し出た場合、オーナーに寄り添う判断を行うサブリース会社は違約金なしで解除できる場合が多いという。だが、そうではないサブリース会社は6ヶ月分~25ヶ月分の家賃を違約金として請求するのだという。

「納得がいかない場合はオーナー側から訴えを起こすことも可能だが、その場合の弁護士費用や話し合いにかかる時間を、『かけられるならそうしてください』というスタンスでサブリース会社側は気にしていません。

不動産の知識が乏しく専門用語でまくしたてられるとサラリーマンの不動産投資家は太刀打ちができません。時間や費用などにそこまでの余裕がないことや、裁判を起こしても違約金は獲得できる可能性が高いことをわかっていてわざとこうした強気な態度を崩さないのです」

と三宅社長は話す。

なお、三宅社長が2020年に施行されたサブリース新法について国土交通省に問い合わせたところ、「20233月に解釈の変更があり、契約書が前オーナーの時と変更が無ければオーナーチェンジの際の重要事項説明は省略できる」との回答を得たという。

「その際、前オーナーの契約書内に、借地借家法の事や正当事由がないと解約できない等の文言が明記されていなくてもサブリース契約を締結するという事は、当然に借地借家法に守られているという解釈のようです。かなりおかしいですよね」(三宅社長)。

これでは、本来オーナーを守るためのサブリース新法が全く役に立っていないことになる。オーナーチェンジの際の重要事項説明が軽視されていることを利用した違約金狙いのサブリース業者が今後増えてもおかしくはない。

【サブリース会社の転貸先となりさらにサブリースを行うため、解約が困難な状況にさせる】とは

サブリースのデメリットの一つに、一般的に「転貸している入居者の情報を開示してもらえない」といったものがある。

単に入居者の属性をコントロールできないというものだったはずが、2件以上のサブリース会社が借主になってしまっていては、本当にサブリースを解消しようとした場合、複数回も違約金を支払う状況になりかねない。

実際に三宅社長が受けた相談の中に、このケースがあった。大手のサブリース会社に契約の解除を申し出たところ、6ヶ月後に違約金なしで解除ができたと喜んだが、転貸先がまたサブリース会社だったというのだ。

さらに、このサブリース会社が設定している違約金が25ヶ月。元々サブリース会社同士で結ばれた契約であるにも関わらず、間に入っていたサブリース会社との契約をそのまま引き継がなければならないという理不尽な状況だ。この相談に対しては、違約金の設定金額を下げる訴えを起こすことを検討中だという。

「二重サブリースを行っている会社は、基本的に土地の物件でも二重サブリース契約を締結している場合が多い。そのサブリース先も決まっていることが多く、計画的かつ、サブリース先とがっちりと組んでいる場合が多いです」(三宅社長)

あまりの悪どさに読んでいるだけで疲弊してしまいそうな事例を並べたが、ここで紹介したサブリース会社の横暴はほんの一部だ。

他にも、オーナーがワンルームを売却しようとしたタイミングでサブリース会社側に利益が出るように一方的に借上げ家賃の値下げを要求し、同意させようとするなどの被害も報告されているという。

現在の普通借家契約では、制度を悪用するサブリース会社がいる限り賃貸不動産オーナーは苦しめられるばかり。結局、既存のサブリース契約についての継承は旧ルールのままだ。

新規契約を締結する際に新たに契約すると雛形が新しいものになっているので、以前より「まずい契約だ」と気が付きやすくはなっているだろう。しかし現在、本当にトラブルを避けるにはサブリースの物件を検討する際は相当の注意をする必要があるか、または買わないようにするしか今は方法がないだろう。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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